テレワークの運用ルールと評価制度を考える【第1回】
人材不足は「待ったなし」、中堅・中小企業の経営課題にテレワークは有効?(1/2 ページ)
生産性やワークライフバランス向上などへの期待から、テレワークを利用したいと考えている人は多くなっている。連載第1回では、日本におけるテレワーク推進の現状を解説する。
連載について
本連載では、中堅・中小企業におけるテレワークの導入をテーマに、IT以外も含めた包括的な情報をお届けする。「日本の現状」「企業事例」「導入までのプロセス」「労務管理上の留意点」「行政の支援制度」「関連製品/サービス」と、全6回の連載で各項目を解説する。
「テレワーク」は、ITを活用して時間と場所にとらわれない働き方を実現することで、限られた労働力の生産性を上げる取り組みだ。そのため近年では、IT投資の新たなテーマとしても注目されるようになった。日本経済団体連合会(経団連)や経済同友会でも「生産性向上のためのワークスタイル変革」を日本企業の経営課題として取り組むよう、組織に促している。
皆が一斉に職場で始業し長時間労働を是認するような従来型の労働価値感の変革、仕事の方法の見直し、労務管理面の手当てなど、いざテレワークを組織に導入する場合にはITツール以外にもなすべきことが幾つかある。実は生産性向上を目的としたテレワークの導入は、経営トップの説得とコミットメントが欠かせない、経営課題なのだ。
テレワークとは
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テレワークは「情報通信技術を使った、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」のこと。Tel(離れたところで)とWork(働く)を組み合わせた造語だ。テレワークは大きく分けると、 次のようになる。
- 働く場所による区分
- 自宅で働く「在宅勤務」
- 移動中や出先で働く「モバイルワーク」
- 本拠地以外の施設で働く「サテライトオフィス勤務」
- 就業形態による区分
- 雇用型テレワーク
- 自営型テレワーク
日本では、1990年代に大都市圏の通勤混雑緩和策として注目され、大企業が郊外にサテライトオフィスを持った。2000年代からは在宅勤務が育児や時間の制約ある従業員向けの制度としての利用が増え、2005年ごろからはクラウドサービスやモバイル端末の普及で、導入コストを抑えつつ時間や場所を問わず仕事ができる環境を容易に作れるようになり、企業の規模を問わず利用が増えている。
中堅・中小企業の経営課題とテレワーク
少子高齢化による深刻な労働力不足
出生率の減少と人口の高齢化による労働力の不足は深刻で、厚生労働省雇用政策研究会「雇用政策研究会報告書」(2012年8月)によれば、2010年から2030年までの間に労働力が950万人減少すると予測されている。大阪府の人口は約884万人(2016年2月時点)なので、実に全大阪府民に相当する働き手がいなくなってしまう計算になる。
中小企業の経営課題にも人手不足が顕在化
商工組合中央金庫(商工中金)が中小企業に対して実施した調査(図1)によれば、人手不足が経営課題として急速に重みを増していることが分かる。
中堅・中小企業の人材確保にはテレワークが1つの解に
人手不足に対しては、スキルのある従業員の離職を防止することが1つの手段だ。離職の原因としては、育児や介護、または病気治療などが挙げられるが、スキルのある女性従業員が育児や夫の転勤などで通勤が難しくなった状況に対応してテレワークを導入している中堅・中小企業の例がある。
また、テレワークを前提にした新卒採用の事例もある。詳しくは第2回で取り上げる。
日本企業におけるテレワークの普及実態
企業のテレワーク導入率や利用率は低い
日本企業によるテレワークの導入は、まだ大企業が中心であり、導入済みの企業でも利用者は限定されているのが現状だ。
総務省「平成26年通信利用動向調査(企業編)」によれば、テレワークを導入している企業の割合は11.5%にすぎない。導入していない企業のうち「導入予定がある」が3.5%、「導入予定がない」が83.7%であり、企業の関心度は低いのが現状だ。
資本金階級別で見ると、資本金50億円以上の大企業とそれ以外で大きな乖離(かいり)があることが分かる(図2)。
また、制度導入済み企業でもテレワーク利用率は低い(図3)。
テレワークの普及には大きな伸びしろがある
日本テレワーク協会が2015年にワーカー(20~69歳までの、業務でメールを使う就業者)に対して実施した「働き方に関する調査」によれば、「メールと電話さえあれば週1回程度の在宅勤務ができる」が50.1%、「現在は在宅勤務をしていないが、今後したいと考えている」が59.1%であった。
現在テレワークができている割合と将来の利用意向には大きなギャップがある。そこで日本テレワーク協会は、企業にテレワークの制度が広まれば利用者は大幅に増えると考えている。
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テレワークの運用ルールと評価制度を考える
本連載ではTechTargetジャパンの読者である情報システム部門の読者に対して 、中堅・中小企業におけるテレワークの導入をテーマに、ICT以外も含めた包括的な情報をお届けする。「日本の現状」「企業事例」「導入までのプロセス」「労務管理上の留意点」「行政の支援制度」「関連製品/サービス」と、全6回の連載で各項目を解説する。
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