【連載コラム】医療ITの現場から
震災後に変化した医療機関の危機管理意識
多くの医療機関がITシステムにおける危機管理体制の見直しを進めている。特に診療情報のバックアップや緊急時サポート対応への意識に変化が表れている。
危機管理の在り方を見直す契機に
2011年3月の東日本大震災の発生を契機に、多くの医療機関で電子カルテやPACS(医用画像管理システム)をはじめとした「ITシステムの危機管理」の在り方が見直されてきています。これまでカルテやエックス線フィルムなどの機密性が高い情報は、セキュリティの観点から医療機関内で管理するのが主流でした(関連記事:今後の医療ITで求められるセキュリティレベルとは?)。
その後、厚生労働省が2010年2月に発表した「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第4.1版」によって、民間のデータセンター事業者が医療機関の保有データの外部保存を受託することが可能になり、外部機関による医療情報のデータ保存・管理が認められました(関連記事:安全に医療情報を保存するためのセキュアなクラウド基盤の現状と展望)。しかし、実際には電子カルテの情報を外部機関で管理するケースは進んでいるとはいえませんでした。特にデータのバックアップに関しては、医療機関内で外付けHDDやDVDなどの記憶媒体に保存することがほとんどでした。
リアルタイムバックアップに関心が集まる
しかし今回の震災を契機として、さらなる情報保全の観点からデータセンターにバックアップする方式(いわゆるクラウドバックアップ)を提案する企業も増え、二重三重のバックアップ体制が構築されつつあります。
また、バックアップのタイミングについても、震災前は「1日1回、診療終了後に行う」ことが主流でした。震災後は特に「リアルタイムバックアップ」を希望される医療機関が増えています(関連記事:復興後の医療ITはリモートバックアップが鍵に)。震災によってさまざまな被害が報告される中で、医療機関が危機意識を高めている表れだといえるでしょう。
サポート体制を重視するように変化
また、震災を境に電子カルテの選定では「サポート体制」を重視する医療機関が増えています。何か重大なトラブルが発生したときに、どんな対応を行ってもらえるのか、その点を確認したいという意見を多く聞くようになりました(関連連載:診療所向け電子カルテ製品紹介)。
私はこの部分について、サポート体制と企業の風土は密接な関係にあり、これは一朝一夕に構築できるものではないと説明しています。その上で万が一の危機に備えて、ハードウェア面およびソフトウェア面の両面から万全の体制を取ることをお勧めしています。具体的には「停電に備えた無停電電源装置(UPS)の採用」や「バックアップ体制の整備」「緊急時の対応手順」「保守サポート内容の確認」などが挙げられます。
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