XenClientのHCLはなぜvProのみ?(前編)
クライアント仮想化にIntel vProは価格に見合う価値があるか?
XenClient 1.0のHCLに登録されているチップファミリーは1種類、vProだけだ。しかし、クライアント型のハイパーバイザーを実行するのにvProは必要ない。
ITプロフェショナルたちは、米Citrix Systemsや他のVDI(Virtual Desktop Infrastructure)メーカーがクライアント型のハイパーバイザー(以下、クライアントハイパーバイザー)にオフラインサポート機能を組み込むことを長い間待っていた。しかし、Citrix Systemsが2010年、対応製品「XenClient」を出荷したとき、彼らは大いに失望した。深刻な制約があったことに加え、「ハードウェア互換性リスト」(以下、HCL)に載っているチップファミリーが1種類、すなわちIntel vPro(以下、vPro)しかなかったからだ。
ITプロフェショナルたちには、仮想化に対応する他の米IntelチップよりもvProがコスト高になることが不満だった。また、vProに付随する管理機能によって余計なコストが掛かるため、仮想デスクトップ環境でそのプレミアム価格が実情に見合うものかを疑問視する声もある。
事実、米VMwareがType1(ハイパーバイザー型)でクライアントハイパーバイザーを出さない理由の1つとして、ベアメタル型ハイパーバイザーが高価なvProチップを必要とする点を挙げた際には、大きな波紋を呼んだ。
しかし、ふたを開けてみれば、Type1のクライアントハイパーバイザーを実行するのに、vProは全く必要なかった。
例えば、米Virtual Computerが開発したNxTopはType1のクライアントハイパーバイザーだが、IntelとAMDの双方のチップ上で稼働し、ベアメタル型で実行するためにvProを必ずしも必要としない。同社は最近、一連のIntel Core vProチップのサポートを明らかにしたが、クライアントハイパーバイザーを実行するための必須要件はIntel Virtualization Technology(以下、VT)であり、これはvPro以外のさまざまな非vProシステムにも組み込まれている。
事実、NxTopの管理、セキュリティ機能のほとんどは、AMDの仮想技術であるAMD-Vチップ上でも実行可能だ。もっとも、vProベースのシステムに投資する企業は、NxTopのコア機能に加え、さらに高度な管理、セキュリティ機能を利用できるとVirtual Computerでは説明している。
Citrix Systemsは2010年10月、XenClientのHCLに、いずれ非vProチップも含まれるようになると明言した。だが、その後サービスパックがリリースされたものの、現時点においても、HCLに含まれるのはvProファミリーだけだ。
クライアント仮想化でvProを利用
実際のところ、vProはIntel Trusted Execution Technology(TXT)やVTなど、デスクトップ仮想化プラットフォームにアドバンテージをもたらす一連の技術をバンドルしたものである。しかし、IT系Webメディアの米Virtualization Practiceのアナリスト、サイモン・ブラムフィット氏によると、vPro Active Management Technology(AMT)の機能は、他のデスクトップ仮想化製品が提供する機能とほとんど変わらないという。
つまり、vProの管理機能が何らかのメリットをもたらすとすれば、それはVDIを全面導入していない企業に限られるというわけだ。
米AMAG PharmaceuticalsのITディレクター、ネイサン・マクブライド氏は2010年、Windows XPからWindows 7移行の一環として、vProベースのラップトップにVirtual ComputerのNxTopクライアントハイパーバイザーをインストールした。同氏によると、vProはパフォーマンス的にはほとんどメリットはないが、コストに見合う電源管理とセキュリティ機能を提供してくれたという。
マクブリッジ氏は、そうした機能をビルトインしたCitrix SystemsやVMwareのVDIスイートは考えなかった。それらの製品を導入すれば、バックエンドのインフラストラクチャにも投資しなければならないからだ。同氏がVMware ViewやXenDesktopを評価したとき、それらの製品はまだオフラインサポートも提供していなかった。
「NxTopで、われわれはRAMを追加した古い米Hewlett-Packard(HP)のマシンを利用している」とマクブリッジ氏は語る。「既存のネットワークとWAN上で稼働させているが、全く不安はない」。さらに、プロビジョニング、パッチング、バックアップの各機能が全てソフトウェアパックに含まれ、NxTop環境全体のコストはプロダクションサーバ2台分と同じだった。それにプラスして、新規に購入したノートPCのコストが掛かっただけだ。
現時点で、AMAGの従業員125人がvPro搭載のノートPC、Lenovo T410を使用しており、来月にはさらに125人以上のユーザーが移行する予定だ。ただ、マクブリッジ氏によると、NxTopソフトウェアはプレインストール状態で出荷されないため、フルブートまでにマシン1台当たり90分を要するという。
前編では、クライアントハイパーバイザーにおけるvProの利用価値について述べた。後編では、クライアントハイパーバイザーの現状の課題と今後の選択肢に触れる。
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