デスクトップ仮想化を使うケースも
「iPadより安く、移行が簡単」 教育機関で勢いを増すWindows 8タブレット
Windows 8タブレットの安全な導入に関して、企業の管理者は教育業界のIT担当者から幾つかの教訓を得ることができる。
エンドユーザーになじみがあるタブレットといえば米AppleのiPadなのにもかかわらず、多くの教育機関のIT意思決定者は、既にWindows 8をデスクトップPC、ノートPC、タブレットに採用している。
米テキサス州オースティンのクリアクリーク独立学区は、2013年から2年をかけて3万台のDell Latitude Windows 8タブレットを生徒と教師に支給する。
この学区の最高技術責任者(CTO)、ケビン・シュワルツ氏は、ニューヨークで最近開催された教育関係者の懇談会において、「米国の幼稚園から高校まで教育現場のIT事情は、大抵の企業のIT事情と変わらない。ただし、教育機関では通常、スムーズにプロジェクトを進めるのではなく、プロジェクトを分割して対応する点が異なる。それは主に、標準化が必要であり、予算サイクルが四半期ではなく年単位であり、そして授業期間は予定がぎっしり詰まっているという3つのプレッシャーがあるためだ」と発言している。
投資対効果が高いWindows 8タブレット
「ほとんどの場合、企業がやっていることは全て教育機関でも行われている。ただ、教育機関では、そういった(前述の)制約がある中で導入をしているにすぎない」
他の大学や学区も、Windows 8タブレットとノートPCを導入している。南イリノイ大学では2013年秋に、約2800人の新入生、転入生、新任教員にDell Latitudeタブレットを支給し、3万人の学生の「Gmail」アカウントを「Microsoft Office 365」に移行する予定だ。2013年の春には、メイン州の教育省が米Hewlett-PackardのWindows 8ノートPCを生徒用に導入することを発表している。
南イリノイ大学の場合、生徒が使い慣れていたのはAppleのiOSプラットフォームだ。しかし、投資対効果検討書を見直し、総保有コスト(TCO)と投資利益率(ROI)を調べた結果、新入生と新任教員全員にWindows 8タブレットを支給することで、4年間に400万ドルを節約できることが分かった。
Windows用の教育ソフトウェアを利用できることも、Windowsタブレットが選ばれた理由だ。シュワルツ氏によると、クリアクリーク学区の生徒は、調査中にiPadよりもWindows 8を選んだという。
Windows 8タブレットなら移行が容易に
Windowsタブレットは生徒・学生および教員用の新しいプラットフォームになるが、企業のIT管理者にとってはサポートとプロビジョニングが気になるところだ。
南イリノイ大学の情報責任者(CIO)、デイビッド・クレイン氏によると、Windows 8のプロビジョニングには追加のサポート費用が掛からなかったという。同大学は既にMicrosoft System Center Configuration Manager、アンチウイルスソフトを使っている。
「これ(Windows 8タブレット)はただ追加すればいい」とクレイン氏は語る。「現在、このエコシステムを使って8000~9000台のエンタープライズマシンを運用している。機能については追加のコストは不要だ」
クレイン氏は、概して学生はiOSに慣れていたが、学生の方が教員よりも短期間で新しいタブレットを使いこなせているとコメントしている。
企業と同様に、教育機関でもセキュリティと管理は重要だ。CIO、CTO、IT管理者は、ウイルスがネットワークに侵入して数千台の端末に感染したり、インフラを稼働停止に追いやることを常に警戒する必要がある。
セキュリティポリシーは、あらゆる種類の端末を対象にしなければならない。
前出のシュワルツ氏は、学生のデータと端末を安全に保つカギは、デジタル市民権について学生を教育することだと説く。
「学生は、これら(の端末)をどう扱うべきかを学ぶ必要がある」
南イリノイ大学のIT部門にとって、学生向けのトレーニングは、Windows 8タブレット導入の重要な要素だ。学生向けに、Windows 8とMicrosoft Storeの使い方についてある程度のトレーニングを用意しているものの、さらにトレーニングが必要なことをクレイン氏は認めている。
2013年10月18日にWindows 8.1の提供が開始された。導入済みのタブレットのアップデートは、滞りなく行わなければならない。
デスクトップ仮想化によるWindows 8のサポート
一部の教育機関は、Windows 8用に新しい端末を導入するのではなく、デスクトップ仮想化を利用している。米ノースイースト・ウィスコンシン・テクニカル大学(以下、NWTC)は、教員用と教室用の5000台の各種端末をサポートしている。iPadとPCを含め、コンピュータ機器の3分の2は教室で使われている。
ただし、企業と同様に、教育機関での仮想化は、IT管理者にとって複雑な問題になり得る。
NWTCのリンダ・ハートフォードCIOは、「より戦略的なアプローチを取ろうと努力しているが、環境全体でサポートしている600種類のソフトウェアライセンスをどうするかが課題になっている」と語る。
例えば、NWTCではAutoCADを高価なワークステーションで実行するのではなく、仮想化してコストを削減している。
「サーバを数台購入してAutoCADを仮想化すればいい。その方が安上がりだ」とハートフォード氏は語る。また、NWTCでは、シンクライアントの方が管理もアップグレードも簡単だという。
NWTCではこの四半期に、私物端末の業務利用(BYOD)プログラムをパイロット導入している。学生は自分のデスクトップPC、ノートPC、タブレットを使って仮想環境に接続し、必要なソフトウェアにアクセスできる予定だ。
ハートフォード氏は、異種端末をサポートする方法や、どの環境でもユーザーが密接にコラボレーションできる方法など、NWTCの環境の仮想化から得たノウハウは、企業にも応用できると信じている。
また、量よりも質を重視することと、段階的なアプローチを採用して最初は受け入れに最も意欲的なユーザーに対して新しいテクノロジーを導入することが必要だと力説する。これで、大規模な導入を待たずに、組織の残りのユーザーにスピーディーに導入できる。
ただし、デスクトップ仮想化とシンクライアントを使用する場合、制限が伴う。無線帯域幅が十分でないなどの問題は、パフォーマンスに影響する可能性があり、監視が必要だ。
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