Apple、IBM、Boxが参入
オフィススイートは「Microsoft Office」だけではない 代替ソフトの魅力とは
定番の「Microsoft Office」に対抗するソフトが次々に登場している。Officeと高い互換性を維持しながらクラウド対応やスマートフォン対応など最新機能を備えているのが特徴だ。注目ソフトを紹介しよう。
米Microsoftのオフィススイートは、不動の標準だと考えられてきた。だが最近になり、エンドユーザーが選ぶどの端末でもモバイル、ソーシャル、コラボレーション機能を実現する「Microsoft Office」に対抗するエンタープライズレベルの製品が現れている。
米Box、英Huddle、米Apple、米IBMなどの企業が、Microsoft Officeが支配してきた業界のシェアを奪おうと名乗りを上げ、企業の業務に影響するクラウドベースとオンプレミスのオフィススイートを提供している。
Office 365で対抗するMicrosoftの勝算
「コラボレーションツールがおおむね、企業がクラウドに展開する最初のアプリケーションになる」と話すのは、米IDCのエンタープライズソーシャルネットワークおよびコラボレーションテクノロジープログラム担当のリサーチマネジャー、バネッサ・トンプソン氏だ。
Microsoftはそれを踏まえて、WebベースのOffice 365という稼ぎ頭の売り込みを続けている。
「Office 365は、基本的にオンプレミス版Microsoft Officeのロールアップ(集約版)だ。従って、明らかなメリットの1つはMicrosoft OfficeやMicrosoft ExcelなどMicrosoftの主力コンポーネントをユーザーがよく知っていることだ」と、トンプソン氏は語る。「サードパーティーの製品/サービスの場合、まずはさまざまな形式のファイルを試す必要があり、その後でファイルを編集したり、コメントを付ける作業に入る」
MicrosoftはiPhone用の「Office Mobile for Office 365 subscribers」を提供しているが、Office 365の利用者しか利用できない。また、iPad用のアプリケーションが提供されていないため、エンドユーザーは代替のものを探すことになるが、そうした代替ツールは多数存在する。
Boxは2013年9月、同社のプラットフォーム上でコンテンツ編集とコラボレーション機能を実現する「Box Notes」をリリースした。一方、Huddleは、既存のMicrosoft Officeと連携しながら、クラウドでの作業を可能にするコラボレーションレイヤーを追加するプラットフォーム「Connected Desktop」をリリースしている。
IBMは「IBM SmartCloud」スイートを強化しているし、Appleは新しいiOS 7搭載端末で同社のオフィススイート「iWork」を無償化している。
Huddle、IBMのコラボレーションツールの拡張
HuddleのクラウドベースのConnected Desktopは、WindowsとMacの両方に対応し、Microsoft Officeなどの既存のアプリケーションと連携する。Connected Desktopを使えば、プロジェクトの共同作業をしているグループに関連のあるMicrosoft Officeドキュメント、Microsoft Outlookのメール、画像、動画などのファイルをひとまとめにできる。
例えば、Huddle for Outlookでは、メールの添付ファイルを取り出してクラウドに保存できる。これで、同じプロジェクトの関係者がドキュメントや関連するコメントを体系的に参照でき、チームメンバーのメールに添付ファイルが眠ったままになることを心配せずに済む。
Huddleのアラステア・ミッチェルCEOは、「クラウドは、データを保存する場所というだけではなく、仕事をする場所になっている」と語る。「クラウドは、共有ドライブとVPN(仮想プライベートネットワーク)の代わりになりつつある。次は、オフィスアプリだ」
Huddleのプラットフォームは、クライアントPCでもスマートフォンでも端末を問わず、同じユーザーエクスペリエンスを提供する。
また、「アクティビティストリーム」機能により、ドキュメントが変更されるとユーザーに通知される。またインテリジェントなエンジンがコンテンツを整理し、関連のある情報だけをユーザーに提示する。
Connected Desktopには、米国政府および企業のほとんどのコンプライアンス標準に準拠するセキュリティレイヤーと管理機能も実装されている。
一方、IBMも2013年9月、クラウドベースの「IBM SmarterCloud for Social Business(SCSB)」をアップデートし、クラウドへのビジネスプロセスの移行を支援する機能を強化した。
IBMによると、SCSBの新版はデスクワーカーだけでなく、スマートフォンやタブレットを利用するモバイルワーカーの生産性をも向上する手段になるとしている。
今回のアップデートでは、「IBM SmartCloud Connections」のファイルの同期と共有機能が強化され、事業部門マネジャーはクラウドベースのドキュメントにアクセスし、共有できるようになった。また、SmartCloudのコミュニティー機能にも新しいソーシャル連携機能が追加され、例えば、マーケティング部門ではチームのソーシャルデータを単一のビューでまとめて参照できる。
また、IBMは「IBM SmartCloud Docs」をリリースしている。これはオフィスアプリとソーシャルメディアとの連携を高め、ユーザーがAppleの端末でもWindows端末でも、ワープロ文書やスプレッドシートを共同で作成、共有できるようにすることを目的としている。
IBM SmartCloudはMicrosoft Office 365と真っ向から対抗するサービスだと考えられていて、IBM独自のオフィススイートとWeb会議機能やビデオ会議機能を統合している。また、ゲストユーザーが無償で利用できるモデルを採用し、企業が顧客と協業するためのアカウントを用意できるようにしている。
あるITプロフェッショナルは、IBM Social Businessの新版の機能が気に入り、社内で採用する予定だ。
カナダと米国を対象に仲介サービスを提供しているカナダのGHY Internationalで、ITおよびソーシャルビジネスリーダー担当副社長を務めるナイジャル・フォルトラーゲ氏は、「われわれが望むこれらのサービスの導入方法と利用方法を考えると、クラウドでは力不足だ」と語る。
しかし、Microsoft Officeの対抗サービスには、古いバージョンのMicrosoft Officeとの完全な互換性はない。これが、人々がタブレットまたはスマートフォン用のMicrosoft Officeを使い続ける(あるいは、その登場を待ち続ける)要因になるかもしれない。
「Microsoftが提供するWeb版のオフィスアプリ『Office Web Apps(OWA)』の最大の利点は、古いバージョンのMicrosoft Office文書を忠実に再現できる、つまり完全な互換性があることだ」と、コンテンツおよびメディアテクノロジーが専門のIDCのアナリスト、メリッサ・ウェブスター氏は指摘する。「ほとんどの競合製品の忠実度は90%ほどで、それで十分だとベンダーは考えている。実際、コンシューマーの場合はそれでよいが、ISO(国際標準化機構)準拠が求められる保険会社など、文書のフォーマットが一致している必要があるユーザーの場合は、話が違ってくる」
ウェブスター氏によると、Microsoftの2013年第4四半期(4~6月期)決算では、Office 365の年間売上予測は、前四半期の決算時の10億ドルから増え、15億ドルに達しているという。
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