米国の先行事例も紹介
第3のデスクトップ仮想化製品「Ericom Connect」の実力を見る(1/2 ページ)
安価なデスクトップ仮想化製品を提供するイスラエルのEricomが、後継製品「Ericom Connect」の国内提供を開始した。従来製品との違い、先行するCitrix、VMwareとの差別化ポイントはどこにあるのか。
Ericom Softwareは2015年8月3日、同社が開発するクライアント仮想化製品「Power Term Web Connect」(PTWC)の後継に当たる「Ericom Connect 7.1」(Connect)をリリースした。これまではCitrix SystemsおよびVMwareのクライアント仮想化製品と差別化を図ってきたEricomだが、PTWCを提供して10年がたった今、サーバサイドでも市場をリードする戦略へと変化しようとしている。以降、2015年8月6日に開催されたアシストのセミナーを基に、Connectの概要を紹介する。
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Ericom PTWCの事例
デスクトップ仮想化とは?
デスクトップ仮想化方式について
従来製品PTWCとの違い
Ericom Connectの特徴を見て行くに当たって、これまでのEricom製品について触れておきたい。
クライアント仮想化の製品ジャンルは大きく2つに分けられる。1つはクライアントサイド、もう1つはサーバサイドだ。Ericom製品はその両方に特徴がある。まず、クライアントサイドでは、HTML5を使ったRDPレシーバー「AccessNow」を他社より先駆けて提供した実績がある。クライアント端末へのソフトウェアインストール不要でWindowsアプリケーションを利用することができるという機能だ。
次にサーバサイドでは、先述のPTWCを提供している。PTWCは、小~中規模導入に向いており、低コスト、シンプル、幅広いデスクトップ仮想化方式(配信方式)に対応している点がメリットだ。一方で、課題は拡張性、高可用性、運用性(エンタープライズレベルの機能)にあった。そのため、大規模導入や多数の仮想デスクトップイメージをきめ細かく管理したい場合には、CitrixやVMwareに軍配が上がった。
ところが、8月にリリースしたEricom Connect 7.1は、これら拡張性、高可用性、運用性といったPTWCの課題を補ったところにポイントがある。Connectの最大の特徴は拡張性だ。独自のグリッドアーキテクチャによって、Connectサーバ1台で10万ユーザーの処理を論理上可能にした。Ericom製品の総販売代理店を務めるアシストのシステムソフトウェア事業部 仮想化推進室 担当部長 岡田昌徳氏は「PTWCは、サーバ1台当たり10ユーザーからで2000ユーザー程度が限界。CitrixやVMware製品でも1台当たり4000ユーザー程度だろう」と述べる。PTWCの後継に当たるConnectは、10ユーザーから10万ユーザーに対応するという。
Ericom Connectの特徴
グリッドテクノロジーとは?
このグリッドテクノロジーとはどういう構造なのか。従来のPTWCでは、コネクションブローカーが大きな実行ファイル(EXEファイル)でできており、機能やユーザーが増えるに従って実行ファイルが大きくなる構造だった。ユーザーやアプリケーションの情報はデータベースから適宜読み込む。ビジネスロジックとデータが別サーバで管理されていることで、コネクションブローカーとデータベース間のネットワークI/Oや、データベースの読み込みで発生するディスクI/Oがシステムの負荷になることがあった。実行ファイル自体も重くなり、そのことがボトルネックになっていた。
一方、Connectでは、データI/Oを省力化する。負荷を減らすために、ビジネスロジックとデータが1対のユニットになっており、メモリでトランザクション処理をすることで、従来型のボトルネックを解消した。負荷に応じてユニットを丸ごと増減するため、リソースを最適に利用できる。
実際、10万ユーザーが本当にさばけるのか? 岡田氏は「アシストでは、現実的に10万という規模で本番稼働および検証をしたわけではない」と話す。しかし、「Amazon Web Services」(AWS)で5万アクセスの負荷テストを実施したという。約1000台のAmazon EC2サーバに50のWebアクセスを発生させ、5万ユーザーのアクセスを処理したところ、問題なく稼働したそうだ。また、シミュレーターを使用し、10万ユーザー分の負荷をエミュレートしてテストしたところ、理論上はクリアしたとのことだ。
シンプルさはそのまま
グリッドアーキテクチャにしたことで拡張性は向上したが、Ericom製品がもともと掲げていたシンプルというコンセプトはそのままだ。基本システム構成は、PTWCと同様に無償のセキュアゲートウェイ(SSL VPN)を介して、アクセスしてきたユーザーに対しConnectサーバが振り分けを行うというもの。セキュアゲートウェイとConnectサーバの間にロードバランサーは不要だ。バックアップやログ収集は「Microsoft SQL Server」が行う。
もちろんConnectサーバは冗長化が可能。この点、PTWCでは2台目のサーバを接続する場合、ファイルサーバを用意し、1台目の設定ファイルをファイルサーバに移動した後に両サーバから設定ファイルを参照させるといったステップが必要になるのに対し、Connectサーバは2台目のサーバを用意して既存のグリッドにオンラインで追加するだけとシンプル。片方のConnectサーバがダウンしても既存のセッションは継続する。
その他の特徴
運用管理の機能も向上している。大規模でも効率的にアプリケーション配信設定ができるよう、システム全体やユーザー単位、アプリケーション単位、リソース単位でグループ化ができる。アクセス制限、スクリーンショット制限、ダウンロード制限などの権限設定に対応している。
また、Webの管理コンソール「Ericom Connect Manager」は日本語に対応しており、Connectシステム全体を一元管理できる。CLI(Command Line Interface)を使えば、「JP1」や「HP Operations Orchestration」のようなサービス自動化ツールとAPIで連係し、アプリケーション配信やバッチリポートを自動化し、運用管理を効率化する。
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