VDIは「大して優れた方法ではない」
タブレット信奉者がWindowsマシンを手放さない理由
スマートデバイスさえあれば、クライアントPCがなくてもいい――。こう感じている人も確かにいるが、多くの人はクライアントPCを手放す気がない。その理由とは何か?
モバイルコンピューティングが爆発的に成長し、さまざまなメリットをもたらしている。とはいえ、まだ当分は米MicrosoftのWindowsが企業のシステムの中枢を担うことになりそうだ。
デスクトップOS市場でトップシェアを占めるのは「Windows 7」だ。Microsoftは、Windows 7を少なくとも2020年まではサポートする。つまり、企業は差し迫って他のOSへ移行する必要がない。その上、大半の従業員は「クライアントPCの代わり」ではなく「クライアントPCの他に」、モバイル端末を使用している。
「(企業ユーザーは)タブレットを手元に置いて、いつでも利用できる端末として持っている」と、米Appleの認定ソリューションプロバイダーである米Tekserveの最高技術責任者(CTO)、アーロン・フライマーク氏は指摘する。
一方、「モバイル端末は仕事のやり方を大きく変えることになるので、クライアントPCを手放したくない」という従業員もいるはずだ。米モバイルコンサルティング会社Paladorの共同創業者ベンジャミン・ロビンズ氏にとっても、モバイル端末だけの生活への移行は困難なものだったという。
「私はクライアントPC中心の考え方に縛られていた。働き方にしてもコンピュータの利用方法にしても、私たちの頭の中には決まったやり方が染み付いている。そこから外れるのは恐ろしいことだ。モバイル端末だけの生活へ移行した最初の1カ月間は、本当に大変だった。自分が何をしようとしているのかをしっかり考える必要があった」とロビンズ氏は語る。
Windowsは、アプリケーションのエコシステムの点でも有利だ。企業ユーザーの中には、フル装備のコンピュータでなければ使えない強力なソフトウェアを利用している人もいる。さらに重要なことに、サードパーティーが開発した業務に不可欠なアプリケーションは、Windows以外のOSには対応していないケースも多い。こうした状況がある限り、企業のITシステムからWindowsが消えることはないはずだ。
Windows用のアプリケーションを従業員のモバイル端末から利用できるようにする方法として、デスクトップ仮想化やアプリケーション仮想化がある。デスクトップ仮想化は、Windows環境を丸ごとデータセンターに保存し、ネットワーク経由でエンドポイントに提供する。同様のことをアプリケーション単位で提供するのがアプリケーション仮想化だ。これらの方法を使えば、モバイルワーカーは非Windows端末からWindowsやそのアプリケーションにアクセスできるようになる。
どちらの方法にも欠点はある。デスクトップ仮想化にせよアプリケーション仮想化にせよ、ネットワーク接続要件、パフォーマンス、コストなどの問題と無縁ではない。ユーザーフレンドリーな操作性も、課題の1つだ。
「長期にわたってモバイル端末で仮想化を試したことがある人ならば、これが大して優れた方法ではないことが分かるはず。やはり、Windowsはキーボードとマウスを想定して開発されたものだ」とフライマーク氏は語る。
仮想化ベンダーの中には、キーボードとマウスでの操作を想定したソフトウェアをタッチスクリーン端末で使用する場合、ユーザーエクスペリエンスを最適化する機能を用意するところもある。だが大半の専門家は、「最初からモバイル端末を想定して設計されたユーザーエクスペリエンスの方が優れている」との見解で一致している。
「Windowsアプリケーションのモバイル版を開発する独立系ソフトウェアベンダー(ISV)の増加に伴い、場合によっては、タブレットでのデスクトップ仮想化やアプリケーション仮想化の市場は抑制されることになるかもしれない」と、米ITソリューションプロバイダーP & M Computersの社長兼CEO、フランシス・ポエタ氏は指摘する。「そうなれば、いよいよWindowsを追い詰めることになるだろう」(同氏)
ISVはさらに、クラウドベースのWebアプリケーションの開発にも注力することになりそうだ。「ネイティブなモバイルアプリよりも、クラウドベースのWebアプリケーションの方がアップデートが簡単で、クロスプラットフォームの相互運用性にも優れている」と米ソリューションプロバイダーIntraSystemsの副社長、ポール・クンゼ氏は指摘する。
ただし、WebアプリケーションはWebアプリケーションなりの問題もある。端末やハードウェアに固有の機能を全て活用するできるわけではないため、機能性が制限される場合があるというのが、問題の1つだ。
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