強化されたセキュリティ
もうダメな理由が見当たらない? 加速する企業の「Dropbox」待望論
「ビジネス向けDropbox」に新しいセキュリティ機能が導入された。また、Dropboxのファイル共有操作をよりシームレスなものにするための新たな統合機能も実現している。
米Dropboxは、同社のファイル共有サービス「Dropbox」を企業が安全に利用できるようにするための取り組みを進めている。「ビジネス向けDropbox」ではファイル共有についてセキュリティと制御の設定が幾つか追加されている。また、統合オプションの拡張によって、使い慣れたツールで、従業員がより安全かつ効率的に共同作業を行えるようになっている。
強化されたファイル共有のセキュリティ
Dropboxの新しいセキュリティ機能には、共有フォルダーの閲覧専用アクセス権限、共有リンクのパスワードと有効期限などがある。知名度の高いクラウドベースのファイル共有サービスプロバイダーであるDropboxが2013年春にリリースしたビジネス版サービスにセキュリティと管理の機能を導入したことで、企業のIT部門はホッと胸をなでおろしていることだろう。
最新版のビジネス向けDropboxでは、共有フォルダーとリンクの保護が重視されている。閲覧専用のアクセス権限により、共有フォルダーの作成者は、フォルダー内のファイルを閲覧または編集するチームメンバーを識別して制御できるようになる。Dropboxで製品/ビジネス/モバイル部門のトップを務めるイリヤ・フシュマン氏はブログで次のように述べている。「パスワードと有効期限の機能により、一時的なアクセスを許可できるようになる。これはパートナーやコンサルタントと一緒に仕事をする企業で重宝されるだろう」
このような取り組みによって、企業がDropboxをコラボレーションサービスとして受け入れる可能性は高くなるだろう。米Enterprise Strategy Group(ESG)でシニアアナリストを務めるテリ・マクルーア氏は次のように語る。「多くの企業は現状、一般消費者向けのDropboxを使用している。だが、業務データを企業の管理下に戻すために、ビジネス向けDropboxを採用する需要があるのは間違いない。これがDropboxの最大の狙いだろう」
言語/検索/ソーシャルサービスを手掛けるテクノロジー企業として豪シドニーを拠点に活動するAppenは、ドキュメントの共同作業を行うために、米Microsoftの「SharePoint」を一部の部門で導入している。だが、より一般的に使用されているのはDropboxだ。Appenで運用と言語リソース部門の統括責任者を務めるスティーブン・ノリス氏は「当社では職務に最適なツールを使用する方針を掲げている。当社のオフィスは遠く離れた場所にある。また、営業開発チームは外出することが多い。そのため、安定で簡単に使えるツールが必要だった。現在ファイルの共有とデータの移動にはDropboxを使用している」と話す。
ビジネス向けDropboxの導入以前からAppenでは約90人の従業員がDropboxを使用していた。ビジネス向けDropbox導入後、その数は110人に増加している。従業員は、個人用のアカウントと仕事用のアカウントが分離される恩恵を享受している。
ビジネス向けDropboxを導入する企業の数は増えている。Dropboxでは大きなファイルの共有もシンプルかつ高速に行える。その利便性がユーザーに受けている。ノリス氏は、新しいセキュリティ機能を使用して洞察(インサイト)を得た上で、ユーザーがファイルを共有できる相手を制御するつもりだという。全社レベルでDropboxを使用するには、この機能は欠かせないと見ている。
閲覧専用のアクセス権限は、大企業で新しいユースケースを促進する可能性がある。例えば、コンテンツ配布に使用して、従業員が最新の会社案内にアクセスできるようにすることが可能だとESGのマクルーア氏は語る。社外のユーザーと安全にファイルを共有できることは、クライアントやパートナー企業と仕事をする企業の役に立つだろう。「パブリックリンクを共有することをちゅうちょしていたユーザーもいる。だが、パスワードによる保護とリンクの有効期限の機能があれば、状況は変わるだろう。これらは非常に重要な機能だ」
新しいセキュリティ機能により、Dropboxを使用することに対してIT部門の安心感は増すだろう。しかし、あらゆる業界でDropboxが普及するには、これらの機能をさらに拡張する必要があるとマクルーア氏は指摘する。「これらのセキュリティ機能が有益であることは間違いない。だが、金融業界などの業界で米FINRA(金融取引業規制機構)の認定を受けるには、さらに機能を強化する必要がある」
「Dropboxの未来は、同社が、どこを目指していて、企業の需要に対応するためにどのような設計の選択肢を選ぶかに掛かっている。米Googleと同じように一般消費者と企業の両方をターゲットにする道を選ぶ可能性が高いと予想しているが、万人向けのサービスを作ることはできない」と米Forrester Research副社長のロブ・コプロウィッツ氏は語る
Dropboxのファイル共有機能と業務アプリの統合
Dropboxは「Shared Folder API」と「Document Preview API」を導入している。これらのAPIを使用すると、開発者はDropboxの共有フォルダーとドキュメントプレビューの機能を業務アプリまで拡張して、よりシームレスな共同作業を実現できる。「ユーザーはウィンドウを切り替えることなくDropboxにあるファイルを閲覧できる。Dropboxでもサードパーティーのアプリでも、同じようにファイルを共有することが可能だ」とDropboxのフシュマン氏は語る。
Appenのノリス氏はDropboxを自社のフィールドワーク記録アプリに統合して、ファイルの同期を一元的に管理し、状況をリポートできるようにする計画を立てている。「当社では60種類のフィールドワークシステムを使用している。これらのシステムは個別に導入したもので、複数の国にあるPCの間でデータを移動するために使用している。全システムを監視するのは容易ではない」
Dropboxが企業向けのファイル共有サービス市場で成功するには、レガシー環境に統合できることも重要な機能になるとESGのマクルーア氏はいう。「大企業が重視しているのは新しいアプリケーションのエコシステムへの参入だけではない。統合とアプリケーションの近代化を図れることもまた重要な条件になる」
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