タブレット活用時のOfficeライセンス管理術【後編】
タブレットからMicrosoft Officeを安価に利用する方法とは?
タブレット端末から社内のMicrosoft Officeを利用するのに必要なライセンス料金は決して安くない。後編では、タブレット端末からOfficeを安価に利用するための手段を解説する。
前編「タブレットからのMicrosoft Office利用に必要なライセンス料金は?」では、タブレット端末から社内のMicrosoft Officeを利用する際に発生するライセンス料金について解説した。場合によってはタブレット端末1台当たり1000ドル以上になるというOfficeの利用コストをいかに抑えるか。後半ではコスト削減の具体的な手段を説明する。
Microsoftのソリューション
Microsoftのライセンスには、コスト削減につながりそうな権利が幾つかある。そのうちの1つが、Officeやクラウド版Officeである「Office 365」のサブスクリプションにある「portable device right」だ。
portable device rightは、Officeの企業向けエディションである「Office Professional Plus」や「Office Standard」といったソフトウェアのライセンスが付与されたクライアントPCのユーザーであれば、その製品を携帯端末1台に1回だけインストールできるという権利である。タブレット端末におけるライセンスの課題が完全に解決できる訳ではないが、既にOfficeを購入しているユーザーの多くは、これで高額な商品を1つ余分に買わずに済む。
Office 365はOffice Professional Plusを月額課金で利用できるクラウドサービスだ。WebブラウザでOfficeファイルの保存や編集ができるのが利点だが、これは理想には程遠い。
Office 365のOffice Professional Plusのサブスクリプションでは、企業向けでも個人向けでも1ユーザー当たり最大5台の端末で利用できるユーザーサブスクリプションライセンス(USL)が提供される。一見完璧な解決策に思えるが、このサブスクリプションは端末にOffice Professional Plus 2010をインストールして実行することが要件であり、残念ながら多くのタブレット端末では利用できない。
Microsoft以外のソリューション
Microsoft以外の製品、サービスはどうだろうか? Microsoft製品のライセンス料金は一切掛からないか、掛かっても少額で済む製品が各種提供されている。だがファイル同期をはじめ、モバイルユーザーが望む機能を全て兼ね備えた製品、サービスはないのが現状だ。
機能は十分とはいえないが、検討に値する市販の製品、サービスには以下のようなものがある。
タブレット端末向けのOffice互換エディタ
Appleの「iWork」やDataVizの「Documents to Go」など、Officeファイルの表示だけでなく編集も可能なタブレット端末向けエディタが存在する。「Dropbox」や「Box.net」といったオンラインストレージサービスを併用すれば、デスクトップPCとファイルを同期させることも可能だ。タブレット端末向けにOfficeのライセンスを購入するよりもはるかに安価に抑えられる。
Office互換のWebサービス
GoogleやZimbra、Zohoなどが提供するクラウドストレージやOffice互換のWebサービスも選択肢の1つだ。Officeファイルの簡単な編集ができるのに加え、デスクトップPCとファイルが同期できるものもある。他のユーザーとの共同編集も可能であることや、安価もしくは無料で提供されていることが強みだ。
リモートアクセスソフトウェア
「GoToMyPC」や「LogMeIn」「TeamViewer」といったリモートアクセスソフトウェアを使えば、タブレット端末からクライアントPCのOfficeを利用できる。「クライアントPCの『主たるユーザー』であれば、他のどの端末からでもOfficeやWindowsにアクセスできる」というMicrosoftのライセンス規約を活用するものだ。この規約を用いればクライアントアクセスライセンス(CAL)も不要になるかもしれない。多くの場合、必要なCALは既に従業員や仕事用のクライアントPCに割り当てられている可能性が高いからだ。
Linuxベースの仮想デスクトップ
Linuxベースの仮想サーバを利用するオープンソースの仮想デスクトップインフラ(VDI)を導入することで、Microsoft製品のライセンス料金を回避できる。必要なコンポーネントは、バーチャルネットワークコンピューティング(VNC)などのリモートアクセス製品、物理または仮想のLinuxクライアントPC、オープンソースのOfficeソフトウェアである「OpenOffice.org」などだ。OpenOffice.orgはMicrosoft Officeファイルの作成や表示、編集などにおおむね問題なく利用できる。
Microsoftの戦略がライセンスの仕組みを複雑に
なぜMicrosoftはライセンスの仕組みをもっと簡単にしないのだろうか?
これは昔ながらの戦略なのかもしれない。Microsoft自らがAndroidやiOSに対抗できる製品(Windows 8はその候補の1つかもしれない)をリリースするまでは、タブレット端末に対するルールをあえて制限的なものにするという戦略だ。今のところMicrosoftは主要なタブレット端末メーカーではないため、ルールにいくら制限を設けても自らは何ら困ることがない。
だが、この戦略には幾つか深刻な欠点がある。
1つ目は、この戦略はまだリリースされていない製品に依存しているばかりか、現在は競合他社が完全に支配している市場において、Microsoftがいずれ競争を圧倒するという想定に基づいているということだ。
2つ目は、Officeファイルを利用できる他社のWebサービスの魅力を強調してしまうことである。数年後には、ユーザーが望む実用的な機能やOfficeとの互換性を兼ね備えたWebサービスが登場していないとも限らない。安価または無料のサービスの人気が高まり、年間180億ドル規模を誇るOffice事業を縮小させることを許す余裕はMicrosoftにはないはずだ。
Microsoftは料金やライセンスの障壁をできる限り抑え、タブレット端末ユーザーがOffice機能を快適に活用できるような方法を早急に編み出すのが賢明だろう。
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