意外にゆっくり?
5Gの最初の5年に起こること
5Gの時代が始まった。これから5年間で5Gを巡ってどのようなことが起こるのだろうか。5年後にどの程度普及しているのだろうか。
5Gが現実になろうとしている。2018年末、初の商用サービスが米国と韓国で開始された。この波は2019年にさらに広がり、今後数カ月のうちに英国を含む先駆的なヨーロッパ市場、中国、オーストラリア、中東で開始されるだろう。
今後5年、つまり2023年末には世界88の市場で5Gネットワークが稼働すると予測している。5Gではモバイルブロードバンドのパフォーマンスが格段に強化される。最終速度は1Gbpsをはるかに超え、待機時間は非常に短くなる。
利用者もこうした高速化を歓迎するが、5Gが最も大きな影響をもたらすのは産業界だ。本稿では5Gのさまざまな形態に目を向け、5Gが今後5年間の社会生活にどのような影響を及ぼすかについて考える。
2019年2月に開催されたMWC(Mobile World Congress)において、5Gは幾つもの議題に取り上げられた。商用導入、パートナーシップ、多数のユースケースが発表され、デモンストレーションが行われた。5G対応スマートフォンが6機種発表され、「Galaxy Fold」や「HUAWEI Mate X」など「折りたたみ可能な」フォームファクターの最高級機種が話題をさらった。Xiaomi、LG Electronics、ZTEなども5G対応のスマートフォンを発表した。
Appleはこれまで率先して新世代の技術を実験したことはなく、5Gでも同様の姿勢を見せる可能性が高い。初の5G対応「iPhone」は2020年になると期待されており、発売されれば5Gの普及は一気に進むだろう。
ただし世代交代の長期化、端末が高価格に設定される可能性、そしてユースケースが一つも整っていない点を踏まえると、2022年までに5G機器が多くの先進国市場で総接続数の4分の1より多くを占めることはないと予想する。
5Gスマートフォンが広く普及すれば、携帯電話事業者が多大な利益を得るのは間違いない。端末の高速化と機能増加により、データ使用量は今よりも格段に上がるだろう。Cisco Systemsは、世界のモバイルデータ使用率は2018年から2022年にかけて4倍に跳ね上がると予測している。携帯電話事業者は4Gでデータ中心のビジネスモデルに転換して通話とテキストメッセージサービスを無料提供し、使ったデータ量に基づいて課金することが多い。
5Gの登場により、携帯電話事業者はデータ使用量の増加による収益増加を期待するため、この流れは続くとみられる。また携帯電話事業者がゲームやライブイベントを配信するために拡張現実(AR)や仮想現実(VR)の使用を検討することも予想される。家庭以外では、5Gホットスポットがガソリンスタンドや信号機などに設置され、コネクテッドカーが大量のデータを素早くダウンロードすることが可能になる。
5Gは非常に高速なので、一部の早期導入事例では高速固定無線アクセス(FWA)ソリューションとして位置付け、携帯電話事業者が家庭用ブロードバンド市場のシェアを光ファイバーと争うことを可能にする。5Gが世界中に普及するにつれ、FWAはこれまでブロードバンドが対応していなかった領域に広がり、これまで接続環境がなかった人々を接続する重要な役割を果たすことになる。
新しいテクノロジーとユースケース
消費者以外に目を向けると、自動運転、インダストリアルオートメーション、遠隔手術などの新しい技術とユースケースを実現する方法として多くの企業が5Gを検討している。さまざまなテクノロジー企業や自動車メーカーが公道で自動走行車の試運転を行っているが、法律や世間の認識などの要因を考えると一般に普及するのはこれから5~10年後になるかもしれない。
これらのユースケースはいずれもスペクトルなしには実現しない。5G高周波スペクトルは人口密度の高い地域に膨大な容量を提供し、スポーツスタジアムや音楽イベントといった場面でのデータサービス障害の発生を回避する。ただしこの膨大な容量には犠牲が伴う。電波を数百メートル以上届けるのは、都市部以外ではコスト的に厳しくなる。
5Gネットワークが最初に対応するのは主要都市の中心部になると予想されるが、2023年末には世界の人口の4分の1以上に電波が届くようになるだろう。人口集中地域の外は5Gより低周波数の信号がアクセスを提供する。
消費者、企業、そしてモバイル業界自体が5Gに向けて最初の一歩を踏み出す5年間がいよいよ始まった。この流れは最終的に人々のコミュニケーション、働き方、生活を変えるだろう。ただし、2023年末でも5Gが世界中のモバイル接続に占める割合は10%未満にすぎず、ネットワーク投資は4Gに大きく傾き続けると予想される。
5Gの導入は2019年に加速し始めるが、特に導入のコストや戦略については強く警戒する必要があるというのがMWCでは大多数の意見だった。
誇大に宣伝されてはいるものの、5Gの最初の5年間は始まったばかりだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly日本語版
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[LRM株式会社] 「標的型攻撃メール」事例・サンプル集 -
製品資料
[LRM株式会社] セキュリティ教育はなぜ「年間計画」を立てる必要があるのか? -
製品資料
[LRM株式会社] セキュリティの重要性が伝わらない…… 効果がない社員教育から脱却する方法 -
製品資料
[LRM株式会社] 「標的型攻撃メール訓練」導入ガイド 社員の意識を確実に高める仕組みの作り方 -
事例
[株式会社マクニカ] アイカ工業に学ぶ脆弱性対策 情シスが把握できずにいたアセットも正確に把握
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
2
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
3
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
4
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
5
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
6
ISMSの“コンサル丸投げ”が招く数千万円の無駄 NTTドコモビジネスの脱出劇
-
7
Netflixのバックエンドは「ほぼJava」 3000超のアプリを支える開発基盤の裏側
-
8
AI基盤は本当に「オンプレ回帰」する? Broadcomの言い分と企業の本音
-
9
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
10
エンジニアが選考を辞退する本当の理由 7割が隠す“面接の違和感”とは
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
8
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
9
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー