海外社内SNS活用事情【前編】
社内SNSとメールを使い分ける海外企業
従業員同士のコラボレーションの改善に向けて、企業向けのソーシャルソフトウェアツールに投資する米国企業は多い。今後ますますメールの役割は薄れていくかもしれない。
普通の郵便と同様、電子メールが「過去のもの」になろうとしている。フランスのある大手IT企業は先ごろ、従業員に社内SNSの使用を奨励し、メールの使用を禁止する方針を発表した。この発表を受けて、業界関係者の間では「ビジネスコミュニケーションやコラボレーションの主要な手段がメールではなくなる日が近づいているのか」が議論の的になっている。
仏Atos OriginのCEO、ティエリー・ブレントン氏が発表したのは、「1年半後をめどに社内メールを完全に廃止する」という方針だ。同氏は従業員のコミュニケーションとコラボレーションには、インスタントメッセージング(IM)やFacebookスタイルのSNSプラットフォームなどの企業向けソーシャルソフトウェアを使わせたいと考えている。「メールは時代遅れであり、もはや適切なコミュニケーションツールではない。企業はソーシャルメディアの特徴を生かした新たな動きに対応する必要がある」と同氏。
社内SNSはメールゼロの世界に対応できるか?
「従業員だけに適用するのであれば、メールゼロ化のポリシーは実行可能だろう」と指摘するのは米Forrester Researchの主任アナリスト、ヘンリー・デューイング氏だ。
「極端なアイデアに思えるかもしれないが、この案には一理ある。最近はどうでもいい内容のメールがあまりに多い。メールが役立つ場面は今でもあるが、使われ過ぎなツールであることは間違いない」と同氏は言う。
確かに社内SNSの使用を拡大している企業は多い。だがそうした企業も社内メールの使用を禁じているわけではない。オーストラリアの大手法律事務所Minter EllisonのCIO、ピーター・ベスターフェルト氏によると、同社はナレッジマネジメントとメッセージングのために2000人の従業員のおよそ半数に米Cisco Systemsのエンタープライズコラボレーションプラットフォーム「Quad」を導入したという。同製品の展開はまだ初期の段階にあるが、同氏は今後Quadユーザーの比率が増えていくものと予想している。
Minter Ellisonの従業員は文書管理の他、顧客や調査に関する情報のやりとりにQuadを使用している。だが世界各地にスタッフが分散している同社では、メールもまだ活用されている。「持続的な会話が不要な場面であれば、メールは至急性のないメッセージングツールとして有用なコミュニケーション手段になる」とベスターフェルト氏。
「コラボレーションの点では、どちらも重要なプラットフォームだ。メールは1対1のコミュニケーションツールとなるが、Quadでは情報や専門知識をグループ分けしたコミュニティーが提供される。おかげで従業員はFacebookのような環境で適切な専門家の投稿をフォローしたり、その場ですぐにそうした相手とコミュニケーションをとったりできる」とさらに同氏は語っている。
優勢なのはソーシャルメディア
米調査会社Nemertes Researchの副社長兼サービスディレクター、アーウィン・ラザー氏によると、社内メールを禁止している企業はあるとしてもごくわずかだが、今日、従業員同士のコラボレーションの改善に向けて企業向けのソーシャルソフトウェアツールに投資している米国企業は多いという。企業は従業員のコラボレーションとコミュニケーションをできるだけメール以外の手段に移行させたいと考えているのだ。
「問題はメールがワークフローには適していないということだ。やりとりの内容を記録したり追跡したりするという点では、特に不便だ。企業はFacebookのようなプラットフォームを見て、『なぜ自分たちもこの方法でコミュニケーションを図れないのか』と疑問に思い始めている。企業はとにかく人々をメール以外の方法に移行させるための理由を探しているのだろう」とラザー氏は言う。
「メールからソーシャルメディアプラットフォームへの移行は自然な流れであり、既にその流れは明白だ」と同氏は続け、社内では多くの従業員のやりとりで既にIMがメールに取って代わっていると指摘している。「企業が完全にメールを廃止することにはならないだろうが、ソーシャルメディアの追加によって今後メールの役割はますます薄れていくだろう」と同氏。
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