「デジタル研修」を生かすヒント【後編】
従業員が研修を進んで受けたくなる「ゲーミフィケーション」「VR」の可能性
良質な研修用教材を用意しても、従業員の学習が続かなければ成長はない。意欲的に学習を続けてもらうために、企業はどうすればよいか。有効な手段となり得るのが「ゲーミフィケーション」「VR」の活用だ。
中編「Visaは『市販の学習サービス並みに使いやすい社員研修ツール』をどう実現したか」に続き後編となる本稿は、企業が従業員研修に「デジタル研修」(ITを活用した研修)を生かす6つのヒントのうち、残る3つを紹介する。
ヒント4.ゲーミフィケーションなど学習を促進する方法を取り入れる
従業員が取り組んだデジタル研修の成果を示すための手段は幾つかある。資格情報をデータ化した「デジタルバッジ」の付与、ゲーム以外の活動にゲームの仕組みを利用する「ゲーミフィケーション」におけるリワード(報酬)の提供が代表例だ。こうした手段は、デジタル研修に対するポジティブな印象を従業員に与え、デジタル研修への積極的な参加や知識獲得を促すのに役立つ。
決済ネットワークサービス企業Visaは、オンライン研修サービスを提供するLEO Learningの協力を受けて、デジタル研修支援システム「学習体験プラットフォーム」(LXP:Learning Experience Platform)を構築した。同社は販売分野に特化したコースなど、特定の研修セッションを修了したユーザーにデジタルバッジを与えている。学習体験プラットフォームがコースの修了情報を認識し、人事管理システムと連携して、スキルに合った適切な職務を従業員に提案しようという考えだ。
Visaの人材開発(L&D)チームは、Watershed Systemsが提供するラーニングアナリティクスサービス「Watershed」に学習体験プラットフォームを接続することで、従業員の学習時間や学習離れが起きているポイントなど、研修過程のさまざまな側面をデータで確認できるようにした。いずれはこうした要素をCRM(顧客関係管理)システムの情報に結び付け、オンライン研修が自社の売り上げにどのように結び付いたかを確認したいと考えている。
ヒント5.人材育成にVR/AR技術を取り入れる
人工知能(AI)技術などの比較的新しい技術は、デジタル研修においても重要な役割を果たす。中でも重要な技術が仮想現実(VR)技術だ。VR技術はもはやゲーマーだけのものではない。VR技術とそれに近い拡張現実(AR)技術は、デジタル研修を支える強力な手段になる。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が起きて以降、その重要性は増している。
CAD(コンピュータ支援設計)ソフトウェアベンダーAutodeskはVR技術ベンダーのImmersionと提携し、デジタル研修にVR技術を導入した。Autodeskで人材および組織開発部門のグローバル責任者を務めるテリー・バンクイッケンボーン氏は、VR技術を同社の次世代リーダー育成プログラム「Emerging Leaders Program」に取り入れたと語る。同社は従業員の具体的なニーズに合わせてさまざまなデジタル研修の方法を提供している。ある分野のスキルを習得するのにどのような手法を取ることが最適かを理解することは、L&Dを成功させるための重要な要素だ。
ヒント6.目的に基づいてデジタル研修戦略を練る
企業における全てのデジタル研修は、戦略という基盤の上にあるべきだ。事業部門や人事部門のリーダーは、業務上の目標をサポートする継続学習や自主学習の構想を実現するために、従業員の能力を見極める必要がある。
Degreed、EdCast、Microsoftなど、ベンダー各社が提供するデジタル研修ツールの導入そのものは難しいことではない。だが「デジタル研修を業務に役立てることができるかどうかはまた別の問題だ」と指摘するのは、L&D会社Josh Bersin Academyを創設した業界アナリストのジョッシュ・バーシン氏だ。
食品メーカーのMarsは、目標に基づいてL&D戦略を決めることで従業員のスキル開発がシンプルになった。従業員の学習によって企業の俊敏性を高める施策の一環として、Workdayが提供する同名人材管理サービスを用いたL&Dプロジェクトを運用している。
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