企業はデータ/アプリの保護に注力
モバイルセキュリティ、Appleが恐れる注目の5社
企業におけるモバイルセキュリティが、単に従業員の私物端末を保護するだけでは済まなくなっている。専門家の予想では2014年、企業は端末の保護からアプリケーションやデータの保護にシフトするという。
オンラインセキュリティベンダーの米ThreatMetrixの最高テクノロジー責任者、アンドレアス・バウムホーフ氏は、「BYOD(私物端末の業務利用)のために、端末の状態をIT部門がコントロールすることはますます難しくなった。その結果、端末そのものよりもデータの保護が必要とされるようになった」と語る。
ThreatMetrixでは従業員の端末のロックダウンを試みた結果、このアプローチはうまくいかないことに気付いたという。「ユーザーは私物端末を使いたいと考えている。だが、私物の端末をロックダウンするようユーザーに強制することはできない」とバウムホーフ氏は語る。
コンサルティング会社の米451 Researchでモバイルおよびワイヤレス担当のリサーチディレクターを務めるクリス・ヘイゼルトン氏は、「モバイルアプリケーションに関しては、企業は表面をなでたにすぎない。ということは、モバイルアプリケーションが普及したら、モバイルセキュリティはどうなることか」と語る。
ヘイゼルトン氏の見解では、IT担当者にとって大きな課題の1つは、どのような手段でアプリケーションを社内のエンドユーザーに配布するかだ。ユーザーは会社からアプリを入手することも、米AppleのiOS向けのApp Storeや米GoogleのGoogle Playなど、パブリックアプリストアから入手することもあるだろう。
「アプリケーションはさまざまな方法で入手できる。IT管理者が会社のデータのセキュリティを心配するのももっともだ」と、ヘイゼルトン氏は語る。同氏によると、管理機能と保護機能の強化を図り、アプリのラッピングを検討する企業が増えているという。
ThreatMetrixのバウムホーフ氏は、アプリとデータの保護に重点が置かれるようになっても、私物端末に関してエンドユーザーの希望を聞き入れることと、会社にとって重要な情報を保護することのバランスを取る必要があるとし、次のようにコメントしている。
「ユーザーは本当に使いやすい端末に慣れている。 だが、企業の観点からすると、できる限り厳格なポリシーをぜひ適用すべきだ」
注目のモバイルセキュリティテクノロジー
成長するモバイルセキュリティ市場への参入を決めた企業の1つに、米Lookoutがある。同社は長年コンシューマー市場を対象にしてきたが、最近、エンタープライズ向けのセキュリティスイートをリリースした。
ただし、OEM(相手先ブランドによる製造会社)も自社製品をネイティブレベルで変更してセキュリティの強化を図るだろうと、米コンサルティング会社VC Researchのシニアモビリティアナリスト、エリック・クライン氏は語り、例としてApple製品の生体認証の採用拡大を挙げている。
「コンシューマー向けの雰囲気を持ち、かつ企業での利用に耐え得る本当に堅牢なネイティブレベルのセキュリティをプラットフォームに組み込むことが、あらためて求められるようになっている」と、クライン氏は言う。
Appleは2013年に、iPhone 5sにおいてTouch IDを導入したが、そのセキュリティ機能はエンタープライズレベルに達していないと専門家は見ている。
クライン氏とヘイゼルトン氏によると、中堅・中小企業の中に、モバイルセキュリティテクノロジーで興味深い取り組みをしている企業があるという。
クライン氏が挙げたのは、多要素認証を手掛ける米Delfigo Securityで、ユーザーが端末をスワイプしたときに端末に掛かる圧力からユーザーを見分けるというセキュリティ機能の開発に取り組んでいる。
ヘイゼルトン氏は、米MobileSpacesと米Betterを挙げている。両社ともモバイルアプリケーションの保護を専門としており、アプリラッピングに対する企業のニーズを捉えて成長する可能性があると同氏は見ている。
ヘイゼルトン氏は、アプリラッピングは、iOSではなくAndroid端末を採用している企業に適している可能性を示唆する。
「iOSのネイティブのメールクライアントまでラッピングすることを考えていた大手銀行と話をしたが、Appleがそれを許すことはない。だが、Androidならかなり自由にできる。一度アプリがリリースされたら、Appleと比べるとGoogleがコントロールできる部分はかなり少ない」
IBMのモバイルセキュリティの特許技術
米IBMは最近、会社のクラウド内のソフトウェアコードが、悪意から、または誤って改変された場合、そのコードにモバイル端末からアクセスできないようにする特許技術を発表した。
IBMのモバイル特許エンジニアのアンドリュー・コーンウェル氏によると、この特許技術は、関係者が悪意のあるコードをネットワークプリンタに仕込むことを想定した問題から生まれたものだ。IBMでは、コードを暗号化できれば、スマートフォンやタブレットなど、適用範囲を広げられることに気付いた。
コーンウェル氏によると、発明されたこの技術では、例えば会社のエンタープライズモバイルアプリなど、アプリケーション内で改変されたソフトウェアコードを認識し、その改変が適切な暗号化解除と再暗号化を通さずに行われている場合、改変コードを含むアプリケーションにモバイル端末がアクセスすることを防ぐという。
「この技術は企業側のコントロールを強化できる。端末を保護するだけでなく、暗号化されているクラスしか読み込まないように(仮想マシン)を変更する」
この特許技術が実用化される時期については、IBMは明らかにしていない。
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