数秒でVM起動、2万400台のサーバを1人で管理
理想はAmazon、Facebook、Google たった5つのヒントが導く効率的なシステム運用
Amazonのような迅速性、Facebookのような運用管理性、Googleのような高信頼性。一般的なデータセンターでも理想的なシステム構築や運用を可能にする5つのヒントを紹介しよう。
米AmazonはVM(仮想マシン)を数秒で立ち上げることができる。米Facebookでは2万4000台のサーバを1人の管理者で管理することができる。米Googleでは1年間で1000台のサーバが故障しても同社のシステムは微動だにしない。
「一般的な企業のデータセンターではこのようなわけにはいかないが、ITチームはWeb規模のITを目指すべきだ」。先ごろラスベガスで開催された「Gartner Data Center Conference」の講演者たちはそう口をそろえた。
米Gartnerのアナリストたちは、Web規模のITを実現するためのアドバイスとして、以下の5点を挙げた。
1. 迅速に更新する
技術更新サイクルの迅速化は、コストの増加ではなくコストの節減につながる可能性がある。例えば、1台の古いサーバをもう1年使用すれば、その電力コストがサーバ更新の費用を上回り、しかも新しいサーバの消費電力が旧サーバよりも20~30%少なく、処理能力は15%アップするという場合もある。「古いシステムを『使えるだけ使おう』というのは、後ろ向きの考え方だ」とGartnerのデビッド・カプチオ調査担当副社長はアドバイスした。
Gartnerブラジル支社の調査ディレクターを務めるエンリケ・チェッキ氏は「データセンターの運用担当者には、新世代のハードウェアやソフトウェアを調べたり、自社のニーズや予算を検討したりするだけの時間的余裕がない」と指摘した。
2. 障害を受け入れる
Web規模の本番環境を支える基本理念は“障害に耐え得るIT”である。企業は「ハードウェアコンポーネントを厳格に保護する」「最高のストレージアレイや最高のサーバを配備する」という姿勢から、「レジリエントな(障害復元力の高い)システムの中で障害を受け入れる」という姿勢に移行しなければならない。「たとえ個々のコンポーネントが完全でなくても、また信頼性に優れていなくとも、それぞれが連係してデータセンター全体として信頼性が高くなればいいのだ」とGartnerのキャメロン・ハイト調査担当副社長は話す。
3. サーバの標準化
スケーラブルなデータセンターでは、サーバをカスタマイズするよりもサーバを標準化するメリットの方が大きい。例えば、Facebookでは5種類のサーバ上で約200種類のアプリケーションを運用している。Gartnerのアナリストであるカール・クローンチ副社長によると、サーバの種類を増やすのは、ビジネス的に大きなメリットがある場合に限定するべきだという。特定のアプリケーション用にカスタマイズすると、拡張性や新技術への対応といった面で制約が生じるからだ。
汎用型ハードウェアをベースとしたハイパースケールデータセンターモデルを見習うには、ODM(※)の製品を採用するか、自社が必要とする製品をサーバベンダーに特注する必要がある。Gartnerのピーター・グラント業務執行副社長によると、サーバメーカー各社はODM製サーバの普及拡大に危機感を抱き、データセンターの要求に柔軟に対応するようになってきたという。
※ ODM:Original Design Manufacturerの略。製品の設計から生産までを行う企業
4. 自社で開発する
「自社のIT環境のプロビジョニングと管理に適したツールが存在しないのであれば、自社で開発すればいい。オープンソース開発を活用するとともに、オープンソースコミュニティーに貢献する。自社のインフラに必ずしも必要でない管理機能は外すべきだ。管理者がチェックしなければならない項目をむやみに増やすのは、生産性の低下を招くだけだ」とクローンチ氏は語る。
5. DevOpsを活用する
Web規模の戦略として企業のIT部門に徐々に浸透しつつあるもう1つの手法が「DevOps」だ。アナリストらによると、開発チームと運用チームが同じ目標と指標を持つことで、アプリケーションのモジュール化、運用開始/中断の容易化、アップデートの迅速化、アプリケーション障害の減少といったメリットが生まれるという。
またDevOpsは、規則でがんじがらめになった状態からIT部門を解放し、従来の運用管理から新たな段階に飛躍するための活力をITチームに与える可能性がある。
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