SDNデータセンター事例
サーバ仮想化のネットワーク問題、OpenFlowでどう解決できる?
仮想化技術によるサーバとアプリケーションの統合を進めたデータサービスプロバイダーのEdgenet。同社が直面したのはネットワークの課題だった。OpenFlowでどう解決したのか? 事例を紹介する。
ここ数年話題の中心にあったFibre Channel over Ethernet(FCoE)や統合ストレージ、データセンターネットワーキング戦略は、いずれも無意味になるかもしれない。データサービスプロバイダーのEdgenetは、データセンターやストレージ技術をサポートするプログラム可能なファブリックをSDN(Software Defined Networking)技術で開発した。同社は実質、Fibre Channel(FC)を捨てる形になる。
Edgenetは、仮想マシン(VM)のマイグレーションやSaaS、データサービスを提供開始するのに際し、サーバとストレージの仮想化を進めた。しかし、その移行に耐えられなくなったのがネットワークだったという。
EdgenetのIT担当副社長、マイク・スタインク氏は、4月に開催されたOpen Networking Summitの講演で次のように述べた。「アプリケーション開発では、自社のデータセンターで複数のライフサイクルをサポートする必要がある。加えて、開発者向け環境、顧客向けの本番環境、ユーザー受け入れテストなどでそれぞれ異なるQoSを設定しなければならない」
データサービスでは、Edgenetが複数の団体から膨大なデータを収集し、これらデータを顧客がアプリケーション層からデータベース層へと常時移動する。これらデータベースのメンテナンスには膨大なI/O、ストレージおよびバックアップリソースが消費される。
Edgenetでは、サーバ仮想化に「Microsoft Hyper-V」を使用し、ディスクストレージにはHyper-V over Server Message Block(SMB)を使用していた。イーサネットネットワーク上のストレージはFCで接続されており、使用していたVLAN数は100ほどあった。数としては、多くのエンジニアが奮闘している上限の4096にはほど遠いが、ホスト間のVMマイグレーションの場合、トラフィックの急上昇や管理問題が発生し、従来のネットワークでは対応が厳しかったとスタインク氏は説明する。
「大量のマシンを仮想化すると、視認性が非常に低くなる。また、分離についても懸念があった。結局のところ、QA(品質保証)用VMを本番用VMと同じホスト上に置いていたが、QA用VMが落ちた場合、本番用VMまで影響でないようにするにはどうすればいいのかも課題だった」(スタインク氏)
そこで、同社は手始めにネットワーク帯域を1ギガビットイーサネットから10ギガビットイーサネットへ強化することにした。新しいスイッチを選定する際に、スタインク氏は「OpenFlowも検討したらどうだろう」と思い付いた。速度はもちろんのこと、仮想環境やネットワークの可視性の他、コンピューティングリソースやストレージの追加時にネットワークの優先度を決めるポリシー設定もできるようにしたいと考えた。
こうしてたどり着いたのが、NECの「ProgrammableFlow」のSDN対応製品群だ。同システムは、高速な物理スイッチングだけでなく、Hyper-V環境対応の仮想スイッチを提供し、完全な可視性と一元管理を可能にするコントローラーが用意されている。導入してすぐにネットワーク仮想化のプロビジョニングも開始できる。
Hyper-Vハイパーバイザ環境には、NEC PF1000仮想スイッチの他、ギガビットイーサネットおよび10ギガビットイーサネットポート対応のNEC物理スイッチを4台配置。その後、NEC ProgrammableFlowコントローラーをインストールした。
PF1000では仮想スイッチを物理スイッチ同様に管理でき、物理および仮想リソースに対して「ガラス張り」の管理性を提供する。
「PF1000によって、OpenFlowをハイパーバイザ上の仮想スイッチまで展開させることができた。ネットワーク層上のあるVMの影響が他のVMに波及しないよう防ぎ、クライアント側の処理を停止させることなくVMをホスト間、もしくはクラスタ間でライブマイグレーションすることも可能だ。自動構成、エンドツーエンドの信頼性、完全な冗長接続も実現する」(スタインク氏)
新たな発見もあった。SDNアーキテクチャを採用したことで、「マルチパスの横断的なファブリックが構築可能になった」とスタインク氏はいう。
「Any-to-Any接続をサポートできるということは、もう特定のトポロジーに縛られる必要はないということだ。分散制御も、スパニングツリー(プロトコル)も必要ない。コントローラーが全てのパスを認識し管理してくれるので、ループの心配もない」と、スタインク氏は述べる。「従来のネットワークは、複数のTop-of-RackスイッチやVMクラスタ上でスパニングツリーを使って構成されていた。あるラック上のノード間をライブマイグレーションするとき、スパニングツリーで遅延が発生するのを見て、ノードがマイグレーションされたことを知るような状況だった。ホストの自動更新も大仕事だった」
「しかし、今はファブリック上でマルチテナントの仮想ネットワークを“構築”し、ネットワーク内の物理アイランドと仮想アイランドを縫い合わせて、アプリケーションでレイヤー2またはレイヤー3ネットワークを視認させることができる。しかも、それぞれは個別に管理できる」(スタインク氏)
Any-to-Anyのマルチパス接続の魅力は、統合ストレージネットワークでいかんなく発揮された。Edgenetでは今後、「InfiniBandをイーサネットトラフィックに渡す」ことで既存のFC SANを置き換える予定だ。IPトラフィック上でストレージが確認できれば、ネットワーク上のその他トラフィック同様にOpenFlowで制御できるようになる。
これにより、最大の課題だったサーバとストレージ間のトラフィック問題が解消される。サーバとストレージ間に流れる多様なトラフィックで、それぞれ異なるQoSを設定できることは大きな魅力だ。Edgenetでは最終的に40ギガビットイーサネット接続へ移行し、アプリケーション別やデータタイプ別にQoSを完全制御していく。同社はこれを実現する上で、物理ストレージ機器に関係なく制御可能なNECのProgrammableFlowを使用すると話す。
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