タグベースのアクセス制御は福音か
さらに進化した「Windows Server 8 β」注目の新機能
「Windows 8 Consumer Preview」と同時に発表された「Windows Server 8 β」は、大幅な機能強化が図られている。データをタグで分類する「ダイナミックアクセス制御」は要注目だ。
米Microsoftは2月29日、クライアントOSの「Windows 8 Consumer Preview」(関連記事:Windows 8 Consumer Previewに見る企業向け機能)と併せて、「Windows Server 8」のβ版をリリースした。2011年9月にリリースされたTechnical Preview版から、さまざまな新機能が追加されている。
DirectX 11のリモートデスクトップのサポート
RemoteFXは、Windows Server 2008 R2 SP1で導入された機能(関連記事:Windows 7 SP1とWindows Server 2008 R2 SP1の目玉となるデスクトップ仮想化最新機能)。リッチメディア、オーディオ、ビデオのサポートをサーバに集約し、シンクライアントから利用できるようにする。しかし、従来のRemoteFXはローカルネットワークなど、かなり高速なネットワーク上でなければ実質的に運用できなかった。
RemoteFXが使用する仮想GPUにDirectX 11のサポートが追加されたことにより、(レイテンシが高く、多少のパケットロスが発生する)インターネットを介して仮想デスクトップに接続する場合でも、バッファリングや処理待ちで作業を中断させられることもなく、Photoshopなどのグラフィックスアプリケーションや動画編集アプリケーションを使用できるようになる。さらに、メディアリモーティング機能の強化により、これまでより格段に効率よく帯域幅を使って動画や音声をストリーミングできるようになった。これは、伝送コストの低減とユーザーエクスペリエンスの向上に役立つだろう。
SMBディレクトリのリース
Windows Server 8には、SMB(Server Message Block) 2.2プロトコルが搭載される。SMB 2.2は、長年Windows Serverに搭載されてきたSMB 2.0のアップグレードだが、重要な違いが幾つかある。そのうちの1つは、新たに追加されたディレクトリのリース機能だ。この機能は、支社などのリモート拠点がファイル共有を利用して、他拠点にあるサーバ上のコンテンツにアクセスする場合に有用だ。実際のデータソースであるサーバからディレクトリを“リース”することで、ソースサーバへのラウンドトリップを省き、キャッシュから任意のディレクトリのメタデータを直接取得できる。ディレクトリ情報が変更されると、サーバがプロトコルを使用して変更をクライアントに通知し、それを受けてキャッシュが更新される。この機能は、共有されている読み取り専用ディレクトリや、読み取りも書き込みも可能だが他のユーザーと共有されていない個人用フォルダ(ユーザーのホームディレクトリ)などで使用するとよいだろう。
SMB共有へのシャドウコピー(スナップショット)の保存
これも今回のβ版で導入されたものだ。ローカルにある物理ボリュームだけではなく、ファイル共有にも、ボリュームシャドウコピー(バックグラウンドで処理されるデータファイルの隠れコピー)を保存できるようになった。これは、SANやNAS上のアプリケーション固有データのバックアップやリストアに非常に便利だ。また、“以前のバージョン”機能で管理できる範囲も広がる。
ローミングの“プライマリコンピュータ”の概念
プロファイルのローミングは、これまでずっとWindows管理者の頭痛の種の1つだった。ユーザープロファイルのローミングを有効にした場合、ネットワーク上の全てのコンピュータにローミングされるので、それが不都合ならローミングを無効(=どのコンピュータにもローミングされない)にせざるを得ず、いわば二者択一が迫られる機能だ。ローミングは、ローミング先のオフィスが同じ地域にあるのなら便利だが、シアトルのサーバで管理しているユーザーが、ロンドンのコンピュータにログオンするような場合、ログイン前に数百Mバイトになることもあるプロファイル全体がネットワークを介して伝送される必要があり、問題が出てくる。
今回導入された新しい“プライマリコンピュータ”機能を使うと、必ずプロファイルのローミングやフォルダのリダイレクトなどの対象にするコンピュータとして、特定のコンピュータを管理者が割り当てることができる。ユーザーがプライマリコンピュータに指定されていないマシンにログインした場合は標準のローカルプロファイルが作成されるので、ネットワークに余分なトラフィックが流れずに済む。これは、特にネットワークへのログオンが集中する朝の時間帯などに、出張中のユーザーから出されるネットワークトラフィックをコントロールしたい場合に非常に有効だ。
ダイナミックアクセス制御(DAC)
DACは、これまでのバージョンのWindowsよりも、システム上のデータへのアクセスとセキュリティを格段に管理しやすくするうれしい新機能だ。DACを使うと、データに分類(“社外秘”“財務部専用”など)のためのタグを設定できる。タグの設定後は、Windows Server 8搭載マシンに同様のデータがあると自動的に分類されるようになる。
例えば、特定の財務部フォルダ内の文書に社外秘のタグを設定すると、その後、該当フォルダに追加された全ての文書にもそのタグが設定される。さらに、このタグを使ってユーザーごとにアクセス許可を設定したり、NTFS(またはReFS)のアクセス許可とは別に、そのデータのクレームベースのアクセスに使用する要素を設定したりできる。また、ユーザーがユーザーインタフェースから直接、特定のデータへのアクセスを自動的に要求できるようにすることもでき、管理者がその要求されたアクセスを付与するのも容易になる。
有効アクセス(Effective access)
この機能は、Windows Server 2003においてグループポリシーに導入された“ポリシーの結果セット”(RSoP)機能に似ている。任意のファイルシステムオブジェクトのアクセス許可やセキュリティを管理するダイアログボックスから、特定のユーザーに付与するそのオブジェクトのアクセス許可を指定できる。それだけでなく、ユーザーのグループメンバーシップや部署レベルのアクセスクレームなど、ユーザーについての特定の情報が変わった場合に、そのユーザーに付与するアクセス許可を指定することもできる。これで、従来のようにACL変更の際に試行錯誤で動作を確認するのではなく、設定したアクセス許可が期待通りに機能するかどうかや、どれが目的の制御を適用するACLエントリなのかを非常に簡単に確認できるようになる。
実際にこれらの新機能を評価してみたい場合は、MicrosoftのTechNetサイトでβ版をダウンロードしてほしい。
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