エージェントベースの監視は効果的か?
SOAおよび非SOA環境でのトランザクション監視の3つのポイント
Webサービスのベテラン専門家が、SOAや非SOA環境でのトランザクション監視を改善するための3つのポイントを紹介する。
米TechTargetは先ごろ、SOA(サービス指向アーキテクチャ)のテストにかかわる関係者数人に取材する機会を得た。その1人がマムーン・ユヌス氏だ。同氏はWebサービスのベテラン専門家で、米Crosscheck NetworksのCEOを務めている。
われわれはユヌス氏に、SOAや非SOA環境でのトランザクション監視を改善しようとしている人のために、ポイントを3つアドバイスしてほしいと頼んだ。
もちろん「トランザクション監視とは何か」については、いろいろな考え方がある。SOAにも同じことが言える。そこでまず、定義についてのユヌス氏のコメントを紹介しよう。当然のことながら、同氏は現在のエンドツーエンドのトランザクション監視と、CICS(Customer Information Control System)を区別している。
「厳密に言えば、さまざまなクライアントアプリケーションで使える再利用可能なオペレーションを含むアプリケーションは『サービス化』されており、従ってSOAに基づいている。しかし、今回の説明では、SOAは、WebサービスベースのモダンなSOAであると想定してよい。非Webサービスベースの環境(非SOA)については、アプリケーションを2つのカテゴリーに分類しようと思う。Webサービススタックを使わない3層型のクライアント/サーバ、メインフレームアプリケーションと、モノリシック型のグリーンスクリーンメインフレームアプリケーションだ。どちらのカテゴリーでも、トランザクション監視の対象は、特定の場所に限られており、SOA環境とは異なり分散されていない。このため、トランザクション監視は、データベースやアプリケーションサーバ、あるいはCICSアプリケーションといったアプリケーションコンポーネントの機能を組み合わせて実現される」
さらに、ユヌス氏はこう続ける。
「一般的に本番稼働前に行われるコードレベルやバイトレベルの厳密な監視では、JMX(Java Management Extensions)やSNMP(Simple Network Management Protocol)などさまざまな監視技術やログアグリゲータが、バイトレベルのインスツルメンテーションと監視により、ビジネス機能の実行状況を詳細に明らかにする。コードレベルの監視が本番稼働中に行われることはめったにない。アプリケーションのパフォーマンスに影響を与えるからだ」
なお、以下に示すユヌス氏のアドバイスにもあるように、トランザクションを効率的に監視する上で非常に重要なのは「監視プログラムをどこに配置するか」だ。ユヌス氏の主張は、「エージェントベースの監視は問題を引き起こす。特に、既存システムのインスツルメンテーションにおいてそれが顕著だ」というものだ。もちろん、エージェントの推進者は、エージェントが既存システムにおいて必ず悪影響を及ぼすという見解に異議を唱えるだろう。また、暗号化は一部の人には最優先課題ではないだろうが、ユヌス氏にとっては明らかにそうだ。よくあることだが、さまざまな観点があり得るということだ。
では、トランザクションを適切に監視するためのポイントとしてユヌス氏が挙げた3つを具体的に見ていこう。
1. トランザクションパス上の重要な監視ポイントを特定する
対応すべきビジネス課題に基づくトランザクション監視要件を満たすのに必要な監視ポイントを選択する。例えば、「どの外部パートナーが関与したか」「そのパートナーのSLAが満たされているか」が分かればよい場合は、データキャプチャーポイントは、ネットワークエッジに設けるだけでよく、それはXMLゲートウェイかもしれない。しかし、エンドツーエンドのトランザクション監視を行う必要がある場合は、トランザクションフロー全体にわたってデータキャプチャーポイントを設けなければならない。
2. 監視による悪影響ができるだけないようにする
自社環境の運用シナリオとライフサイクルに基づいて監視技術を選択する。既に本番稼働に入っている場合、すべてのJavaコンテナや.NETサーバにエージェントベースの技術を展開すると、大きな悪影響が生じる。本番システムに手を加えることは、CIOが最もしたくないことであり、ビジネストランザクションが処理されている場合はなおさらだ。監視を行わないと企業は売り上げを失うかもしれないが、エージェントのインストール、有効化、リグレッションテストを行う必要から本番アプリケーションをオフラインにしたら、企業は確実に売り上げを失う。本番環境では、XMLゲートウェイなどのプロキシを使ってトランザクションをキャプチャー、監視することを考えるべきだろう。悪影響がない方法でデータをキャプチャーしたら、それらを集約し、相互に関連付け、SOA環境全体にわたってトランザクション状態を確認しなければならない。
3. SOAおよび非SOAトラフィックの監視では、強力な復号機能が重要
ビジネストランザクションは通常、保護されている。保護されていない場合には、暗号化や署名、アイデンティティー管理、難読化ツールによって保護しなければならない。こうした方法で保護されたトランザクションを監視するには、補完的な機能を実行する必要がある。例えば、暗号化されたデータは、まず復号しなければビジネストランザクション監視に利用できない。総合的な監視統計を得るには、強力なデータ解読機能を持つトランザクション監視ソリューションが必要というわけだ。データを保護するだけでなく、こうした適切なソリューションで読み取る仕組みを用意することで、包括的なトランザクション監視が可能になる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
市場調査・トレンド
[AvePoint Japan株式会社] SCS評価制度の死角は“SaaSの中” クラウド標準機能では届かない領域とは? -
製品資料
[デジタルサーカス株式会社] 5分で分かる、「オープンソースCMS」比較ガイド -
製品資料
[デジタルサーカス株式会社] 1つのアプリを各国で運用 多言語モバイルアプリを簡単に開発・導入できる方法 -
製品資料
[ニュータニックス・ジャパン合同会社] 複雑化するKubernetes運用、VMとコンテナの二重管理を解消する方法は? -
市場調査・トレンド
[アルプス システム インテグレーション株式会社] 急増する高度なフィッシング詐欺 先回りしてブロックするには何が必要?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHPはそもそも必要か? 脆弱性で問われる自社サイト安全性と保守負担のバランス
-
2
京王電鉄・東京メトロの被害から学ぶ境界防衛 ITの侵害はどこまで波及するか
-
3
米国防総省で300万人分の個人情報が流出 その「意外な原因」と教訓
-
4
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
5
Microsoft 365導入後も稟議は「Excelをメールで回覧」 承認が止まる理由
-
6
金融・通信で情報漏えいが続出 IPAとJPCERT/CCが情シスに求める緊急点検
-
7
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
8
PHP2Shellの「事前の情報流出」でパニックに パッチ公開を巡る“混乱劇”
-
9
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
10
現場のスマートフォンが「データの墓場」になる? 情シスが陥るモバイル活用の死角
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
3
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
4
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
5
SCS評価制度時代の「SASE選定」ガイド
-
6
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
7
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
8
「EDR」選定ガイド:比較・検討フェーズで整理すべきポイントを解説
-
9
MDMだけでは防げない? Appleデバイスに潜む5つのセキュリティギャップ
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー