ITリーダーが直面する「DX」の3大課題【後編】
DXリーダーにこそ「傾聴力」が欠かせないシンプルな理由
テレワークが当たり前になり、働き方の常識が大きく変わった。企業はDXを推進する上で、こうした変化を捉えて組織構造やリーダーシップのスタイルを見直す必要がある。どう見直せばよいのか。
デジタル時代に適応するためにビジネスや企業風土を変革する「DX」(デジタルトランスフォーメーション)の実現を目指す企業は2021年も、前編「ITリーダーは『コロナ禍で生まれた新たな顧客ニーズ』にどう応えればよいのか?」、中編「ITリーダーは『DX推進に必要なIT人材がいない』問題をどう解決すればよいのか?」に示すような課題に取り組む必要がある。ただし新しい技術を取り入れてDXを推進しようとしても、人や組織にITを使いこなす文化が定着していないことには始まらない。レガシーな組織構造がDXの足かせになることもある。
データドリブンな企業文化の醸成には時間がかかる。長期的な取り組みを、どのように始めるべきか。
課題3.DXを妨げる“古いリーダー像”からの脱却
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マーケティング部門は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって変化した時代の顧客ニーズを見直す必要に迫られた。2021年にはIT部門も実装戦略を練り直し、テレワークとコラボレーションを拡大できるようにする必要がある。
人材紹介やアウトソーシングを手掛けるHarvey Nash Groupと国際会計事務所のKPMGが発表した、CIO(最高情報責任者)をはじめとするITリーダーの意識調査「Harvey Nash / KPMG CIO Survey 2020」によると、約7割のITリーダーは「COVID-19以降もテレワークを続ける従業員は21%以上存在する」と考えている。ジェフ・ベゾス氏が提唱した「ピザ2枚の法則」(1つのチームの規模はピザ2枚を分け合える人数<6~10人程度>にすること)に従うと、各チームのうち1人か2人がテレワークをすることになる。
2020年には、ITリーダーは総じてCOVID-19の課題にリアクティブ(受動的)な対処をした。2021年には、組織構造とリーダーシップの変化に対してプロアクティブ(主体的)に取り組む必要がある。
次のステップ
テレワークや分散型勤務に適応するために組織構造と人材管理プロセスの長期的な変更を進めた企業は多くないだろう。こうした長期的な変更は、2021年に検討すべき課題になる。CEO(最高経営責任者)は概して、DXの施策を加速させる必要があると考えている。遠隔でもビジネスコラボレーションが可能で、アジャイル(敏しょう)に対処でき、革新的かつ効率的なIT部門になれるかどうかが、事の成否を左右する。
2021年には、共感力の高いリーダーシップを促進するように組織構造を変える必要がある。2021年も従業員は家庭と生活にさまざまなストレスを受けると予想できる。ストレスの度合いは、COVID-19の影響やワクチンの動向によって変わってくるだろう。仕事以外のストレスが原因で従業員が業務に集中できず、生産性が低下して、DX戦略に支障が出るような事態は避けなければならない。
変更管理計画を整備して、新しい技術やワークフローの変更、データドリブンの習慣に従業員が適応できるようにしなければ、DXの取り組みは成功しないだろう。ITリーダーは、IT部門の最適化だけでなく、広範な文化的変更と組織再編も考慮する必要がある。
これを解決するには、企業の各部門のリーダーに、アクティブリスニング(積極的傾聴)の能力を身に付けることがいかに重要で急務であるかを理解してもらう必要がある。リーダーがこの能力を習得すれば、従業員が助けを必要としているときや、より大きな課題に取り組む準備ができているとき、気付けるようになる。
自己組織力と多様性、分野横断性を備えたアジャイルチームの推進に、あらゆる企業のリーダーは最優先で取り組む必要がある。アジャイルの手法をアプリケーション開発以外にも広げ、マーケティングやセールス、財務、オペレーションの従業員もアジャイルチームメンバーに加える取り組みが理想的だ。これをまだ進めていないとしたら、大きなメリットを取り逃がすことになる。アジャイルチームは引き受けた仕事にコミットし、その仕事を成功に導くために何が必要かに応じてコラボレーションの方法を調整する。アジャイルの手法によって、チームは直面する状況や課題を調整しやすくなる。
共感力、適応力、現実的な目標、システムの適切な選定こそ、DXリーダーが2021年に成功するために必要なものとなるだろう。
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