ChatOpsで進化するIT部門のコミュニケーション【最終回】
LINE、Facebook、MSが注目する未来型コミュニケーション「ChatOps」の仕組み(1/2 ページ)
ITベンダーが続々と発表しているボットフレームワークに焦点を当て、その活用方法を紹介する。また、チャットとChatOpsとの関係を簡単なサンプルコードを示しながら解説する。
第2回「主要チャットサービスを比較――エンジニアだけじゃないチャット活用シーンとは?」では、ビジネスシーンでのチャットの活用事例と、主要なチャットサービスを紹介した。今回はITベンダーが続々と発表しているボットフレームワークに焦点を当て、その活用方法を紹介する。また、チャットとChatOpsとの関係を簡単なサンプルコードを示しながら解説する。
各社が提供する「ボットフレームワーク」とは
2016年春、主要なITベンダーがボットフレームワークや、ボットと連係するために必要なAPI(Application Programming Interface)の提供を続々と発表した。どの仕組みもまだβ版だが、簡単な概要とニュースへのリンクを下記にリストアップする。
Microsoft
Microsoftは、パーソナルアシスタントの「Cortana」と連係して「Skype」「Facebook Messenger」などの上で動作する「Microsoft Bot Framework」を発表した。検索エンジン「Bing」のサービスと連係させることも可能である。
LINE
LINEは、「LINE」で動作するボットを開発するために必要な「BOT API」のトライアルを開始した。フレームワークは提供しないが、APIをオープン化することでさまざまなサービスとの連係が可能になる。
Facebookは、Facebook Messengerで動作するボットを開発可能な「Bots for Messenger」と、Messengerをサービス提供の基盤として利用するための「Messenger Platform」を公開した。
APIとボットフレームワークの役割
では、各社がAPIやボットフレームワークを提供する狙いはどこにあるのだろうか。自社のチャットサービス上で他社にサービスを提供してもらうには連係するための仕組みが必要になる。それがAPIである。
チャットサービスにおいてAPIは、新しいメッセージを受信したり、メッセージを投稿したりする際に利用する。HTTPを通じて、JSONなどのフォーマットでデータをやりとりすることが多い。新着メッセージやイベントをリアルタイムで受信するために、双方向通信用の通信規格であるWebSocketを利用している場合もある。
ボットフレームワークは、ボットの基本的な機能やAPIとのやりとりをまとめて、ボットを開発しやすくするためのフレームワークだ。例えば、チャットサービスのAPIにメッセージを投稿するための機能や、対話式で処理をするための機能などを提供する。ボットを実際に処理するロジック部分と、チャットサービスのAPIとの連係部分(アダプター)が分離しているため、移植性が高い。
ボットの開発者はボットフレームワークを使うことで、APIをあまり意識することなく簡単に開発できる。代表的なボットフレームワークには、GitHubが開発する「Hubot」、Slackが提供する「botkit」などがある。
ボットはJavaScript(CoffeeScript)で記述することが多いが、Ruby製の「Ruboty」というボットフレームワークもある。
ChatとボットとChatOpsの関係
第1回「メールからチャットへ――『Slack』『LINE』が変える情報共有と開発手法」の後半で紹介したChatOpsという考え方について、あらためておさらいしておこう。
ChatOpsとは“Chat(チャット)”と“Ops(作業)”を組み合わせた造語で、GitHubが考案したものである。チャットをコミュニケーションの手段としてだけでなく、作業するための環境として利用することを意味する。チャットを一種のコマンドラインと見立てることで、作業のログを残しつつ内容を共有できる。Hubotもその実現のために開発された。
ChatOpsを実現するために必要なのがボットや自動化、クラウドの技術である。ユーザーがボットに対して何らかの指示をしたとき、ボット自身が複雑な処理をするわけではなく、外部の処理を呼び出すことが多い(※)。その場合、対象の処理は自動化されていたり、APIとして抽象化されていたりしている必要がある。
※ プルリクエストをマージする、ソースコードを本番環境にデプロイする、監視ツールの結果を取得するなど。
この自動化がChatOpsの大きな副産物といえる。デプロイなどのボットから呼び出す処理は自動化しておく必要があるため、必然的にDevOpsや「Infrastracture as Code」を実践することになる。
その結果、今までは属人化していた処理が自動化されたり、処理とその結果がチャット上で共有されたりすることになり、開発サイクルの可視化につながるのだ。このようなDevOpsとChatOpsによる開発サイクルの自動化については、第1回の後半を参照してほしい。
ここまで読んだ読者は、ChatOpsに堅いイメージを抱くかもしれない。ただ、実際の開発現場で使われているボットの話を聞いてみると、面白い機能も組み込まれている。
例えば「ゴミ捨ての当番を決める」「ランチのお店をレコメンドしてくれる」「今夜のアニメ情報を教えてくれる」などである。ボットをチャットに導入することで、チームの盛り上げ役や人気者になる日も近いかもしれない。
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ChatOpsで進化するIT部門のコミュニケーション
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