Windows、Androidは企業利用でiPadに追い付けるか Part3
セキュリティ、互換性、コンテンツ――企業向けタブレット、勝者の条件
フォームファクタとUIを売りにエンタープライズ市場をリードするiPadと、それに対抗するWindows/Androidタブレット。「iPad 2」が発表された今、ユーザーの心をつかみ、勝者となるのはどれか。
Part1「『iPad以外』が企業に食い込む可能性は?」、Part2「焦燥のMicrosoftが繰り出すiPad対抗戦略の中身」では、法人市場でも普及するiPadに追随しようとするWindows、Androidなど各プラットフォーム陣営の競争をお伝えした。今回は、導入促進のカギとなるハード/ソフト、セキュリティといった要件で各タブレットの強みや弱みを明らかにする。
セキュリティと管理容易性
セキュリティと管理容易性の面では、本当にWindowsタブレットの方がiPadよりも優れているのだろうか? 「もし私に知的財産があり、それを競合他社の手に渡らないようにしたいのであれば、そうした情報はWindows端末の方がはるかに高度に管理できる」と語るのは、Microsoftの主要パートナーである米RBA Consultingのコンサルティングサービス担当ディレクター、ボブ・マクリーン氏だ。
ただし米Directions on Microsoftのリサーチ担当副社長、マイケル・チェリー氏は、MS-DOS搭載PCが企業に導入され始めた当初を振り返り、「当時も、ミッドレンジエンタープライズコンピュータのメーカー各社の間では、このような端末は管理できないといった同様の議論があった」と語っている。
一方、Enderle Groupのエンダール氏によれば、確かにセキュリティは重要だが、それは主にIT部門にとっての話だという。「問題は、エンドユーザーには従来、Windowsタブレットは“バッテリーを消耗しやすい大きな端末”との認識があるということだ」と同氏は指摘している。
ソフトウェアやその他の端末との互換性
組織に導入されている、既存のソフトウェアやハードウェアとの互換性についてはどうなのだろうか? 「Windowsプラットフォームは既に企業の中に深く浸透している」と語るのは、RBA Consultingのマクリーン氏だ。
一方、Network Knowledgeのベデル氏は、セキュリティや管理容易性、互換性に関しては、恐らくRIMもMicrosoftと同様のことを主張できると指摘する。RIMは既に、BlackBerry端末のセキュリティと管理用のサーバとして、BlackBerry Enterprise Server(BES)を提供している。
「Appleは確かに今は大きくリードしている。だが、WindowsやAndroid、RIM OSを搭載する新しいタブレットが続々と登場しつつある。一部のエンタープライズにおいては、iPad以外のこうしたタブレットの方が統合しやすいだろう。今後どうなるか、興味深いところだ」とベデル氏。同氏は主にヘルスケア、金融サービス、不動産、建設など業界の小規模企業と取引をしている。
コンテンツ作成機能とハードウェアの「選択の自由」
ハードウェアの「選択の自由」が実際、どの程度のセールスポイントとなるかについては、市場にもっと多数のWindows 7搭載タブレットが投入されるまで、判断は持ち越しだ。
IdentityMineのスターリング氏によると、同社の顧客のある保険大手は、「Windows端末であれば、ほとんど壊れない頑丈なフォームファクタのものが手に入るだろうから」との理由で、現場の支払請求担当者にはiPadではなくWindowsタブレットを採用することを決めたという。
一方、エンダール氏は次のように指摘している。「一般的に言って、多様なフォームファクタが提供されるかどうかは、それほど重要視されないだろう。なぜなら、人々が望んでいるのはiPadのフォームファクタだからだ」
ただし、コンテンツ作成機能については、少なくとも今のところはWindowsの方がiPadよりも優れているという見方で大方は一致している。「コンテンツ作成機能は重要な差別化要因となる。Windows 7タブレットは完全なPCだ」とエンダール氏は言う。
多くのWindows 7タブレットは、タブレット大手のワコムやイスラエルのN-trigが提供するスタイラスによる入力をサポートし、ペン書きしたメモをキー入力のテキストに変換できるようになっている。一方、iPadと大半のAndroidタブレットはオンスクリーンキーボードしかサポートしていない。ただしN-trigは最近、Android端末との互換性を発表している。
実際、エンタープライズにおけるiPadの初期の試験導入の多くでは、情報の表示や各種コンテンツの利用が主な用途となっている。「メールやテキストメッセージ、Webアプリに関しても、iPadの機能性は十分だ」とNetwork Knowledgeのベデル氏は言う。
もっとも同氏によると、コンテンツ作成機能については、iPadはまだ十分なレベルには達しておらず、ルータのリモート設定など企業顧客が実行するであろう一部のタスクについても未対応だという。
スターリング氏の考えでは、企業向けタブレットの競争は最終的には、iPadとWindowsタブレットともう1つ、まだ確定していない第三のプラットフォームを搭載する端末との戦いに帰着する見通しという。そして恐らく、その第三の環境はAndroidかBlackBerryのいずれかになるという。
「勝者となるのは、消費者の心をつかめると同時に、IT部門に自分たちもターゲット層に含まれていると思ってもらえるような端末だろう」と同氏は言う。
一方では、Microsoftのパートナー各社も、Windowsスレート端末向けに特別に新しいソフトウェアアプリを開発することで、WindowsタブレットがiPadに追い付くための手助けをしようとしている。例えば、IdentityMineは2011年1月にニューヨーク市で開催された全米小売業協会(NRF)の年次大会において、Windows Phone 7スマートフォンとWindows 7タブレットを併用した小売店舗向けのソフトウェアソリューションのデモを披露している。スマートフォン用アプリは来店した顧客向け、タブレット用アプリは小売店舗の販売員向けのものだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社MatrixFlow] 「物流リソース最適化」ガイド:人員・配車・傭車を出庫依頼の確定前に決めきる -
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
4
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
5
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
8
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
9
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
10
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー