コロナ禍の「VDI」導入計画【後編】
“全面在宅勤務”でも快適に使える「VDI」の作り方
在宅勤務などのテレワークを全社的に実施する手段として「VDI」を利用するには、検討しなければならない事柄が幾つかある。主に導入時や運用時に注目すべきポイントを説明する。
「VDI」(仮想デスクトップインフラ)を導入することは、全社的なテレワークに移行するときに、データのセキュリティを確保する方法の一つだ。VDIの導入プロセスには複数の作業が伴う。前編「『オンプレミスVDI』『DaaS』を比較 在宅勤務でのVDI全社導入ならどっち?」に続く本稿は、VDIの導入とその後のリソース拡張に必要なプロセスと、検討事項を説明する。
全面テレワークに適したVDIの構築・運用方法
導入プロセスの最も重要なステップは、VDIの基盤となるストレージが、ニーズを十分満たすIOPS(1秒当たりの入出力処理回数)を提供できるようにすることだ。ストレージのパフォーマンス不足は、仮想デスクトップのパフォーマンスを低下させる原因となる。
エンドユーザーが仮想デスクトップでこなす業務について検討することも重要だ。VDIは、社内の一部のエンドユーザーが社内LANからアクセスすることを前提に構築されていることが少なくない。ところが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策のために、全社的なテレワークを実施するようになると、エンドユーザーが社外からVDIにアクセスする必要がある。
IT部門の担当者はストレージの容量に加えて、従業員が必要に応じて社外からVDIに接続できるだけのインターネット回線容量(帯域幅)も確保しなければならない。
既にVDIを導入しているとしても、全従業員がテレワークをするには適していない可能性がある。以下の追加ステップを踏んで、ユーザーエクスペリエンス(UX)を保つ必要がある。
VDI導入に関連する最大の課題は、同時接続ユーザー数の急増だ。これにより1日の特定の時間帯に、VDIのパフォーマンスが低下することがある。特に平日の始業時間帯のパフォーマンスが低下する傾向にある。出社した従業員が一斉に仮想デスクトップを起動させてログインするために、システムの負荷が高くなることが原因だ。
同時接続ユーザー数の急増がもたらす悪影響を最小限に抑える方法は幾つかある。その一つが、VDI製品が処理できる最大数の仮想デスクトップをホストしないようにすることだ。そうすることでハードウェアの容量に余裕ができ、UXを維持できる。ただしホストできる仮想デスクトップ数を維持する場合、リソースをより多く必要とするため、コストがかかる。
始業時間前に仮想デスクトップを事前起動するようにVDIを設定する方法もある。これにより、エンドユーザーが一斉に仮想デスクトップを起動させることで起こるリソース使用量の急増を軽減できるため、エンドユーザーごとの仮想デスクトップの起動時間を短縮できる。
経営陣の協力を得て、従業員に従来とは異なるスケジュールで働いてもらう施策も有効だ。午前9時から午後5時といった定時の勤務時間ではなく、従業員にとって最も都合の良い時間帯に勤務してもらうことで、ユーザートラフィックが幅広い時間帯に分散される。これによりVDIの最大負荷を常時軽減することが可能になる。
需要の増加に対処するために、VDIのリソースを拡大させる方法を考えることも重要だ。VDIリソースのスケーリングは、一般的にはライセンスの追加購入だけでは済まないことに注意が必要になる。
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