ベストセラー作家の予言
人工知能(AI)のある職場で人のやる気はどう変わるか?
機械学習やデータ分析は増加の一途をたどっている。その結果、コンピュータに仕事を奪われることを恐れている従業員もいる。だが、その心配はない。
機械学習は企業で人間が担ってきた役割を変えるだけだ。ジャーナリストでベストセラー作家でもあるマルコム・グラッドウェル氏(注)は、2017年5月23~25日に米オーランドで開催された「Citrix Synergy 2017」の基調講演でそう語った。
かつて、専門家の仕事はパズルを解くかのようにデータと情報を収集することだった。だが、その仕事は職場に導入されているデータ分析と人工知能(AI)によって変化している。今日の従業員は外へ出て情報を集めるパズルの解読者ではなく、機械が収集する複雑な情報を読み解かなくてはならないミステリーの解決者だと、グラッドウェル氏は述べている。
「現在、専門家に期待するのは、意思決定のチェーンにおいて機械では到底及ばない決定的な部分を担うことだ」(グラッドウェル氏)
一例として、全米プロバスケットボール協会(NBA)のゼネラルマネジャーの役割について考えてみよう。その役割は、選手が活躍するかどうかを予測し、その予測に応じて給料を支払うことである。
機械学習テクノロジーは、通常NBA選手がピークを迎えるのは24~25歳であることを明らかにしている。また、26~27歳くらいのタイミングで少なくとも1年間パフォーマンスが落ちるというパターンがあることも分かっている。パフォーマンス低下の一般的な原因は、このくらいのタイミングで選手が初めて大きな契約を結び、現状に満足してしまうからだ。
機械が特定するパターンには例外があり、このような場合に人間の手が必要になる。例えば、ユタ・ジャズのゴードン・ヘイワード選手は、2014年の契約更改後に毎年好成績を残している。
「どうしたらこのような仕事ができるのか。データが教えてくれるのかというと、そうではない」(グラッドウェル氏)
このような仕事をするには、その人と話をして、その人のことをよく知らなくてはならない。どれだけ自動化を進めても「Microsoft Excel」のスプレッドシートを見つめても、この情報を掘り出すことはできない。コンピュータは膨大な量のデータを集めることができる。だが、そのデータから適切な結論を導き出せるかどうかは私たち人間の手に掛かっている。
「今後、人間の判断が不要になることはない。今までより人間の判断の必要性はずっと高くなっている」とグラッドウェルは語る。
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