「デジタル研修」を生かすヒント【前編】
「オンライン研修」「ハイブリッド研修」が“勝ち組企業”を育てる当然の理由
企業が競争力を保つための重要な要素に、研修を通じた従業員のスキル向上がある。パンデミックのさなか、研修の中心的な手段となりつつあるのがデジタル研修だ。効果的なデジタル研修のヒントを紹介する。
企業が研修を実施するための環境は、急速に変化している。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)によって、ITを活用した研修である「デジタル研修」に注目が集まった。従業員はデジタル研修による継続的なオンラインでの研修機会を求めている。
人材開発(L&D)会社Josh Bersin Academyを創設した業界アナリストのジョッシュ・バーシン氏は、デジタル研修に役立つL&D向けのITツールは「数も種類も増えている」と話す。従業員のニーズを満たしつつ、ビジネス目標の実現に役立つデジタル研修やツールを提供するにはどうすればいいか。企業がデジタル研修を活用する際に役立つ6つのヒントを3回にわたって紹介する。
ヒント1.「オンライン研修」「ハイブリッド研修」などさまざまな研修手法を示す
インターネットを介した研修である「オンライン研修」に注目が集まると同時に、さまざまなデジタル研修の手法が生まれている。研修やL&D分野では、企業が従業員に対し、短い時間で学習するマイクロラーニングの機会の提供や、仕事の流れの中でスキルを体得できる環境を整備することが重要だ。
従業員が研修に使える時間を提供したり、研修動画を提供したりすることに力を入れ、従業員の都合に合わせてデジタル研修を受けられるようにする。このような支援を提供できれば、旧態依然とした研修を提供する企業よりも競争優位性を高められる可能性がある。
企業はどの従業員に対しても、公平に仕事や研修の機会を提供する必要がある。テレワークからオフィスワークに従業員の働き方を戻すことに決め、対面式研修とオンライン研修を組み合わせた「ハイブリッド研修」を研修手法の中心にするとしても、その点は変わらない。
製薬会社Sanofiは、習得対象となるスキルによって適切な研修方法を決めている。同社でグローバルリーダーシップ開発カリキュラムおよび機能横断型スキル部門の責任者を務めるクリスティーン・バコーラ氏は「当社は対面研修への投資に特に気を配っている」と話す。同社は必要なスキルを提供する上でどのような方法を取ることが最適かを考えている。
ヒント2.ソフトスキルを学ぶ機会を提供する
ディスラプション(創造的破壊)が常態化しつつある中で企業が成功を収めるには、チェンジマネジメント(組織の業務変革を進めるための手法)スキルや経営手法の開発スキルといったソフトスキル(問題解決や交渉などの非定型スキル)を従業員が持つかどうかが重要なポイントだ。こうしたソフトスキルを、デジタル研修ツールを利用して従業員に教えることができる可能性がある。
バーシン氏によると、チェンジマネジメントスキルはJosh Bersin Academyに通う人事担当者からの需要が最も高いソフトスキルだ。彼らは「優れたマネジャーになる方法、優れたリーダーになる方法、チームでよりよくプロジェクトに取り組む方法を知りたいと考えている」と同氏は話す。その他のソフトスキルとしては、ストーリーテリング、グロースマインドセット(努力によって自身の能力を向上させることができるという考え方)、世間や他者に影響を与えるインフルエンサーとしてのスキルなどがある。
Sanofiはソフトスキルを重視しており、同社の人材育成チームはソフトスキルの育成を基本として研修を構築している。バコーラ氏によると、人材育成チームが初めてオンラインで提供した研修の内容は「変化を導く方法」だったという。
中編は、職場におけるデジタル研修の改善に役立つヒントの3番目を紹介する。
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