専門家の意見もさまざま
一筋縄ではいかない、データセンターの完全仮想化
ハイパーバイザーがミッションクリティカルなワークロードに対応できる今、企業は仮想データセンターを100%仮想化すべきかどうかの難しい判断を迫られている。
以前はシステムを100%仮想化するのは非現実的と考えられていたが、今では達成可能な目標になった。実現すると、データセンターのアップタイムや柔軟性の向上といった現実的な効果を期待できる。しかし、データセンターを完全に仮想化へ移行するかどうかの判断は、そう一筋縄ではいかない。コストやライセンスの問題がこうした効果を帳消しにしてしまうかもしれないからだ。
本稿では、米TechTargetのサーバ仮想化アドバイザリーボードのメンバー4人の「100%の仮想化」に関する考え方を紹介する(同アドバイザリーボードは、サーバ仮想化技術の専門家であるシステム管理者とコンサルタントで構成されている)。
「完全に理にかなっている」シャノン・スノーデン氏(New Age Technologies勤務)
私がコンサルティングを提供している企業の多くでは、100%の仮想化に取り組むことは確かに目標だ。しかし、高可用性の確保と業界の成熟度の低さが仮想化の全面的な導入を妨げる大きな要因になっていた。
ほとんどの企業では、本番ネットワークにいったん仮想化を導入すると、全てのサーバが仮想化の候補になる。だが何年もの間、多くの企業はミッションクリティカルなアプリケーションを新しく、そして(彼らの認識としては)実績が乏しいプラットフォームに移行しようとしなかった。
しかし、ハイパーバイザーベンダーは高可用性やロードバランシング、ディザスタリカバリ(DR)、管理性の面で製品を大幅に改善してきた。ハイパーバイザーがミッションクリティカルなアプリケーションをホストできることが、時間をかけて証明されてきたことを踏まえれば、多くの企業が100%の仮想化の達成を目指すことは、完全に理にかなっている。
この1年近くというもの、私は米VMwareの「vCenter Site Recovery Manager」や米Zertoの製品を使った仮想化によるDRにほぼかかりきりになっている。多くの企業が、極めてクリティカルなアプリケーションを仮想プラットフォームに移行すると私は思う。仮想プラットフォームは、高可用性やDRを実現する優れたソリューションへと進化しているからだ。
「企業にとって効果的で必要な目標」デーブ・ソーベル氏(Level Platforms勤務)
私は、企業は100%の仮想化に取り組むべきだと確信している。ハイパーバイザーのパフォーマンスが向上を続ける中、仮想化は、データセンターの真の柔軟性、スケーラビリティ、クラウド対応を実現する鍵を握っている。
セルフプロビジョニングからワークロードの再配分まで、仮想化はさまざまな機能を通じて、ITスタッフに関わる経費を削減し、データセンターリソースの動的な割り当てとアップグレードコストの節約を実現する。さらに、仮想化によってハードウェアとソフトウェアが分離され、あらゆる規模の企業がこの構成の恩恵を受けられる。つまり、100%の仮想化は、企業にとって効果的で必要な目標だ。
「やみくもに進めるのは禁物」ロブ・マクシンスキー氏(Dartmouth Hitchcock Medical Center勤務)
仮想化をやみくもに進めるのは禁物だ。全てのサーバを仮想化することが可能だからという理由だけで、そうしようとするIT担当者は、内科患者を診る外科医に似ている。手術によって病気を治せるかもしれないが、もっと良い治療があるかもしれない。外科医は、手術によって患者がどれだけの心身的負担や費用を被るかを検討しなければならない。
仮想化も同様だ。例えば「8個のプロセッサ、32GバイトのRAM、テラバイト級の大きなHDD容量が必要なアプリケーション」を仮想化する必要が本当にあるのかを検討しなければならない。仮想化することは可能だが、そのアプリケーションの仮想マシン上(VM)での全体的なパフォーマンスレベルは物理ハードウェア上と同レベルになるだろうか。また、共有リソース環境でそのVMのために管理やトラブルシューティングの手順が増えたりしないだろうか。これらの観点で検討することが必要だ。
さらに、アプリケーションのライセンス形態も考慮しなければならない。例えば、CPUライセンスの場合、コア単位かソケット単位かという観点が必要になる。アプリケーションのライセンスがソケット単位だとすると、2個のクアッドコアプロセッサを搭載する物理サーバでアプリケーションを運用する場合、2ソケット分のライセンスを取得することになる。しかし、VMで運用する場合は8ソケット分のシステムのライセンスが必要になる。
私は、ベンダーが将来は、こうした仮想化の障害の一部を解消するだろうと予想している。しかし、今はまだ「仮想化のための仮想化は意味を成さない」と思う。
「アプリケーションの要件で判断すべき」クリスチャン・メッツ氏(First American勤務)
あらゆる規模の企業が、可能なら常に100%の仮想化を目指すことは理解できる。本番システムを仮想化すれば、リソースをオンデマンドで利用できる。システム要件が増えたら、データセンターに足を運ばなくてもボタンをクリックするだけで動的にリソースを拡張できる。さらに、ソフトウェアがハードウェアから分離されているため、ハードウェアをアップグレードする際もダウンタイムは必ずしも発生しない。
以前に述べたように、OSの分離によってワークロードのポータビリティと柔軟性が向上する。ホストで大量のリソースを使用しているときも、システムのクローニングやポーティングを迅速に行えることは大きな利点だ。
SQLなどのアプリケーションをハイパーバイザー上で動作させる技術も大きく進歩している。全体的に見て、アプリケーションの要件がVMで対応できるレベルを超えていなければ、システムの仮想化を常に第一の選択肢にすべきだ。
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