基本的な分析ツールの活用意向が明らかに
ビッグデータ対応、約半数の企業が「Hadoop採用予定なし」の理由
Hadoopへの関心は急速に高まっているように見える。しかし、ある米調査によると約半数(45%)は、Hadoopを検討するつもりはない、あるいは同技術を自社のアーキテクチャに導入する予定はないと答えたという。
IT系のメディアを見渡せば、分散コンピューティング環境で膨大なデータを処理するためのオープンソース技術の説明として、「ビッグデータ」という用語と「Hadoop」という言葉が結び付いているような印象を受ける。しかし最近の調査によると、このような認識は錯覚にすぎないようだ。
米Ventana Researchの調査ディレクター、デビッド・メニンガー氏は最近、「The Challenge of Big Data: Benchmarking Large-Scale Data Management Insights(ビッグデータの課題:大規模データの管理手法を検証する)」と題された調査報告書を公表した。これは163社の有効回答者から得られた調査結果に基づいてビッグデータ分野の現状を示したもの。同報告書によると、急速に拡大する巨大な構造化/非構造化データを管理する技術は今も進化しつつあるが、Hadoopなどの特定のツールだけが活躍しているわけではないとしている。実際には、企業は基本的な分析ツールをはじめとするさまざまなツールを使ってビッグデータの領域に足を踏み入れており、既に社内で利用しているツールから取り組みを始めるケースが多いという。また、ビッグデータのチャレンジに対処するには幾つかの問題を克服しなければならず、中でも最大の問題がスキル不足であることが調査で明らかになった。
「Challenge of Big Data」は2部構成の調査の後半に当たるもの。前半(2011年7月に発表)ではHadoopの利用状況に着目した。今回はビッグデータ全般について分析を行った。両報告書とも同じ調査結果に基づいて作成された。回答に影響を与えないようにするために、Ventanaではビッグデータをいう用語を使わずに「大規模データ」という表現を用いた他、調査項目全体の3分の2まではHadoopに関する質問を含めなかった。
ビッグデータ対応は特定の1つの技術が特効薬にはなっていない
話題は盛り上がっているものの、実際にHadoopを使っていると答えた回答者は約22%にすぎなかった。約半数(45%)は、Hadoopを検討するつもりはない、あるいは同技術を自社のアーキテクチャに導入する予定はないと答えた。メニンガー氏は、この結果には驚かなかったという。「この調査を6カ月前ではなく、今日行ったとしても、これらの数字は変わらなかったと思う」と述べている。
「ホットな新技術には普及カーブがある。先行導入企業、早期追随企業、マスマーケット、そして遅れてついて来るグループだ」と同氏は説明する。「Hadoopへの関心は急速に高まっているが、これと同じパターンになるだろう。現時点では、まだマスマーケットの段階に達していないと思う」
今日、ビッグデータ分野で最もポピュラーな技術はHadoopではなく、比較的ベーシックな技術だ。回答者の89%は、主要な大規模データの処理手法としてリレーショナルデータベースを挙げた。メニンガー氏によると、企業は必要に迫られない限り、同技術をメインとして使い続ける可能性が高いという。
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「企業が何らかのしきい値を超えない限り、リレーショナルデータベースが不十分だと判断されることはないだろう」とメニンガー氏は語る。
ビッグデータ用にリレーショナルデータベースを使っている89%の回答者のうち、93%は補助的なビッグデータツールも利用していると答えた。「この数字は、特定の1つの技術が特効薬になっていないことを示している」とメニンガー氏は指摘する。企業はむしろ、さまざまなツールや技術を組み合わせて使っているという。
メニンガー氏にとって意外だったのは、ビッグデータ分野全体を通じてインメモリ技術が広く利用されているという事実だ。調査では、回答者の33%がインメモリデータベースを使っていた。1~2年内に同技術を利用する予定だという回答も17%あった。
当面はベーシックな技術で対応
ビッグデータを保有している企業も今のところ、ベーシックな手法を用いてデータを分析する傾向にあるようだ。大多数の回答者(94%)は、ビッグデータの分析に役立つクエリ技術やリポーティングツールが社内にあると答えた。一方、予測やデータマイニング機能を備えた高度な分析ツールを持っているという回答は55%にとどまった。
「データ量が増えてくれば、単純な分析だけでは不十分になる」とメニンガー氏は調査結果に関するWebセミナーの中で述べている。「何十億個もの数値を調べて、その中から重要な値を見つけるという手法は、ますます困難になる」
ビッグデータから特定の値を探し出すというのは最も効率的な方法ではないにせよ、メニンガー氏は調査の結果に驚いているわけではない。というのも同氏は、技術と同様、手法自体もベーシックなものから始まり、次第により高度なレベルに進むという軌跡をたどると考えているからだ。この考えは、Ventanaが2010年に2000社余りの企業を対象に実施した調査でも裏付けられているという。
2010年の調査の結果について「高度な分析機能はほとんど利用されていない」と同氏は指摘する。高度な分析機能とは、プランニング、予測、What-if分析、予測分析などだ。「つまりビッグデータも例外ではないということだ」
とはいえ、ビッグデータ分析プロジェクトを推進できる企業は、ベーシックなクエリやリポーティング機能だけに依存している企業よりも有利な立場にあるという。
ビッグデータプロジェクトを推進する取り組みには、新たな人材に投資したり、従業員に対して追加トレーニングを実施するといったことも含まれる場合もある。メニンガー氏の調査では、最大の障害は技術とは無関係なものであることが明らかになった。2つの最大の問題が、人材の確保とトレーニングだという(関連記事:ビッグデータ活用の成功を左右するのは「人」──米調査会社)。
回答者の3分の2は、現在のプロジェクトでスタッフをトレーニングする必要があるとしており、56%は将来のプロジェクトでトレーニングが必要になると答えた。
「ビッグデータの扱い方を理解している人材、そしてビッグデータに高度な分析手法を適用できる人材がもっと必要だ」とメニンガー氏は話す。「高い能力を備え、こういったことに対処する訓練を受けた人が不足している」
ビッグデータをHadoopに関連付けるのと同じように、多くの人々は高度な分析技術をデータサイエンティスト、すなわちデータを掘り下げ、その中に隠されたパターンや知見を引き出すことができる高度なスキルを持った技術者に関連付け始めている。しかしメニンガー氏によると、これはやや的外れだという。
「ビッグデータ技術のインプリメンテーションを理解、運用するための考え方とスキルは、1台のマシン上で動作する技術のインプリメンテーションのそれとは異なる」と同氏は指摘する。「実行する分析の種類と、データが複数のマシンに分散している形態との間で交差する部分を理解することが依然として、システムをうまく機能させる上で重要なポイントであることに変わりない」
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