NetSuite導入事例
サントリー、ロイター、ピーチがクラウドERPを選んだ理由
著名企業のクラウドERP採用が相次いでいる。オンプレミスERPと比較して割安な初期投資や運用管理のコストだけでなく、クラウドERPならではのフレキシブルな運用に魅力を感じる企業が増えているようだ。
「なぜNetSuiteを選択したのか。まずはSaaSであるというのが理由だ。ハードウェアやソフトウェア購入の必要がない。またライセンス数がフレキシブルに変更できる」
国際的な情報提供、メディア企業であるトムソン・ロイター・プロフェッショナルで、企業の商標管理サービスを提供するトムソンブランディ事業部のCTOを務める柿澤芳雄氏が、3月7日に開催された「NetSuite Cloud ERP Day 2012」で講演し、トムソンブランディ事業部のNetuSuite導入を説明した(参考記事:クラウドERPの先駆け「NetSuite」が探る次の成長機会)。
トムソンブランディ事業部は従来、オーダーエントリー、請求、売上実績管理のシステムが個別に存在し、それぞれが連携していなかった。「NetSuite導入前は手作りのシステムが散在し、システム間の不都合をなくすために人間が一生懸命働くような状態だった」と柿澤氏は振り返る。顧客マスターもそれぞれのシステムにあり、「マスターの連携は目で見て違いを是正していた」。特に市販パッケージを使っていた請求システムの入金消し込みは難しい作業で、「社員がMicrosoft Excelを使って神業のごとくやっていた」という。オーダーエントリーシステムも元の開発ベンダーが既に買収されていて、サポート契約が消滅。しかもWindows 2000 Serverで動くシステムで、改修もできないような状態だった。
このようにマニュアル作業が必須で、しかもサポートが不十分なシステムのために、社内のシステム監査部門からは改善するように再三の勧告を受けていた。特に職責に応じたシステム権限を付与する職務分掌について問題が指摘されていた。
システム基盤の抜本的な改善のために柿澤氏らはパッケージの導入を決意した。選択のポイントは、3つの既存システムの機能を1つに集約できることや、承認プロセスが可視化されていること、多通貨、多言語対応であることなどだった。この要件に基づき、当初は外部のコンサルタントにパッケージ選定を依頼し、2つのパッケージが推薦された。だが小規模なベンダーが開発したパッケージだったために本社がベンダーの信頼性を問題視し、却下された。その後、富士通マーケティングがNetSuiteを紹介し、検討を始めた。ただ、NetSuiteもすんなりと決まったわけではない。実は全社で3年後にSAPアプリケーションを導入することが決まっていたからだ。本社は二重投資となりかねないNetSuiteの導入に反対した。
柿澤氏らはNetSuiteがベストであることを本社に説明し、納得させる必要があった。そのために外部コンサルタントから指摘されたトムソンブランディ事業部の58の業務改善ポイントを、NetSuiteを使えば全て改善できることを示す提案書を提出した。さらにハードウェアやソフトウェアのコストを抑えられるSaaSであることや、ライセンス数を自由に変更できる点を訴えた。特にライセンスコストについては「SAP、Microsoft Dynamicsと比較しても導入費用が大幅に安い」(柿澤氏)という点を強調した。また、トムソンブランディ事業部が3年後にSAPに移行することを予定している中で、それまでのつなぎのパッケージとして初期費用が掛からないクラウドERPが最適だったという面もある。
クラウドERPのコスト比較記事
これらクラウドコンピューティングERPであるNetSuiteのメリットを強調することで本社の承認が下り、NetSuite導入のプロジェクトが2011年5月にスタートした。フィット&ギャップやシステム要件の決定、マスターデータ統合やトランザクションのテストを行い、2012年1月にカットオーバーした。
柿澤氏はNetSuite導入によって「煩雑なオペレーションから解放された」と語る。営業マネジャーが見積もりの承認依頼をスマートフォンで移動中に処理できるようになるなど、業務効率も向上した。また、月次会議のための資料を作成する必要がなくなり、会議の際はNetSuiteのリポートをプロジェクターで投影し、議論するようになった。柿澤氏は「日本のユーザーの声はこれから出てくると思うが、日本ローカルの要求にどの程度擦り寄ってくれるか、真摯な対応を期待している」と述べた。
格安航空会社ピーチが採用
ネットスイートの代表取締役社長 田村 元氏は同イベントで2つの事例を紹介した。1つはサントリービジネスエキスパートが、「サントリー天然水家庭用水宅配プロジェクト」で採用したケースだ。短期構築や初期投資の抑制などの要件があったが、加えてNetSuiteが評価された理由は、必要なシステムを全てNetSuiteで賄うことができ、成長に応じてシステムを拡張できることだった。宅配プロジェクトには、注文受け付けのWebサイトの他に配送管理や顧客管理、在庫管理、売掛管理、問い合わせ対応などのシステムが必要だったが、それらの機能をNetSuiteの標準機能で対応できたという。
もう1つの事例はLCC(格安航空会社)であるPeach Aviation(ピーチ・アビエーション)。ピーチは短期間、そして低コストで財務基盤システムを構築する必要があり、NetSuiteを採用した。業務プロセスを標準化し、基本的にNetSuiteのプロセスに合わせる形で最適化した。新しい会社だったために一から業務プロセスを構築することが可能だった。結果的に約3カ月でNetSuiteを導入できたという。田村氏は「安いだけなら他の選択肢もある。国産パッケージと比較して、NetSuiteが複数言語、複数通貨に対応していることなどを評価して決めていただいた」と説明した。
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