「App-V」「vPro」の全社適用ケースに見るPC管理の近未来形クライアントPC管理 最前線リポート【後編】

クライアントPC管理の根深い問題を解決するソリューションとして期待が集まる「アプリケーション仮想化」と「vPro」。早くも取り組みを開始している企業の先進事例や最新動向を紹介しよう。

2009年03月13日 08時00分 公開
[石田己津人]

 前編「PC管理コスト削減の切り札となるか『アプリケーション仮想化』と『vPro』」では、PC環境が複雑化するに伴いその管理も煩雑になり、企業が保有するクライアントPCのTCO削減が思うように進んでいない状況を説明した。そして、その状況を変える可能性を秘めた技術として「アプリケーション仮想化」と「Intel vPro」を紹介した。とりわけ、ソフトウェア技術であるアプリケーション仮想化は、ハードウェア技術であるIntel vProに比べ、比較的導入障壁が低い技術だといえよう。

 アプリケーション仮想化の市場は、まだ立ち上がったばかりの段階だが、前編でも述べたように大手ソフトウェアベンダーがこぞって製品を投入し、本格化してきている。その中の1つ、マイクロソフトの「App-V」(Microsoft Application Virtualization)は企業ユーザーにとって有力な選択肢の1つになるかもしれない。App-Vは、同社が2006年に買収した米Softricityのアプリケーション仮想化ソフトウェア「SoftGrid」が基になっているが、多くの企業がITインフラ管理で利用するマイクロソフト製品との統合を果たしている。この点は、マイクロソフト製品のユーザー企業にとってはメリットだといえる。

1000種類のクライアントアプリケーションがOS移行の障害に

画像 ウチダスペクトラム 紀平克哉氏

 クライアントPC関連ソリューションで実績のあるウチダスペクトラムも、アプリケーション仮想化の有用性を主張するシステムインテグレーターの1社だ。同社 マーケティング担当 執行役員の紀平克哉氏は、「アプリケーション仮想化は認知度こそまだ低いが、サーバ仮想化の普及により仮想化技術の効果が広く知られてきたので、顧客に説明すると関心を持ってもらえる。App-VについてはSoftGridの時代から注目しており、マイクロソフト製品になったことでより扱いやすくなった」と話す。実際、同社が提供する「PCデスクトップ環境移行ソリューション」ではApp-Vを採用しており、ユーザーへ積極的に提案しているという。

 大規模な導入事例も出始めている。製造業の大手企業A社では、約8000台にも及ぶクライアントPCのOSをすべてWindows Vistaへ移行する計画を立てていたが、最も大きな問題は異なるPC環境上で動作している数々のクライアントアプリケーションの存在だった。その数は何と、1000種類ほどにも達していた。それらすべてについてWindows Vista上で動作検証を行い、不具合の修正や代替手段を講じるとなると、とてつもない工数が掛かる。

 また、一部の組織でしか使われないアプリケーションをWindows Vista上に直接インストールするとPC環境が複雑になってしまい、全社規模での一元的な展開や管理が難しくなる。

 さらに、A社ではWindows Vistaによる新しいPC環境を「ゼロタッチ」(PC側での作業なし)で展開しようと考えていた。しかし、インタラクティブなインストール手順を必要とする一部のアプリケーションは、通常の方法ではゼロタッチ展開を実現することは困難だった。

 A社はこうした問題を解決するソリューションを検討した結果、アプリケーション仮想化のメリットが決め手の1つとなり、ウチダスペクトラムの提案を採用することとなった。

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

譁ー逹€繝帙Ρ繧、繝医�繝シ繝代�

製品レビュー グーグル合同会社

重要なエンドポイントを守る、Chromeブラウザを企業向けに安全性を強化する方法

世界中で広く利用されているChromeブラウザは、業務における重要なエンドポイントとなっているため、強固なセキュリティが必要となる。そこでChromeブラウザを起点に、企業が安全にWebへのアクセスポイントを確立する方法を紹介する。

製品資料 グーグル合同会社

Chromeの拡張機能:企業における今求められる管理戦略とは

Google Chromeの拡張機能は生産性の向上に不可欠な機能であり、ユーザーが独自にインストールできる一方、IT管理者を悩ませている。ユーザーデータを保護するためにも、効率的な運用・監視が求められるが、どのように実現すればよいのか。

製品資料 arcserve Japan合同会社

データの保全・保護・復旧を全方位でカバーするバックアップ戦略とは?

データ活用が企業の命運を握る今日にあって、絶対に避けなければならないのがデータの損失だ。本資料では、ビジネスクリティカルな状況下でデータの保全・保護・復旧を可能にするバックアップソリューションを紹介する。

製品資料 arcserve Japan合同会社

自社に必要な機能だけを選び、最適かつ効率的なバックアップ環境を構築する方法

データのバックアップに求める機能は、企業によってさまざまだ。必要な機能だけを選択して導入することで、無駄なく効率的なデータ保護が可能になる。そこで注目されているのが欲しい機能だけを搭載できるバックアップ/リカバリー製品だ。

製品資料 arcserve Japan合同会社

運用を大幅に軽減し、多様なニーズに対応するバックアップ対策とは?

データバックアップは、安定した経営を維持し、災害やサイバー攻撃のリスクから業務を守るために不可欠である。とはいえ、自社に最適なバックアップ手法の確立は簡単なことではない。豊富な機能を備えているソリューションに注目したい。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

繧「繧ッ繧サ繧ケ繝ゥ繝ウ繧ュ繝ウ繧ー

2025/05/02 UPDATE

  1. Windows縺瑚オキ蜍輔@縺ェ縺��エ蜷医↓繧ょスケ遶九▽蝗槫セゥ迺ー蠅�€係inRE縲阪→縺ッ��
  2. 縲係indows縲阪�ISO繝輔ぃ繧、繝ォ繧貞�謇九〒縺阪k窶懈э螟悶↑邨瑚キッ窶昴→縺ッ��
  3. 2.4蜆�床縺後€碁崕蟄舌#縺ソ縲阪↓�溘€€PC縺ョ雋キ縺�崛縺医′騾イ繧€窶懊さ繝ュ繝顔音髴€窶昴□縺代〒縺ッ縺ェ縺�コ区ュ
  4. 縺ゅ▲縺ヲ縺ッ縺ェ繧峨↑縺�€梧悴謇ソ隱阪�PC縲阪′遉セ蜀�ロ繝�ヨ繝ッ繝シ繧ッ縺ォ邏帙l霎シ繧€窶懈$繧阪@縺�炊逕ア窶�
  5. 縺�∪縺輔i閨槭¢縺ェ縺�€沓itLocker縲阪�莉慕オ�∩縺ィ讖溯�縲€Windows繧貞ョ医k證怜捷蛹悶→縺ッ��
  6. Windows縺後←繧後□縺鷹€イ蛹悶@繧医≧縺後€勲ac縺励°蜍昴◆繧薙€阪→諤昴≧莠コ縺ョ險€縺��
  7. Windows縲御ソョ蠕ゥ繧、繝ウ繧ケ繝医�繝ォ縲阪€後け繝ェ繝シ繝ウ繧、繝ウ繧ケ繝医�繝ォ縲阪�驕輔>縺ィ繝医Λ繝悶Ν蟇セ蜃ヲ豕�
  8. 繝舌ャ繧ッ繧「繝��陬ス蜩√�縲御ケ励j謠帙∴讀懆ィ弱€阪′5蜑イ雜�€€霑キ襍ー縺励↑縺�ヲ狗峩縺玲婿豕輔���
  9. Mac諢帛・ス閠�′縲係indows縺ッ菴ソ縺�↓縺上>縲阪→諢溘§繧銀€懆�蜻ス逧�↑隕∝屏窶�
  10. 繧ゅ≧Windows縺ッ縺ゥ縺�〒繧ゅ>縺�シ溘€€縺ェ縺應シ∵・ュ縺ッ縲係indows 11縲阪↓闊亥袖縺後↑縺��縺�

ITmedia マーケティング新着記事

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...