価格、機能を代替ソフトと比較
高価な「Microsoft Office」が一人勝ちするのはなぜか?
Google Appsなど代替ソフトが増えてきたものの依然として多くの企業では「Microsoft Office」が使われている。本稿では価格や機能からMicrosoft Officeと代替ソフトを比較する。
企業はITコストを抑えながら効率化を図れる方法を常に模索している。特に機能、使い勝手、可用性、サポートに掛かるコストは、オフィスソフトに左右される。どのオフィスソフトが最適だろうか。「Microsoft Office」の代替製品は誕生しているが、Officeを使い続けることにはそれなりの理由がある。
「Microsoft Office 2013」「Office 365」「Google Apps for Business」「OpenOffice」サブスクリプションの価格設定を確認してから、それぞれの特徴を説明したい。
月1800円で利用できるオフィスソフトは?
Office 2013には、さまざまなプランと購入方法が用意されている。「Office 365 Enterprise E3プラン」では、Office 365(クラウドバージョンのOffice)にデスクトップバージョンのOffice 2013が含まれている。このプランの価格は、1年契約で1ユーザー当たり月額1800円だ。デスクトップバージョンの「Microsoft Word」「Excel」「PowerPoint」「Outlook」など一般的なアプリケーションを最大5台のWindows PCまたはMacで利用できる。
1ユーザー当たり50Gバイトのメールボックス、25Gバイトの「SkyDrive Pro(現OneDrive for Business)ストレージ」「Active Directory」との統合機能およびオンライン会議も利用できる。さらに、Officeにはソーシャルメディアツール、コラボレーションツール、iPhone用Office Mobile(日本は未提供)、Android用Office Mobile(日本は未提供)、コンプライアンスツールなど多くの特典が含まれる。
「Google Apps for Business with Vault」の価格は1ユーザー当たり月額1200円で、30Gバイトのストレージが利用できる。また、「Gmail」「Googleカレンダー」「Googleドライブ」「Googleドキュメント」「Googleスプレッドシート」など、全てのGoogle製品も利用できる。Googleのメッセージングツールやコラボレーションツールは、あらゆる規模の企業で使用されている。
最も価格が安いのは「OpenOffice-Enterprise」である。価格は、年額400ドルで、最大100人のユーザーが使用できる。ユーザーを追加する場合に必要なコストは1ユーザー当たり年額2ドルだ。OpenOfficeには、デスクトップバージョンのOfficeアプリケーションと同じような外観の生産性ツールが用意されている。だが、多くのオープンソース製品と同様、コアパッケージにはメッセージング機能とコラボレーション機能が含まれていない。
以降では、Microsoft Officeより低価格な代替製品があるにもかかわらず、企業がMicrosoft Officeにこだわる(またはMicrosoft Officeに切り替える)理由を考えてみたい。
Microsoft Officeだけで利用できる機能
Microsoft Officeは代替製品と比較すると高価だが、利用できる機能が圧倒的に多い。ほとんどの企業ではMicrosoft Officeの機能を日常的に使用している。多くの管理者は貧弱なデスクトップツールでは、ユーザーのニーズに対応できないと感じている。機能を強化するためのアドオンを使用することも望んでいない。不足している機能を補完するアプリケーション探しに時間をかけるのではなく、1~2回のクリック操作で利用できる、フル機能を備えたアプリケーションやサービスを求めている。
Microsoft OfficeのユーザーでGoogle AppsやOpenOfficeを使ったことがある人は、これらのオフィスソフトとMicrosoft Officeの機能が同じでないことは知っているだろう。SmartArt、各種ドキュメントやプレゼンテーションのテーマ、差し込み印刷、クイックパーツ、対話型の関数ライブラリは、Microsoft Officeにしかない。
Microsoft Officeにしかない機能を使用しているのは、20%程度のユーザーだけで、残りの80%はGoogle AppsやOpenOfficeの製品で問題ないという意見もある。それも確かに一理あるかもしれない。だが、ユーザーがMicrosoft Officeにしかない機能がすぐ必要な場合、管理者はどうしたらよいだろうか。ユーザーが必要なツールがなければ、オフィスソフトに不可欠な「生産性」を損ないかねない。
Microsoft Officeには、競合製品と一線を画す、効率化のための新機能もある。例えば、Microsoft OfficeアプリケーションはMicrosoftアカウントと結び付けられるようになった。つまり、自分のMicrosoftアカウントを使用してログオンすると、どのデバイスからでも、カスタマイズや最近使用したドキュメント一覧などの設定を利用できる。
また、ユーザーがPCでExcelワークブックをSkyDriveに保存すると、別のデバイスを使用して同じワークブックにアクセスできる。ユーザーがファイルを開くと最後に変更した箇所が自動的に表示される。
タッチスクリーン操作だけでなく、従来のマウス/キーボードでの操作が中心という企業は多い。このような企業のために、Office 2013のインタフェースはネイティブで両方の操作をサポートしている。Microsoft Officeのインタフェースではスワイプ操作やピンチ操作などのジェスチャをシームレスにサポートしている。タッチ操作とマウス操作用に最適化されたテキスト選択ハンドルやオブジェクト選択ハンドルを利用して、オブジェクトをドラッグして簡単に希望の場所に移動することもできる。
管理者がサポート方法を把握
Microsoft Officeには設定可能な項目が多数あり、管理者はアクセス、承認、共有、ソーシャルメディアとの統合を細かく制御できる。Google Apps for BusinessやOpenOffice-Enterpriseでは、このような設定を全て利用できるわけではない。
Officeの導入とサポート経験があるIT管理者は、特にGoogle Apps for Businessの展開で問題に直面する可能性が高い。Microsoft OfficeからGoogleに移行するときに一般的に発生する問題は、全てのアカウントを変更する必要があることだ。この作業は管理者やユーザーにとって大きな手間が掛かる。
現在Office 2010または以前のバージョンを実行している場合、Office 2013への移行は比較的簡単に行える。IT管理者は、Office 2013の展開に無料のOffice 2013 Resource Kitを使用できる。
ユーザーがOfficeの使い方を知っている
Microsoft Officeはビジネス向けコンピュータと家庭向けコンピュータの基本アプリケーションとして定着しているので、ユーザーはMicrosoft Officeのメニューや機能を使い慣れている。Microsoft Officeのバージョンが変わっても、ユーザーは、ツールを操作する方法を知っている。また、Microsoft Officeのインタフェースは、作業に使用するデバイスがPCでもタブレットなど別のモバイルデバイスでも同じだ。競合製品に切り替えると、ユーザーがツールの使い方を学習する必要があるため、作業効率が大幅に低下する恐れがある。
代替製品では互換性の問題が多発
他の組織の人と一緒に仕事をしてドキュメントを共有するときに、Word(.docx)以外の形式のワープロ文書や、Excel(.xlsx)以外の形式のスプレッドシートをやりとりする頻度を考えてみてほしい。そのような機会は、ほとんどないのではないだろうか。Google AppsドキュメントとOpenOfficeドキュメントはWord形式やExcelのスプレッドシート形式で保存できるのが、その理由の1つだろう。
しかし、競合製品で作成したドキュメントをMicrosoft Officeアプリケーションで開くと、書式、テキストボックス、画像の配置、列などに問題が発生することは少なくない。Google AppsやOpenOfficeで細かい書式が設定されたドキュメントを、Wordで開いて編集する場合について考えてみたい。ドキュメントの書式設定に多くの時間を掛けたとしても、Microsoft Officeでファイルを開くと、このような努力が全て水の泡になる。
Microsoft Officeで作成したドキュメントをGoogle AppsやOpenOfficeで開いた場合についても同じことがいえる。また、Microsoft Officeで作成したテンプレートは、Google AppsユーザーまたはOpenOfficeユーザーの手にドキュメントが渡ると原型を止めなくなる。
Microsoft Officeはいつでも利用できる
Office 2013はオフラインでも機能を完全に利用できる。インターネットに常時接続していない組織にとって、これは重要だ。OpenOffice-Enterpriseは、Microsoft Office同様いつでも利用できるが、Google Apps for Businessはインターネットに接続していないと利用できない。
しかし、Googleは、オフラインでもオンラインでも利用できる企業向け製品の市場にも進出し始めている。そのため「いつでも利用できる」という要素は数年後以内に3つのオフィスソフトで標準機能になる可能性が高いだろう。
Office 2013、Google Apps for Business、OpenOffice-Enterpriseはどれも優れたスイートだが、Google Apps for BusinessとOpenOffice-Enterpriseには、従業員が仕事に必要なツールが全て搭載されているわけではない。オンラインかオフラインかに関わらず、いつでも利用できるフル機能のオフィスソフトという観点では、依然としてMicrosoft Officeが優勢だ。
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