SCM製品紹介
ERPなど各領域との連携で業務シナリオを構築できる「SAP SCMソリューション」
複雑性を増す現代ビジネスにおいて、ERPだけでサプライチェーンをカバーするには限界がある。SAPが導き出した答えが、ERP、PLM、SRM、CRMなどの各領域と連携して1つの業務シナリオを構築できる「SCMソリューション」だ。
ERPだけでは対応が難しい現代のサプライチェーン事情
ERP(Enterprise Resource Planning)の考え方は、製造・販売・購買・物流などにひも付く伝票をリアルタイムに管理し、経営の効率化を図るというものだ。しかし、グローバル化やアウトソーシングが急速に普及した現代ビジネスにおいて、サプライチェーン領域にはどうしてもERPでは管理しきれない部分が出てきている。例えばOEM(Original Equipment Manufacturer)やODM(Original Design Manufacturer)をはじめ、生産自体を外部に委託している場合は生産の進ちょく状況や納期などが見えづらくなるだろう。
SAPジャパンのカスタマーイノベーションセンター ソリューションレディネスビジネスアプリケーション SCMソリューション担当部長の高橋正直氏は、こうした点について「SCM専業ベンダーの多くは計画系、物流系、倉庫系など各カテゴリに特化した強みを持っていますが、実際のSCMにはERPだけでなくSRM(Supplier Relationship Management)やPLM(Product Lifecycle Management)といった領域が密接に関係してきます」と語る。
SAP Supply Chain Management(SAP SCM)ソリューションは、大きく分けて3つの要素で構成されている。まず、サプライチェーンの計画系機能を増強する全体需給/生産計画立案ソリューション「SAP APO(SAP Advanced Planning & Optimization)」だ。そして実行系機能を担う存在として、倉庫管理ソリューション「SAP EWM(SAP Extended Warehouse Management)」、サプライヤー調達協働/顧客補充協働ソリューション「SAP SNC(SAP Supply Network Collaboration)」、輸送管理ソリューション「SAP TM(SAP Transportation Management)」をラインアップ。さらにサプライチェーンで発生する事象をトラッキングするイベント管理ソリューション「SAP EM(SAP Event Management)」、RFID対応ソリューション「SAP Auto-ID Infrastructure」、統合アプリケーションプラットフォーム「SAP NetWeaver」といった企業のサプライチェーンを支えるITインフラを提供している。それではここから、SAP SCMソリューションの中で実行系機能を担うSAP EWM、SAP SNC、SAP TMの各製品について紹介しよう。
倉庫管理から輸送コストの低減まで幅広くカバー
SAP EWMは、入出荷管理や作業管理をはじめ、レイアウト管理、ウェーブ管理、ヤードクロスドック、マテリアルハンドリング機器連携など、倉庫内の業務管理と現場の改善をサポートする倉庫管理ソリューションだ。SAP ERPと連携し将来発生する倉庫作業に応じた要員計画はもちろん、季節や顧客ニーズなど物流波動に応じたピッキング業務を効率化するレイアウト計画までを幅広くカバーする。
SAP SNCは、企業間で発生する調整業務を円滑に行うためのサプライヤー調達協働・顧客補充協働ソリューションだ。生産自体を外部委託した場合、自社工場での生産と比べて生産の進ちょく状況や納期などが見えづらくなる。その主な原因は、企業間でシステムが異なること、そして密なコミュニケーションが難しいことにある。そこで互いに需給情報の共有や調達進ちょく確認、VMI(Vendor-Managed Inventory)プロセス、製造委託プロセスなどをリアルタイムに確認しながら業務を進め、ボトルネック部分を補完しようというのがSAP SNCの位置付けである。「EDI(Electronic Data Interchange)と同じもののように認識されがちですが、EDIでは新規のサプライヤーやEMS業者と取引を始める際にIT投資コストが掛かるため、業務やビジネスを加速的に発展させていく上でどうしてもITが足かせになってきます」(高橋氏)。しかし、SAP SNCのような情報の共通基盤があれば、システムを持たない小規模のサプライヤーでもWeb経由でアクセスできたり、EDIのデータを投げ込んだりといった使い方が可能だ。
SAP TMは、物流系の計画と実行を監視する輸送管理ソリューションである。国際複合一貫輸送におけるルート計画や配車計画、ブッキング、業者手配および入札、タリフ管理、決済などをまとめて扱うことが可能だ。これにより、企業全体の物量や納期を把握した上で輸送を最適化し、積載率の向上と輸送コストの低減を実現してくれる。また、物流では複数の契約が発生するため決済を簡略化できるのも大きなメリットだ。
SAP SCMソリューション導入事例ハイライト
小売業A社
2006年にSAP製品を活用した業務基盤のSOA(Service Oriented Architecture)化を実践している。まずは「SAP NetWeaver AS」による顧客情報管理システムのマルチチャンネル化で、各顧客接点における利便性を向上。「SAP NetWeaver MDM」を使った商品情報管理システムでは、マスターデータの統一による商品の統合管理を実現した。さらには物流プロセスの改革としてSAP Auto-ID Infrastructureを用いた業界初のRFIDシステムを実稼働し、大幅な業務効率化が図られたという。
ハイテク機器製造業B社
情報機器や関連消耗品の製造・販売および関連サービスを手掛けるB社では、Microsoft Office Excelベースで手作業による出荷進ちょく管理を行っていたが、手間の多さや進ちょくの見えにくさが課題となっていた。そこで2008年1月よりSAP EMをベースに独自開発した、出荷・輸送の進ちょく状況をリアルタイムにWeb上で公開する出荷進ちょく管理システムを稼働。既存システムと比べて供給連鎖の最適化とコスト削減、販売・出荷・輸送プロセス進ちょくの可視化、回答納期精度の向上に伴う競争優位性の確立、正確な回答納期情報による顧客満足度の向上、グローバル在庫の適正化(安全在庫の削減)などを実現している。
企業における意思決定の効率化を支援
SAP SCMソリューションは多彩な製品群で構成されている。しかし、高橋氏は「業界ごとの特殊性や企業のIT要件により、SAP SCMソリューションだけではなく既存のITシステムとの併用ニーズもあります。また、システムを入れ替えるにしても、大規模なグローバル企業などでは共通化と地域ごとの要求の双方を実現する必要があります」と語る。そこで、SAPでは既在システムとの連携やSAP製品上で機能開発したものを組み合わせた「コンポジット」という提供形態も用意し、より幅広いニーズへの対応を実現しているという。
このようにSAP SCMソリューションは、SAP ERP、SAP PLM、SAP SRM、SAP CRMなど各領域との連携に加えて、SAP製品以外も組み合わせられるというのが大きな強みだ。高橋氏は「流通業界は販路の拡大や顧客ニーズの多様化が続いており、今まで以上に将来予測や市況感の読み、そして迅速な意思決定が求められています。SAPは今後もSCMソリューションをはじめとしたITツールで、企業における意思決定の効率化を支援していきます」と意気込みを語った。
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