Windows Virtual Desktop登場でVDI市場は変わるか【前編】
クラウド版Windows 10「Windows Virtual Desktop」はVDI市場の破壊者か?
Microsoftの「Windows Virtual Desktop」はVDI市場にどのような影響をもたらすか。特にCitrix Systemsなど既存のVDIベンダーにどのような影響があるだろうか。
「Windows Virtual Desktop」の登場で、仮想デスクトップインフラ(VDI)市場の勢力図は塗り替わる可能性がある。これを迎え撃つ既存のVDIベンダーは心して準備にかからねばならない。Windows Virtual Desktopはクラウドサービス群「Microsoft Azure」(以下、Azure)で動作するMicrosoftのDaaS(Desktop as a Service)であり、マルチユーザーで「Windows 10 Enterprise」を利用できる。多くの企業が待ち望んでいたこのサービスは、VDI市場において大きな差別化要因になる。
ITサービスベンダーのNerdioは、MicrosoftがWindows Virtual Desktopの開発を開始した当初からこのプロジェクトに関わってきた。Nerdioはマネージドサービスベンダーのワークロード(システム)をAzureに移行して運営するのを支援する会社だ。CEOのワディム・ウラジミルスキー氏によると、同社は2017年、Microsoftの招きでWindows Virtual Desktopの限定プレビューに参加したという。
Windows Virtual Desktopの利便性を高めるべく、Microsoftは自社製品を仮想環境向けに改良してきた。例えばメールクライアント「Microsoft Outlook」のオフライン利用を可能にするキャッシュモード機能を強化し、メールや予定表に素早くアクセスできるようにした。
Microsoftはどのような道のりを経てWindows Virtual Desktopの実現に至ったのか。この新サービスの参入で、Citrix Systemsのような競合VDIベンダーはどのように進化していくのか。ウラジミルスキー氏に話を聞いた。
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「VDI」についてもっと詳しく
―― Windows Virtual DesktopはVDI市場にどのような影響をもたらすでしょうか。
ウラジミルスキー氏 非常に大きな影響をもたらすだろう。受ける立場によって、よい影響の場合もあればそうでない場合もある。独自のデスクトップ仮想化製品を提供しているベンダー、特に自社のデータセンターとインフラストラクチャでそれを運用しているベンダーは、Microsoftとの競争で厳しい状況に置かれる。
Windows Virtual DesktopはAzure専用だ。そのためマルチユーザー版のWindows 10 Enterpriseなどの新しい要素の幾つかはAzureでしか利用できない。
これまでと同じサービスを続けるのが難しくなるベンダーもあるだろう。そうしたベンダーは独自のインフラからAzureへ移行してWindows Virtual Desktopを活用できるように変えるか、対象業界を絞ってデスクトップのホスティング以外の付加価値サービスやマネージドサービスを充実させることを迫られる。独自のインフラで単に仮想デスクトップをホストするだけのビジネスを新しく始めるのは、もはや難しい。
―― Windows Virtual Desktopは、Citrix Systemsなど既存のVDIベンダーにどのような影響を及ぼすでしょうか。
ウラジミルスキー氏 Citrix Systemsはここ数年、ある種の純粋なソフトウェアベンダーに進化しており、VDIベンダーの中でも特殊な位置を占めている。Windows Virtual Desktopの発表前から同社が提供しているデジタルワークプレースサービス「Citrix Cloud」は、以前からAzureベースで提供している。Citrix SystemsはMicrosoft認定のWindows Virtual Desktopパートナーでもある。
Citrix Systemsは今後もVDI市場の上位を確保し続けるだろう。例えば、長年Citrix Systems製品を利用していて、従業員のデバイスにクライアントアプリケーション「Citrix Workspace」(旧「Citrix Receiver」)がインストールされており、負荷分散装置「Citrix ADC」(旧「NetScaler ADC」)を使う必要があるような大企業にとっては、Citrix Systemsが提供するこうした高度な技術はこれからもなくてはならない。Windows Virtual Desktopがこうした課題を標準メニューで解決できるかどうかまだ分からない。
機能面でMicrosoftはCitrix Systemsに年々追い付いてくるだろう。Citrix Systemsは新しいリリースのたびに、Microsoftをしのぐ新しい価値提案を企業向けに創出していく必要がある。
後編はWindows Virtual Desktop誕生に至る開発背景、Windows 10 Enterpriseのマルチユーザー機能実装に至った理由について紹介する。
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Windows Virtual Desktop登場でVDI市場は変わるか
Microsoftが2018年秋に発表した「Windows Virtual Desktop」の登場によって、仮想デスクトップインフラ(VDI)の市場勢力図に変化は起きるだろうか。本連載は、Windows Virtual Desktopの開発に関与したITベンダーNerdioのCEOに話を聞き、開発の背景や今後の市場動向について解説する。
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