UCのクラウド化はこれで進むか?
レガシーユーザーも飛びつく「ばら売りクラウドUC」の納得度
ユニファイドコミュニケーション(UC)のクラウドサービス「UCaaS」。多くのユーザー企業がUCインフラのクラウド移行にためらう中、UCaaSは普及するのだろうか? 鍵は機能の“ばら売り”にある。
クラウドベースのサービスは、低リスクかつ導入してすぐにメリットを享受できることから、採用する企業が増えつつある。例えばクラウドストレージを利用すれば、より優れたデータ管理が実現でき、いつでもどこからでもデータへアクセスできるようになる。ただし、企業にとって不可欠な電話通信(テレフォニー)とユニファイドコミュニケーション(UC)のインフラに関しては、まだクラウドへの移行に慎重な企業が多い。
クラウド形式のUCサービス(UCaaS: Unified Communications as a Service)のベンダーは、顧客が既に導入しているインフラとUCaaSとの連係方法を探り、顧客の基本的な業務ニーズに合った販売戦略を打ち出す必要がある。「オンプレミスのUCシステムを導入済みの企業は、こうしたシステムをいきなり手放したりはしないはずだ」。米Current AnalysisでUCとコールセンター分野を担当する主任アナリストのケン・ランドライン氏は指摘する。
「ベンダーはハイブリッド環境に焦点を当てる必要がある。顧客は恐らく、導入済みの機器を使い続ける。その上で、クラウドへアドオンを追加したりリモートオフィス環境を実現したりといったことに関心を示すことになるだろう」と同氏は語る。
さらに同氏によれば、顧客は恐らくレガシーインフラを残したままクラウドサービスであるUCaaSを試そうとするので、ベンダーはハイブリッド環境の販売増加に備える必要があるという。
「UCaaSベンダーは、まずはハイブリッドなクラウド環境で足掛かりを築くのが得策だ。ベンダーはクラウドサービスの機能をばら売りするチャンスを模索すべきであり、顧客を徐々にクラウドへと完全移行させていけばいい」(同氏)
UCaaSの定義と費用をめぐる混乱
米業界団体のCloud Communications Alliance(CCA)によれば、顧客が「UCaaSが自社の事業に適しているかどうか」を判断する上では、ベンダーのサポートが必要だという。CCAは先頃、ベンダーが企業顧客にUCaaSをより効率的に販売するための方法について解説した文書を発表している。
CCAのジョセフ・マリオン代表によれば、多くのベンダーは「レンタルか所有か」をめぐる顧客との話し合いで行き詰まっており、インフラを所有したい大規模企業にとって、これは悩ましい問題になりかねないという。
「この問題を克服するには、ベンダーが設備投資と運用コストの違いをしっかり説明することだ。長期的には、月極めで通信サービスを購入して必要に応じて利用額を増減させる方が、顧客にとっては安価で済む場合も少なくない」とマリオン氏は語る。多くのIT製品のビジネスモデルは、ハードウェアのアップグレードや新規システムの購入も含め、設備投資を中心に確立されている。UCaaSは、潤沢な設備投資予算を持たない企業にアピールできるはずだ。
さらに、CCAのパートナーでありUCaaSプロバイダーである米Callis Communicationsの社長兼CEO、ディーン・パーカー氏によれば、UCaaSの定義は顧客によってさまざまに異なり、そのことがUCaaSの販売をますます難しくしているという。
「当社の顧客も、UCaaSの捉え方がそれぞれ異なる。動画や音声、多様なUCアプリケーションのことだと考えている顧客もいれば、音声だけ、あるいはインスタントメッセージングとプレゼンスだけだと考えている顧客もいる」と同氏は語る。
ハイブリッドな販売
顧客が求めるサービスは、小規模な支社向けの単機能アプリケーションやソリューションなど、顧客の事情によって異なる。ベンダーは個別の顧客のニーズに合わせて機能を選別し、顧客にとって不要な機能は除外する必要がある。
「ベンダーは顧客の声に耳を傾けなければならない。顧客は、自らが何を必要としているのかを正確に教えてくれる」とCCAのマリオン氏は語る。
テレフォニーやUC用のツールなど、旧来の企業向け通信システムの顧客がこれまで通信会社の営業チームから購入してきたのは、サービスではなくオンプレミスの製品だ。「UCaaSベンダーは、UCaaSのさまざまな機能をどう組み合わせるかを顧客と話し合う必要がある。製品を箱ごと販売するのとは勝手が全く違う」と、Callisのパーカー氏は語る。
またハードウェアベースの製品には「顧客との継続的な関係がある程度保証される」という利点があるが、UCaaSベンダーはこうしたことを一切当てにできない。「顧客は導入済みのハードウェアはなかなか手放そうとしないだろう。だがベンダーの切り替えに遠慮はないはずだ。ベンダーは毎月、契約を勝ち取らなければならない。サービスには柔軟性を持たせる必要がある。さもなければ、客を逃すことになりかねない」と、前出Current Analysisのランドライン氏は語る。顧客の成長とともにニーズが変化すれば、ベンダーとの取引もそれに応じて変化するのが当然になるだろう。
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