理想的なクラウド基盤を構築する方法【最終回】
ハイブリッドクラウドで今すぐ実現できる技術、近未来に実現される技術(2/2 ページ)
3.将来的に実現が予定されている構成
今後、実現が予定されている技術をリストアップしてみる。
ノード(サーバ、ハイパーバイザー、コンテナ)
コンテナの活用によって、データ以外の部分でのクラウド間の移動が容易になる。さらに、ハイパーバイザー上で仮想マシンとコンテナを同時に取り扱える製品も開発されており、今後は要件に合わせて併用できるようになる可能性が高い。
DR
ベリタステクノロジーズの「Veritas Resiliency Platform」のような製品の実現範囲が広がることによって、ハイパーバイザーの種類が異なるプライベートクラウドとパブリッククラウド間、またはパブリッククラウドとパブリッククラウド間で仮想マシンを切り替えることができる、いわゆるグローバルクラスタが可能となり、よりシンプルな運用、高いレベルでの可用性を実現できるだろう。
ネットワーク
L2延伸実現のためにパブリッククラウドのSDNへの対応が待たれる。一方で、VMwareの「vCloud Air Hybrid Cloud Manager」やCisco Systemsの「Cisco Intercloud Fabric」のように、SDNとは別のアプローチでL2延伸を実現する取り組みも進められており、これらの技術の普及によってクラウド間のIPアドレスのモビリティが実現できると予想される。
運用、自動化
ハイブリッドクラウドを意識したセルフサービスポータル製品は増えてくるだろう。また、クラウド間での仮想マシン移行やデータ移行の手法が確立し普及されれば、追従して運用管理製品も登場してくると予想される。
全体
コンテナOSの普及や、プライベートクラウドとパブリッククラウド間のグローバルクラスタの実現によって、より理想に近いクラウド環境が実現できるようになるだろう。ネットワークを除けば、理想的なクラウドの実現が近づいているといえる(表3)。
4.理想的な環境実現への第一歩
以上から、理想的なハイブリッドクラウドの実現には、ネットワーク部分の対応が急務であることがご理解いただけただろう。個々のクラウドがいくら理想的な状況に近づいても、肝心のクラウド間の通信が容易に実現できなければ、クラウド自体の意義が大きく損なわれてしまう。それ以外の部分については、ほぼ理想的なクラウド環境を構成できる状況と言っても過言ではない。
第6回「運用がITの要になる日は近い? クラウド化で変わる情シスの運用業務」でも触れたが、システムを利用する際、最初にパブリッククラウドの利用を検討することを「クラウドファースト」と呼ぶが、このような概念が定着していくことで、クラウドの利用機会が増加することは明らかだ。ただし、パブリッククラウドを最初に採用し、複数のパブリッククラウドを連係した理想的なクラウド環境の実現を目指した場合、今回紹介したようなプライベートクラウドとパブリッククラウドを利用したハイブリッドクラウドよりも、より困難な道のりを歩むことになるだろう。これは、第1回「ビジネス部門から見た、理想的なクラウドの要件とは?」でも紹介した通り、パブリッククラウドだけで全てのサービスレベルを満たすことができないためでもあるが、最大の原因は管理者が制御できないインフラ同士を連係させることに起因する。また、理想的なクラウド環境の足掛かりとしてパブリッククラウドを採用した場合、単一のパブリッククラウドから進めることとなり、サービス終了や価格変動、サービスダウンなどのリスクを伴う。これらを考慮して選定すれば、プライベートクラウドから始めるハイブリッドクラウドが最適であることがご理解いただけるはずだ。
もちろん、クラウドへの対応を先延ばしにしていては、クラウド化の恩恵を享受しづらくなり、その結果、ビジネスの即応性、すなわちビジネス伸長に大きな足かせとなってしまう。では、どのようなことを考慮してプライベートクラウドを構成していくべきか。結論から言えば、「より理想的なクラウドに対応できるよう、実装が予定されている機能などを想定しつつ、構築可能な部分から構成していく」というのが現実解だろう。分かりやすく図で示すと、以下の赤枠の部分が対象になる。
パブリッククラウドへのネットワーク接続部分がすぐに解消されるとは考えづらい。だが、理想的なクラウド化の準備として、コントローラブルなプライベートクラウドの検討に今から着手し、後のハイブリッドクラウドに備えることが不可欠である。このことが読者の皆さんに伝われば幸いである。
伊藤忠テクノソリューションズ
ITサービス事業グループ 製品・保守事業推進本部
ITインフラ技術推進第1部
渥美秀彦/木島 亮/國分 学/高橋繁義/藤澤好民
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理想的なクラウド基盤を構築する方法
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