ウイルス対策やパッチ管理だけでは不十分
Windows管理者が見落としがちな5つのリスクとは?
社内のWindows端末を安全に保つのにウイルス対策やパッチ管理は不可欠だが、それだけでは不十分だ。管理者が見落としがちな、Windows環境における5つのリスクを紹介する。
ウイルスにゼロデイ攻撃、セキュリティパッチの当て忘れ、推測されやすいパスワード……。Windows管理者であれば誰であれ、こうしたリスクに対処しなければならないことを理解している。だがWindowsには、上記以外にも対処すべきリスクがあることを認識している管理者は意外と少ない。
以下に挙げた5項目は、企業のセキュリティ診断で最もよく遭遇するWindowsのリスクだ。こうしたリスクは、読者が管理しているWindows環境にも恐らく存在するだろう。現状のセキュリティ診断の確認項目から漏れているものが1つでもあれば、確実に追加しておく必要がある。こうしたリスクをそのまま放置しておくと、悪意のある人物(攻撃者)がたった1人現れるだけで、企業はすぐさま危険にさらされてしまうからだ。
リスクその1:オープンで無防備なファイル共有
企業内のセキュリティ診断において私が最もよく目にするリスクは、社内の全ユーザーが属するWindowsのユーザーグループである「Everyone グループ」において、驚くほど大量の重要ファイルが共有されていることだ。
重要ファイルへのアクセス権が自分にあるとは知らずに、ローカルディスクを他のユーザーと共有しているユーザーは少なくない。またディスクに対する外部からのアクセスを禁止せず、オープンなまま放置しているケースもある。これでは、企業内のクライアントPCやサーバ上の情報に、誰でも容易にアクセスできてしまう。
リスクその2:IT部門の管理下にないアプリのパッチ未適用
米Appleのコンテンツ管理ソフトウェア「iTunes」や米Adobe Systems製のアプリケーションなどを、従業員が個人でインストールするケースは少なくない。こうしたアプリケーションはIT部門の管理下にないため、セキュリティパッチは個々の従業員が適用することになる。セキュリティパッチの適用が遅れて脆弱性を放置したままになっているケースも多い。
ソフトウェアの脆弱性対策関連記事
脆弱性検証ツールの「GFI LANguard」や「Metasploit」といったツールを利用すれば、攻撃者はシステムに潜む脆弱性を容易に割り出せる。攻撃者は管理者の知らないうちにバックドアを仕掛け、クライアントPCやサーバに制限なくアクセスできるようになる。
リスクその3:BitLockerの過信
最近は、クライアントPCのHDDの暗号化に米Microsoftの暗号化技術「BitLocker」の利用を検討する企業が増えてきた。米PGP(米Symantec傘下)やカナダのWinMagicといったベンダーが有償販売する製品と違い、BitLockerなら無料で利用できる点が強みだ。だが全社導入に当たっては、プラットフォームのサポート状況やユーザーによる暗証番号のリセット方法、鍵の管理といった項目について事前に検討しておく必要がある。
BitLockerの管理効率化ツール「Microsoft BitLocker Administration and Monitoring」を利用すれば、BitLocker単体ではできない端末ごとの暗号化状況の確認などが可能になる。だがファイルやHDD暗号化のパスワードを解析できる「Passware Kit Forensic」などのソフトウェアを攻撃者が使えば、暗号そのものがいくら強固であってもデータを復号できてしまうことを頭に入れておくべきだ。
リスクその4:重要情報を抽出できるツールの存在
攻撃者が企業内のWindowsシステムにいったんアクセスできれば、あらゆるデータが攻撃の対象になる。ローカルディスクに保存してあるファイルは当然ながら危険にさらされる。OSやWebアプリケーションのログインに利用するパスワードも同様だ。
ロシアのElcomsoftの「Proactive System Password Recovery」や「Internet Password Breaker」といったパスワードやシステム情報の解析ツールを使えば、どんな攻撃者でもこうした情報を取得できる。Webブラウザに保存したFacebookのパスワードを簡単に解析できる「Facebook Password Extractor」という無料ツールも存在する。悪用の危険にさらされている情報は決して少なくない。自社の防御態勢を確認しておく必要があるだろう。
リスクその5:ネットワーク上を飛び交うプレーンテキスト
ファイアウォールの内側や外側にネットワーク解析ツールを設置すると、Windows環境においてプレーンテキストで転送される重要データやパスワードがどれほど多いかが分かるだろう。ネットワークの設定にもよるが、パスワード解析ツールの「Cain and Abel」を使えば、ネットワーク上をプレーンテキストで流れるパスワードを簡単に傍受できる。
上に挙げたリスクに共通するのは、高度なハッキングスキルがない攻撃者でも企業システムに危害を加えられる可能性があるということだ。必要なのは単純な好奇心と無料ツールのみである。つい見過ごしがちなWindowsのリスクが、攻撃の糸口となる場合がある。こうしたリスクを無視するなら、それ相応の危険は覚悟しなければならない。
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