【連載コラム】医療ITの現場から
医療現場が期待する「iPad」の画期的な利用方法とは?
タブレットが普及したことで、医療機関でもさまざまな種類のタブレットが利用され始めている。中でも、医療現場で高い支持を得ているのが「iPad」だ。その根強い人気の理由を考察する。
なぜ、iPadが医療現場で人気なのか?
2010年に米Appleが発売したタブレット「iPad」は相変わらず多くのユーザーの人気を獲得しています。医療IT関連企業から「タブレット用システムの開発を考えているが、やはりiPad対応でないとダメですか」と相談されます。私は迷わずiPadに対応するようにお願いしています。現在ではさまざまな種類のタブレットがリリースされていますが、iPadは特に医療現場から高い支持を得ています。今回はその根強い人気の理由を考えてみましょう。
(1)医師に多いAppleユーザー
2002年のメディプラザ開設以来、電子カルテの購入を検討する医師から「Apple製品でも動く電子カルテを利用したい」という要望を多く受けます。電子カルテのほとんどがWindowsベースのOSを使用していることを伝えると、がっかりする医師もいるほどです。また、セミナーなどで医師と一緒に登壇する際も医師がAppleの「MacBook」を持ち、私だけがWindows搭載PCという場合が多く、iPadが発売される前から医師にはMac派が多いことがうかがえます。
(2)慣れているから安心
普段からAppleのクライアント端末「Mac」を好んで利用している医師にとって、iPadの操作性は親しみがあり、Windowsよりも使いやすいと感じているのでしょう。この「慣れ」という問題はITを活用する際、非常に大切です。電子カルテを例に挙げると、Macに慣れている医師にとってマウス操作で「右クリック」という考え方はありません。私たちもMac好きの医師には、右クリックをあまり使わないタイプの電子カルテを紹介するようにしています。
(3)価格の手ごろ感
「ちょっと使ってみようか」と思える価格も、iPadの高評価の一因です。診療所の医師がiPadを経費で購入する場合、その5万円前後という価格帯は手頃感があるといえるでしょう。
(4)PC嫌いからの大きな期待
医療現場ではクライアントPCがあまり浸透しない側面がありました。特に診療所では、クライアントPCといえば「レセプトコンピュータ」をイメージすることが多いです。長らくクライアントPCを使用しない状態が続いたことを考えると、モニターを前にしてキーボードを打ちながら患者とやりとりをする姿が医療現場になじまず、大きな違和感を覚える医師がいることも納得できます。一方で、上述の通り個人的にApple製品を使っている医師が多いため、これがiPadであれば、そこまでの違和感を持つこともないでしょう。
医療現場のiPadへの期待
このように、iPadが医師に支持されるのは機能面や性能面というよりも、医師の好みや慣れによるところが大きいようです。いずれにしても、iPadは「医療で使えるデバイス」として医師の期待を集めていることは事実です。その期待とは、一言で言えば「従来のクライアントPCの概念を取り払った利用」への期待です。
現在、医療現場にも普及しつつあるiPadはWindowsをベースとするシステムとの互換性が向上しています。そのため診察室から離れた場所に設置したり、持ち出したりして利用できる点に注目したiPadを活用するシステムが多く登場しています。しかし、これではクライアントPCの延長線上にすぎず、医師の期待に応えられているとはいえません。医師はもっと画期的な利用方法を期待しているのです。
医療の現場では、医師や看護師、リハビリスタッフなど多くのスタッフが同時並行で業務を行っています。その中で業務報告や各種文書の作成など事務的な作業をすることがあります。こうした事務作業は、別の作業をしながらであったり、業務と業務の合間などに行ったりすることが多いです。そのわずかな時間でも効率的に事務作業をするためのツールとして、iPadを利用したいというニーズが多く挙がっています。
著者紹介
大西大輔(おおにし だいすけ) メディキャスト株式会社 メディプラザ統括マネージャー
2001年一橋大学大学院MBAコース卒業後、同年日本経営入社。2002年に医療機関の“選ぶ”を支援する展示場「メディプラザ」の1号店を東京(神田)に立ち上げ、その後2003年にメディプラザ大阪、2005年にメディプラザ福岡を順次開設。2007年より東京・大阪・福岡の3拠点を統括する統括マネージャーに就任。専門の医療IT分野については、医師会、保険医協会などの公的団体を中心にセミナー講師を多数実施。
【関連サイト】
電子カルテ活用のためのショールーム「メディプラザ」
医師の右腕を育成する「電子カルテ+クラーク養成講座」
医院・クリニックのオフィシャルホームページ制作システム「Wevery!」
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