「デジタル研修」を生かすヒント【中編】
Visaは「市販の学習サービス並みに使いやすい社員研修ツール」をどう実現したか
従業員研修を効果的に進める上で重要な視点が、研修における学習体験の改善だ。Visaは研修ツールの使い勝手を、消費者向け学習サービスと同等に高めようとしている。その取り組みから企業が得られるヒントとは。
前編「『オンライン研修』『ハイブリッド研修』が“勝ち組企業”を育てる当然の理由」に続き、中編は企業が使い勝手の良い「デジタル研修」(ITを活用した研修)を提供する方法を、事例とともに紹介する。
ヒント3.研修ツールの使い勝手を消費者向け学習サービスと同等にする
人材開発(L&D)分野では、研修における従業員の学習体験の改善がトレンドになっている。従業員は、消費者向けのオンライン学習サービスのように簡単にアクセスでき、直感的なユーザーインタフェースを備えた使いやすいデジタル研修ツールを求めている。
決済ネットワークサービス企業Visaの経験を例に挙げよう。カリー・ウィリヤード氏が同社の最高人材育成責任者に就任した2018年、同社は既にデジタル研修ツールを導入していた。担当者はデジタル研修ツールを通して優れた研修用教材を提供していた。だがユーザーエクスペリエンス(UX)の面で配慮が足りず、操作がしづらいことから利用率は低かった。
Visaが実現した“使いたくなる研修ツール”とは
「Visaは継続的なデジタルトランスフォーメーション(DX)に乗り出しており、その一環としてL&Dの方法を進化させ、改良している」とウィリヤード氏は説明する。最優先事項は、従業員がシンプルな方法で研修用教材を利用できるようにすることだ。
従業員が教材を利用するための窓口として、Visaは受講者の学習体験を改善させることに着目した「学習体験プラットフォーム」(LXP:Learning Experience Platform)を構築した。ウィリヤード氏によると、同社の開発者はAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を利用して約20個のアプリケーションをまとめ上げ、学習体験プラットフォームを構築した。
学習体験プラットフォームのユーザーインタフェースは、Microsoftのユニファイドコミュニケーション(UC)ツール「Microsoft Teams」をベースにすることでシンプルさを実現した。バックエンドシステムとして学習管理システムを配置している。従業員は学習体験プラットフォームを介して、VitalSource Technologiesの共同学習サービス「Intrepid」やDegreedの同名研修サービスを利用可能だ。Microsoft Teamsの機能を使って従業員同士が共同で学習することもできる。
気に入った点や気に入らなかった点について従業員からフィードバックを得ることも重要だ。特定の学習体験が受け入れられているどうかを把握する方法に、学習履歴収集API「Experience API」(xAPI)の活用がある。xAPIを使用すると、企業は従業員が何をクリックしてどの教材を利用したかを各種システムから収集し、そのデータを保存し、分析できる。分析結果はデジタル研修ツールの改善に利用可能だ。L&D会社Josh Bersin Academyを創設した業界アナリストのジョッシュ・バーシン氏はxAPIを「重要な技術だ」と述べ、その活用例としてWatershed Systemsのラーニングアナリティクスサービス「Watershed」を挙げる。
後編は、職場におけるデジタル研修改善に役立つ6つのヒントのうち、残る3つを紹介する。
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