賃借対照表や損益計算書の作成が自動になる?
人工知能がいよいよビジネス実用段階に? 業務システムはどう変わる(1/2 ページ)
過去に何度か「人工知能」(AI)ブームが到来しているが、今回のブームではビジネス活用が本格的に進む可能性がある。その理由と、AIが業務システムに与える影響を考える。
過去のログデータを基にした学習を通じ、あたかも人間のように判断を下す「人工知能(AI)」。過去に何度もブームを巻き起こしたAIだが、AIが囲碁や将棋、チェスなどで世界トッププレイヤーを下し、あらためて今、大きな注目を集めている。ではAIがビジネスで活用されるようになった場合、具体的にどのような影響を及ぼすことになるのだろうか。AI搭載のERP(統合業務システム)を開発したワークスアプリケーションズ最高経営責任者(CEO)の牧野正幸氏に、AIの基本の“き”から聞いた。
“人工知能(AI)ブーム”が再燃する理由とは?
「人工知能(AI)は知識のベースとなる統計情報を基に、各種アクションへの最適解を返すよう設計されたプログラムの総称です」と牧野氏は話す。AIは、既存の情報や知識から新しい結論を得ることを目的とした「推論」や、情報から将来使えそうな知識を見つける「学習」などから構成される。はた目にはその挙動から、思考の存在を感じることもしばしばだ。「しかし、そこにあるのは単なる反応だけ。決して自ら考えているわけではありません」と牧野氏は語る。
過去、AIブームが何度か訪れながら、全て一過性で終わった。なぜなら、われわれが考えている期待とAIが返してくれる反応に大きなギャップがあったからだ。これまでにも医療や金融など特定分野に特化したデータベースを基に専門家に近い判断を下す「エキスパートシステム」、人間の脳神経回路を模倣した数学モデルを使ってパターン認識をする「ニューラルネットワーク」などが既に存在していた。だがデータが不十分だったり、コンピュータの処理性能に限界があったりして、十分な正確性を得ることができなかった。
第3世代といわれている今回のブームは、従来とは一線を画する。現在のAIは機械学習の一種である「深層学習」(ディープラーニング)により、人と同様に猫の画像を“猫”だと判断できるまで進化を遂げた。このインパクトは産業界にとって非常に大きい。例えば自動運転技術の開発が加速しているのも、深層学習による認識率の飛躍的な向上により、自動車が人に極めて近い“目”を得たことが背景にある。実際、検索エンジン「Google」が検索精度向上にAIを生かすなど、Web業界では先進的な企業を皮切りに、利便性向上に向けてAIを活用している。
第3世代AIブームの主要技術である深層学習は、大量のデータを基にデータの特徴を学習することで、判断の精度を高める。大量データを処理するには、当然ながら相応の処理速度を備えたシステムが求められる。そこで活用が進むのが、複数のコンピュータやプロセッサを利用して計算処理を分散する「分散処理技術」だ。検索エンジンを中心に、Web業界では大量データ処理を目的とした分散処理技術の活用が早くから進んでおり、深層学習に取り組む下地が整っていたともいえる。
今回のAIブームは、スマートフォンの普及も追い風だったようだ。小さなスマートフォンの画面で、かつタッチ操作で多くの文字を入力するのは快適とはいえない。AIが過去の入力履歴を基に予測変換による入力支援をしてくれたら、煩わしいタッチ操作を減らして操作性を高めることができる。
現在はコンシューマーサービスを中心に活用が進むAI技術。そして今、企業システムの利便性向上を目的に、AIを業務システムで活用する動きが本格化しつつあるのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品レビュー
[ヴィーム・ソフトウェア株式会社] SCS評価制度を導入するだけで十分? 組織の防御力を高める活用方法とは -
技術文書・技術解説
[フォーティネットジャパン合同会社] AIランサムウェアに勝つ 自律型エンドポイント管理導入で確認すべき条件4つ -
技術文書・技術解説
[フォーティネットジャパン合同会社] LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント -
製品レビュー
[ネットアップ合同会社] 研究分野でAI活用が進まない? 真の成果につなげるデータ管理の在り方とは -
製品レビュー
[ヴィーム・ソフトウェア株式会社] SCS評価制度を導入するだけで十分? 組織の防御力を高める活用方法とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
2
VMware離れの決め手は“機能”以外だった 情シス109人が選んだ新基準と死角は
-
3
IBM iのブラックボックス化を打破 資産継承と進化を実現する「IBM Bob」の実力
-
4
二極化する生成AI活用 「一部の社員しか使いこなせない」をどう解消すべきか
-
5
Claude Opus 5.5、GPT-6 Sol/Luna登場 情シスが迫られるモデル使い分け
-
6
なぜ情シスは評価されにくい? 読者調査で見えた「成果が見えない仕事」第1位は
-
7
デンソークリエイト、Excelからの移行も簡単に行えるプロジェクト管理ツールを発表
-
8
攻撃で“大慌て”になる企業に欠けていた「サイバーレジリエンス」の視点
-
9
大手エネルギー会社がAWS、Azure管理の一元化に「Sonrai Dig」を選んだ理由
-
10
Amazonが「脱Active Directory」にこだわった決定的な理由
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
「Google Workspace」活用事例34選、先進の生成AIによる組織変革の全貌
-
2
Linuxのスキルを証明する“激推し”の認定資格はこれだ
-
3
バックアップは“取っているから大丈夫”なのか? ランサムウェア時代の備え方
-
4
ネットワーク遅延の原因、「パケットロス」の基礎知識と効果的な解決策
-
5
月1000枚の紙を削減 9年動けなかった組織が、業務改革のその先に得たもの
-
6
「改正物流効率化法対策」徹底解説 総物流費を抑制するサプライチェーン戦略
-
7
Windows PCとMacの選択制で生産性向上 LINEヤフーが実践する運用管理方法とは
-
8
ソフトウェア開発の属人化と手戻りをどう防ぐ? 速さと品質を両立させる方法
-
9
AI活用を停滞させる「2:6:2の壁」を乗り越えるためのポイントとは?
-
10
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー