クラウドの課題「パフォーマンス管理」を解決する【後編】
AWSとWindows Azureのパフォーマンスを管理するには
Amazon Web ServicesやWindows Azureは、それぞれのユーザーがクラウドサービスのパフォーマンスを管理するための手法や情報を提供している。
前編「パブリッククラウドのパフォーマンスを監視するオンラインリポートツールの利用」ではパブリッククラウド型アプリケーションのパフォーマンスを監視するためのオンラインリポートを紹介した。だが、オンラインリポートを利用するだけではパフォーマンス監視には不十分だ。パフォーマンスログをダウンロードして分析したり、アラームの通知やグラフィカルリポートの提供を行ったりできるオンプレミスの診断管理ツールも、購入するか、開発しなければならない。
米AmazonのAmazon Web Services(AWS)部門のようなIaaS(Infrastructure as a Service)プロバイダーは、インフラサービスとセットで各種の運用指標データを提供することに力を入れている。Windows AzureやSQL AzureのようなPaaS(Platform as a Service)でも、アプリケーションとそのコードに関する詳しい情報が提供されており、それらをカスタマイズすることも可能だ。
AWS CloudWatchによるパフォーマンス監視
DevOpsチームはAmazon CloudWatchにより、Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)インスタンスのCPU使用、データ転送、ディスク使用、レイテンシ、リクエスト数を自動監視するサービスを利用できる。このサービスではEC2インスタンスの他、EBSボリューム、SQSキュー、SNSトピック、Elastic Load Balancers、Amazon RDSデータベースインスタンスの基本的な指標が、追加料金なしで5分間隔で提供される。AWS Management Consoleの[CloudWatch]タブで、一般的な指標やアラームを追加でき、[Navigation]ペインの[Metrics]ページにアクセスすれば、指標のグラフを見ることができる(図1)。
DevOpsチームは、AWSのAuto Scaling機能を利用することで、CloudWatchのアプリケーション運用指標に基づいてAmazon EC2インスタンスを動的に追加、削除し、弾力的な運用を実現できる。AWS部門は2011年7月に、Auto Scalingに通知や反復的処理などの新機能を導入している。
CloudWatchでは、アプリケーション監視指標は用意されていない。AWSは、特定のOSや開発プラットフォームに依存しないIaaSサービスだからだ。しかし、開発者は、エラー処理や未処理のエラーなどのアプリケーションイベントに応じてアプリケーションがAPIリクエストを行い、機能やモジュールの実行時間など、アプリケーション関連の指標が得られるように、アプリケーションをプログラミングできる。
Windows Azureのパフォーマンスのロギングと分析
MicrosoftのWindows Azureチームは、Azureが2010年1月に正式リリースされて以来、このPaaSサービスのプラットフォームにロギング、分析、診断といった機能を着実に追加してきた。Windows Azureポータルのインタフェースは、指標や分析機能、アラームの追加をサポートしていないため、Windows Azureのコンピュートおよびストレージサービスの診断とロギングを可能にするには、DevOpsチームがコードの作成や構成ファイルの編集を行わなければならない。表1は、2010年6月からWindows Azureの診断APIによって、DevOpsチームが分析に利用できるようになったログを示している。
| データソース | 詳細 | 格納先 |
|---|---|---|
| Windows Azureログ | トレスリスナーをweb.configまたはapp.configにsystem.diagnostics設定で追加する必要がある。ScheduledTransferPeriodの設定は1分 | WADLogsTable(テーブル) |
| Windowsイベントログ | アプリケーションからのイベントとシステムイベントのログ。ScheduledTransferPeriodの設定は1分 | WADWindowsEventLogsTable(テーブル) |
| IIS 7.0ログ | ScheduledTransferPeriodの設定は10分 | wad-iis-logfiles(BLOBコンテナ) |
| IIS 7.0失敗した要求のログ | Webロールのweb.configファイルのsystem.WebServerセクションで、ステータスコードが400~599の失敗した要求全てについて、トレスを有効にする。ScheduledTransferPeriodの設定は10分 | wad-iis-failedreqlogfiles(BLOBコンテナ) |
| パフォーマンスカウンタ | パフォーマンスカウンタのロギングを有効にする。SampleRateとScheduledTransferPeriodを5分に設定する | WADPerformanceCountersTable(テーブル) |
| 表1. Windows Azureの診断データ収集ログ(2010年6月にリリースされたWindows Azure SDK v1.2によって利用可能になったもの。「格納先」の列の項目は、ログデータが格納されるAzureテーブルとBLOBを示す) | ||
また、Windows Azure SDK v.1.4と、8月初めにリリースされたWindows Azure Tools for Microsoft Visual Studio v.1.4では、Windows Azureの本番ファブリックで稼働中のWindows Azureアプリケーションのプロファイリングを、Visual Studio 2010 PremiumまたはUltimateで行える機能が追加された。さらに、Windows Azure Tools for Microsoft Visual Studio v.1.4に加え、このツールと併せてリリースされたWindows Azure Storage Analytics機能により、実行されたストレージアカウント要求のトレスログの他、BLOB(バイナリラージオブジェクト)、テーブル、キューの容量と要求の統計の要約を示す指標が利用できるようになった。
前編「パブリッククラウドのパフォーマンスを監視するオンラインリポートツールの利用」で紹介したOakLeaf SystemsのAzure Table Services Sample Projectは、Azure SDK v.1.4、Windows Azure Tools for Microsoft Visual Studio v.1.4、およびWindows Azure Storage Analyticsを使って8月22日に更新された。このサンプルプロジェクトは、テーブルストレージとBLOBストレージの分析テーブルの他、TraceWriterアイテムに基づく内部タイミングデータを生成するが、診断データの読み込み、表示、管理を行うには、アプリケーションが別途必要だ。インドのCerebrataのAzure Diagnostics Managerは、ログおよび診断データをテーブルまたはグラフィックフォーマットで読み込んで表示する。同社の無料のWindows Azure Storage Configuration Utilityを利用すれば、ITオペレーションチームは、コードを作成せずにストレージの使用状況の分析を始められる。CerebrataのCloud Storage Studioでは、テーブルとBLOBの管理機能も利用できる(図2)。
一方、MicrosoftのSystem Center Monitoring Pack for Windows Azure Applicationsは、Cerebrata製品と同様の機能をSystem Center Operations Manager(SCOM)2007および2010 β版のユーザーに提供する。Windows Azure環境の自動スケーリングによって弾力的な運用を行うには、今のところ、米ParaleapのAzureWatchのようなサードパーティーソリューション、.NETによる機能開発、Microsoftが開発中のWindows Azure Integration Pack for Enterprise Libraryのいずれかが必要になる。SQL Azureデータベースを監視するには、SQL Azureの3つのカテゴリーの動的管理ビュー(データベース関連のビュー、実行関連のビュー、トランザクション関連のビュー)を使用しなければならない。
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