操作感や安全性などが評価の鍵
iPadが学校用タブレットのナンバーワンになった4つの理由
数あるタブレットの中でも、Appleの「iPad」を導入する教育機関は比較的多い。教育機関のタブレット活用に詳しい、KDDIの野本竜哉氏の講演内容を基に、その理由を示す。
小学校から大学に至るまで、教育機関での導入や活用が進みつつあるタブレット。中でも導入率、導入意欲ともに高いのが、Appleの「iPad」だ。TechTargetジャパンが2013年10月に実施した読者調査でも、授業でのiPadの導入率は32.6%と、11.3%のWindows 8/RTタブレット、10.6%のAndroidタブレットと比べて高いことが分かった(参考:授業用タブレット、一番人気はiPad? それともWindows 8端末?)。今後の導入意向でも、iPadはWindows 8/RTタブレットやAndroidタブレットを上回る。
iPadは、なぜ教育機関で他のタブレットよりも導入が進んでおり、かつ今後の導入意欲も高いのか。2013年11月7日に産業技術大学院大学で開催されたiOS専門イベント「iOS Enterprise & Developers Conference 2013」で、教育機関のIT導入の動向に詳しいKDDIの野本竜哉氏が講演。本稿は野本氏の講演内容を基に、教育機関でiPadが評価されている理由を探る。
iPadが好まれる4つの理由
野本氏は、教育機関でiPadが支持される理由として以下の4つを挙げる。これらは教育機関特有の理由というわけではないものの、iPadを導入した教育機関がiPadの選定理由としてよく挙げているものだ。
- セキュリティの高さ
- ユーザビリティ
- 管理のしやすさ
- バッテリーの持ちのよさ
理由1:セキュリティの高さ
教育機関でiPadが人気な理由の1つ目として野本氏が挙げるのが、セキュリティの高さだ。iOS用のアプリケーションマーケット「App Store」では、「Appleによる審査で、危険性のあるアプリケーションの提供を防ぐようにしていることが、セキュリティ確保につながっている」と野本氏は指摘する。
アプリケーションの安全性は、特にAndroidタブレットとの比較でiPadが優位になる条件になりやすい。Androidアプリケーションの公式マーケットである「Google Play」をはじめ、マルウェアなどの不正なアプリケーションの配布が比較的多く明るみに出ていることが、その背景にある。App Storeにも、2012年7月にマルウェアとみられる不正なアプリケーションが発見された経緯があるが、Google Playと比べると、明るみに出ている件数は少ない。
理由2:ユーザビリティ
2つ目の理由は、ユーザビリティである。「分かりやすく使いやすい直感的な操作感が、iPadが教育機関に評価される一因」だと野本氏は説明する。iPadを授業で活用する千葉県立袖ヶ浦高校 情報コミュニケーション科主任の永野 直氏も、教育用タブレットには「タブレットを活用していることを意識しないで操作できるという“使用感”が大事」だと指摘し、iPadのユーザビリティを評価している(参考:授業のプロが語る、「生徒の感性に届くタブレット」の条件とは?)。
ユーザーインタフェースに注目すると、最近のタブレットはいずれもタッチパネルを搭載しており、複数の指で操作するマルチタッチもできるなど、機能面ではいずれも大差ないように見える。ただし、アプリケーションが強制終了することがあってもOS全体がフリーズしにくいなど、総合的に見てiPadの使いやすさや分かりやすさが際立つと評価する声は多い。
理由3:管理のしやすさ
Windowsタブレットには、OS標準搭載の管理機能に加え、Microsoftの「Microsoft System Center」製品群をはじめとする運用管理製品がそろっている。Androidタブレットについても、市販のモバイルデバイス管理(MDM)製品が充実している。iPadも標準の管理機能として「Apple Configurator」を用意するなど、管理機能が充実しつつあることが、教育機関での利用を後押ししていると野本氏は説明する。
Ergotronの「タブレットPC管理カート」など、複数台のiPadの保管や一斉充電、Apple Configurator経由のデータ管理などができるラックの存在も、管理性向上に役立つと野本氏は指摘する。Ergotronは、Hewlett-Packard製のWindowsタブレット「HP ElitePad 900」向けに充電ラック「HP マルチタブレット充電モジュール」を開発するなど、iPad以外のタブレットを保管可能な充電ラックも開発、販売する。
理由4:バッテリーの持ちのよさ
iPadは、カタログスペックでは10時間程度の稼働が可能なバッテリーを搭載する。このバッテリー稼働時間は、一般的なAndroidタブレットやWindowsタブレットとほぼ同等であり、特に長いわけではない。
iPadは、「特に『スリープ状態でのバッテリーの持ちがよい』と評価する教育機関が多い」と野本氏は指摘する。従来のiOSは、アプリケーションをバックグラウンドで動作させる機能が限定的だったことが、スリープ時のバッテリーの持ちの長さに影響していた可能性がある。
ただしiOSはアップデートにより、データのバックグラウンド更新をはじめ、バッテリー消費量に影響がある新機能が加わってきた。他のタブレットOSの電力管理機能が進化することで、スリープ時のバッテリー消費量の差は縮小することも考えられる。
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