IT幹部にとってのクラウドとは?
米国CIOお薦めの「クラウドで災害復旧&事業継続計画」
クラウドはIT部門の影響力を低下させるかもしれないが、ディザスタリカバリや事業継続計画には有効だ。米国でCIOを務める筆者お薦めの方法論を紹介しよう。
最悪に思えるときこそ、状況が良くなるときだ。
最近、ある巨大ITプロバイダーのアーキテクトと話した。そのとき彼は、クラウドによってベンダーはCIOを通さずにビジネスを行うことが容易になりつつあると力説した。ベンダーの営業担当者は、例えばマーケティング担当副社長にクラウド型ソフトウェアを直接売り込める。その上、これが一番のメリットかもしれないが、ユーザー組織による製品選択、導入、運用プロセスへのIT部門の関与が不要になるというわけだ。
こうしたことから、われわれIT幹部は、クラウドは災いをもたらすと考えてしまうかもしれない。しかし、私の見方では、クラウド型製品が利用できることで、大きな恩恵も得られる。
例えば、ディザスタリカバリや事業継続計画は、ほんの数年前よりもはるかに容易になっている。昔(つまり、数年前)は、コールドサイトやウォームサイト、ホットサイトが欲しい場合、自前で構築しなければならなかった。そうした投資を正当化するのは、いつも大変だった。使わずに済むことを願っているものにお金を掛けるよう説得するのは、気前のよい取締役会に対してでも難しいと実感した。
これに対し、クラウド型製品では、他社が開発したシステムや既存のインフラを利用して、導入にかかる時間やコストを削減できる。こうしてクラウド型製品を活用するとともに、計画と分析を効果的に行うことで、ディザスタリカバリと事業継続が大幅に容易になる。私のアプローチを例に説明しよう。
ディザスタリカバリと事業継続計画は、リスク分析から始まる。リスク分析の対象には、全ての自然災害と人災が含まれる。発生し得る自然災害は場所によって異なるが、具体的には、暴風雨、地震、火災、洪水などがある。一方、発生し得る人災は、不満を抱えた従業員(一般的に、自部門のどのメンバーも該当する可能性がある)によるものから、事故(例えば、電力施設の変圧器に誰かの車が衝突し、自社に電気が届かなくなるなど)、“ボーンヘッド(とんでもない)”ミス(例えば、システム管理者が間違ったボタンを押してデータセンターの冷却を止めて、それに気付かずに立ち去ってしまうなど)まで多岐にわたる。
次に、私は特定の災害の発生可能性と影響を見極めようと試みる。例えば、私の会社のデータセンターが森林火災に巻き込まれる可能性はどうか。このデータセンターは、森林どころか砂漠のようなところにあるため、その可能性はあまりない。では、停電が発生する可能性はどうか。その場所は冬に大雪に見舞われる場合があるため、私は通常、停電を想定して計画を立てる。
リスクを分析し、その発生可能性と影響を見極めたら、それらを抑える計画を立てる。例えば、停電リスクに対処するため、バックアップ電源を用意する。ボーンヘッドに対処するため、データセンターとITプロセスにおいてミス防止策を実施する。そして、自然災害に対処する上でクラウドに基づくリスク軽減策が有効だというのが私の意見だ。
私のクラウドベースのディザスタリカバリと事業継続計画には、もう1つの重要なステップがある。システムの階層化だ。私のお気に入りの方法の1つは、システムをA、B、Cの3カテゴリーに分類するというものだ。カテゴリーAは、数分間ダウンしただけで会社を危うくするシステム。カテゴリーBは、数時間または数日間ダウンすると会社が危うくなるシステム。カテゴリーCは、ダウンしてもIT部門以外の社員はなかなか気付かないようなシステムだ。この階層化が、サービスレベル契約(SLA)や、ディザスタリカバリ、事業継続計画のベースになる。私はAのシステムについては、コールドサイト、ウォームサイト、ホットサイトのいずれかを用意する。また、Aのシステムの冗長性を確保するために投資する。リスク評価ではAのシステムのリスクに重点を置く。
例えば、私がカスタマーコールセンターを運営しているとしよう。電話システムがダウンしたら、注文を処理できなくなる。このため、電話システムはカテゴリーAに分類される。ただし、そう分類されるのは電話システム全体ではなく、顧客からの電話に対応するための部分だけだ。ほんの数年前なら、オフサイトのバックアップコールセンターをどうやって構築するかで頭を悩ませなければならなかっただろう。しかし、クラウド型電話サービスが利用できるようになったことで、私の仕事はぐんと楽になった。後は、こうした特別な注意が必要なのはどのシステムか(具体的には、カテゴリーAのどのシステムか)を覚えていればよいわけだ。
本稿筆者のニール・ニコライゼン氏は米HeadwatersのCIO兼戦略計画担当副社長。
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