企業で使ってこそ分かるIMの本当の価値“第3のコミュニケーション”企業向けIMの魅力【前編】

短いメッセージをリアルタイム交換できるIMは、コミュニケーションを円滑にするツールの1つ。だが企業においてなかなか普及が進まないのも事実だ。IMがもたらすメリットと導入の阻害要因について考えてみる。

2008年10月30日 08時00分 公開
[渡邉君人,Qript]

 皆さんの会社や組織ではインタスタントメッセンジャー(IM)を利用しているだろうか? 積極的に利用している所、正式には認められていないが内々に導入している所、提案はしたものの認められなかった所、「IMって何なのそれ?」的な所など、状況はそれぞれだろう。

 筆者の企業は、「Yocto(ヨクト)」というIMソリューションを多くの企業に導入してきた。その中で、ユーザー企業の経営層や現場の方々と話をする機会も多いのだが、導入した企業はどこもIMの特性をよく理解し、日々の業務で上手に活用しているなとつくづく感じている。しかし一方で、IMの導入メリットを話してもなかなか理解していただけない企業も残念ながら少なくない。「うちでは要らない」「メールがあれば十分」「新しいシステムを入れるのは面倒」といった反応のほか、「セキュリティ的に不安」といった誤った先入観があったり、IMそのものを知らないというトップもいる。

 筆者は、ユーザー企業への提供や自社での活用を通じて、「IMは企業を便利にするツールの1つである」と言えるだけの確信を持っている。もちろん自社製品が売れればそれに越したことはないが、それ以上に、IMがもっと企業に浸透してほしいという思いが強い。そこで、IMに関する基本的な解説はWeb上のさまざまな掲載記事に譲るとして、ここではまず主にマネジャー層に向けて、少し違った視点から企業におけるIM利用の現状を取り上げてみよう。

現場は欲しいがトップに温度差

 筆者はいろいろな企業のユーザーにIMを提案する機会をいただくが、大体共通したパターンがあるように感じる。1つは、営業部門やカスタマーサポートなど最前線の現場を担当している社員は、ほとんどがIMの導入を強く希望(というより切望)する点だ。不在の営業担当者に顧客から電話連絡があったことをメモとして残したい、別フロアにいる生産担当者に納期を問い合わせたい、カスタマーサポートの担当者が開発者に技術的な質問をしたいといったこまごまとしたコミュニケーションや、さまざまな社内情報の共有が、IMを使うことでかなり楽になるというメリットを直感的に理解できるようだ。インターネットから入手できる無償版のIMをプライベートで使っている人も多く、IMに対する抵抗感はほとんどないといってよい。

 一方で、導入の意思決定を担っているマネジャーや経営層は、IMそのものを知らなかったり、電子メールとの役割の違いを見いだせずに、導入に消極的な立場を取ることが少なくない。「IMはチャットソフトである」とする解説記事などから、チャット=出会い系的なネガティブな印象を抱いてしまうということもあるようだ。

 また、導入や運用の際に実際に手を動かしてもらわないといけない情報システム部門の担当者は、ネットワークに関連した新しいアプリケーションが入ることを好まない傾向がある。もっとも、セキュリティで何か問題が起これば自分たちの責任になるので、「企業向けIMはセキュアですよ!」と説明してはいるのだが、警戒心が強くなる心理も分からなくもない。

 IMに対する現場、経営層、情報システム部門それぞれの温度差はどこから生じてくるのだろうか。日本でIMがいまひとつ普及しない理由がこのあたりに隠されているようだ。

図1 企業にIM導入を提案すると、トップマネジメント、現場の担当者、情報システム部門の担当者それぞれが共通した反応を見せることが多い
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