「GLOVIA smart 製造 MES」導入事例
「パッケージ導入で工場のムダ一掃」リケンテクノスの挑戦
化学品製造のリケンテクノスは、新製品の生産立ち上げに当たってある業務改革に挑んだ。それは、新製品に最もふさわしい生産管理パッケージ製品を導入し、工場の生産現場でのムダ取りを徹底するというものだ。
生産過程で発生するムダを排除せよ
リケンテクノスは1951年に設立された、国内屈指の化学品製造企業。合成樹脂加工の技術をベースに、「コンパウンド事業」「フイルム事業」「食品包材事業」を柱としたビジネスを展開している。
同社は2005年秋、群馬に新工場を開設した。ここで新たに生産を開始したのが「高機能フィルム」だ。この製品を生産する過程では、切断の際などに発生する余りもの、すなわち端数の材料が出てくる。これらを無駄にせずに、いかにうまく再利用できるか。これが同社にとって懸案となっていた。
もちろん、工場開設当初から端数の材料を管理する仕組み自体は設けられていたが、人手作業による管理だったため、無駄を完全に排除することは困難だった。そこで同社は、ITソリューションの導入による問題解決を模索することとなった。
手組みシステムからパッケージへの移行
群馬事業所では当初、手組み開発の生産管理システムを運用していたが、同社はこれをパッケージ製品に入れ替え、前記の問題解決に当たることを決める。この決断の背景について、リケンテクノス システム開発部 部長の福田正樹氏は次のように説明する。
「手組みの既存システムは個別業務ごとに順次開発してきたもので、既存製品の生産管理には適している。しかし、より厳密な生産管理を要求される高機能フィルム生産については、既存システムでは対応に限界があり、改修するにもそれなりのコストと時間がかかる。また、群馬事業所は新しくオープンしたばかりで、システムの新規導入を行いやすかった。そこで、これを機にパッケージ製品を導入し、手組みシステムが抱える問題の解決を図ろうと考えた。また、将来的な全社レベルでのパッケージ製品へのリプレースをにらんだ、モデルケースにしたいとの思いもあった」(福田氏)
業務にもパッケージにも手を加えず
同社は早速、導入するパッケージ製品の選定を開始した。複数の製品を比較検討した結果、最終的に同社が選んだのは富士通が提供する製造業向けパッケージ製品「GLOVIA smart 製造 MES」だった。
同製品の工程管理機能は、ロット単位で材料や製品、さらには端数に至るまでフルトレースが可能になっている。しかし、こうした機能は昨今の製造業向けパッケージ製品では決して珍しいものではない。同製品の採用を決めたもう1つの理由を、福田氏は次のように説明する。
「各社のパッケージ製品が備える業務フロー機能を比較検討した結果、GLOVIA smart 製造 MESが最も群馬事業所の業務フローにマッチしていた。そのため、われわれの業務フローの変更も最小限で済むと同時に、パッケージのカスタマイズも極小化できると踏んだ。これが採用の決め手の1つになった」(福田氏)
工場の「完全見える化」を目指したシステム
リケンテクノスのシステム開発部と富士通は、2007年10月に要件定義の作業を開始。その後順次、インタフェースや帳票の設計、システム実装の作業へと進んでいった。システム全体の概要は、下図の通りだ。
上図にある「開封済管理、有効期限管理」と「端数照会」は、端数の材料を厳密に管理するために、GLOVIA smart 製造 MESの機能をベースにして新たに開発された機能だ。そのほかの「作業指示」「在庫引当」といった機能に関しては、GLOVIA smart 製造 MESにもともと搭載されている基本機能を使用している。
作業実績や材料の投入実績といったデータは、主に無線ハンディーターミナルのバーコードリーダーで入力を行う。入力されたデータは、データベース上ですべてロットナンバーとひも付けて管理される。そのため、特定のロットの品質に何らかの問題が生じた場合も、原因がどこにあったのかを明確にできる。
また、通常の作業指示だけでなく、細かい作業ノウハウまでシステム上で管理しているのが特徴だ。工場の作業において形式知化しにくい暗黙知は、生産効率や品質の維持・向上のためには極めて大事な資産であるにもかかわらず、得てして属人化してしまいがちだ。そこでこのシステムでは、埋もれがちなノウハウ情報もデータベース上で管理し、端末から容易に参照できるようにすることで、作業の漏れを極力排除するように工夫を凝らしている。
さらにこの新システムのもう1つの特徴は、工程管理と在庫管理の連携が密に取られている点だ。複数のパッケージ製品の個別機能をバラバラに導入するのではなく、工程管理と在庫管理の機能を併せ持つGLOVIA smart 製造 MESのメリットをフルに活用しようという狙いだ。
パッケージソリューションの利点を最大限に追求
ユーザーインタフェースの設計では、現場の意見を徹底的にヒアリングし、現場の使い勝手を最優先に考えたという。その一方で、ユーザーインタフェース以外の部分に対するパッケージのカスタマイズは、最小限にとどめた。これは、GLOVIA smart 製造 MESがカバーする機能の範囲の広さ、リケンテクノスの業務フローとの相性の良さもさることながら、ユーザーの「パッケージソリューションならではのメリットをとことん追求しよう」という強い意志によるものだ。
さらに、システム構成の設計に当たっては、耐障害性を十分考慮した構成が取られた。その結果、工場にシステム担当者が1人も常駐していないにもかかわらず、24時間体制でのシステム障害対応を実現している。
GLOVIA smart 製造 MESの導入で得たもの
工場の現場への新システム導入は、2段階に分けて行われた。第1段階はユーザー、すなわち現場の作業員へのオフライントレーニングが班ごとに順次実施された。これが一通り完了した後、第2段階として既存システムと新システムの並行運用フェーズに移行した。2008年11月にすべてを新システムに切り替えた後は、ほとんどトラブル知らずで稼働しているという。
群馬事業所の新システムが本格稼働を開始して約9カ月がたつが、当初の主な導入目的であった端数の無駄の排除については成果が上がっており、材料の廃棄量は確実に減ってきているという。またリケンテクノスでは、環境管理システムの国際規格であるISO14001の認証を取得しており、環境問題への取り組みも積極的に行っている。廃棄量の削減は、同社のこうした企業理念にも合致するものだ。
工場の生産現場の作業員も新システムの利用にすっかり慣れ、運用も順調のようだ。「ハンディーターミナルで“ピッ”とやるだけで済むようになり、随分楽になった」と好評だという。また、在庫管理業務を工程管理と一体でシステム化したことにより、在庫管理の精度が格段に上がったという。それに伴い、人的ミスが原因での手戻り作業も明らかに減った。
さらに劇的に変化したのは、棚卸し作業だ。福田氏は次のように振り返る。「1時間で棚卸しの作業が完了したときには、『本当に終わったのか? システムのバグではないのか?』と驚いた」。しかも生産ラインを止めることなく、通常通り稼働させながら棚卸しを行うことが可能になったのだ。
パッケージの適用範囲を拡大するプランも
同社は現在、今回のGLOVIA smart 製造 MES導入による新システム構築の成功を礎として、次のステップを構想中だという。
「まだ群馬事業所内でも、新システムが適用されていない業務プロセスがある。今後は、こうした部分にもGLOVIA smart 製造 MESを活用していければと考えている」(福田氏)
さらには一工場だけにとどまらず、ほかの事業所にも同様のソリューションを適用可能ではないかと模索しているところだという。
「今回、手組みによる個別最適化システムの問題をパッケージ製品導入によって解決するモデルケースができたと思っている。今後は、そのほかの製品の生産ラインや、ほかの工場に対するパッケージ製品の導入を検討していく予定だ」(福田氏)
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