MicrosoftはDaaS「Windows Virtual Desktop」の正式リリースに向けて、同社のアプリケーションを仮想環境での実行に最適化する作業を進めている。Citrix Systemsとの協業も含めて、最近の動きを整理する。
Microsoftは「Windows Virtual Desktop」の正式提供開始に向けて、同社のビジネスアプリケーションを仮想環境に最適化するようにアップグレードする作業を進めている。Windows Virtual Desktopは、仮想デスクトップインフラ(VDI)をクラウドサービスとして提供するDaaS(Desktop as a Service)だ。同社はWindows Virtual Desktopを2018年秋に発表し、パブリックプレビューも実施したが、正式リリースの日程はまだ決定していない。
2019年7月のブログ記事でMicrosoftは、同社のオフィススイート「Microsoft Office」に含まれるアプリケーション(以下、Officeアプリケーション)の「Microsoft Outlook」「Microsoft Teams」「OneDrive」などに、仮想環境向けの改良を加えていることを発表した。
MicrosoftはOutlookのオフライン利用を可能にするキャッシュモード機能を強化し、仮想デスクトップでのメールや予定表の利用性を向上させる。OneDriveではマシン別インストールを可能にして、ユーザーごとにOneDriveをインストールしなくても、ユーザー別のフォルダやファイルを維持できるようにする。Teamsでもマシン別インストールを利用可能にする。Citrix Systemsとの連携により、Teamsには仮想環境における音声や動画の最適化も進める。
調査会社Constellation Researchのアナリスト、ホルガー・ミューラー氏は「仮想デスクトップは企業にとってこれからも必要となる。VMwareやCitrixではなくOSの開発元から提供されることは大きな利点となる」と評価する。調査会社Forrester Researchのアナリスト、アンドリュー・ヒューイット氏も、同じベンダーから法人向けOSとVDIの両方を利用できるメリットは大きいと述べる。
Windows Virtual Desktopは、Webブラウザ「Microsoft Edge」や音声アシスタント「Cortana」といった「Windows 10」の新しい機能を制限なく使えるようにするだろう。Windows Virtual Desktopの最大の強みは、サーバOS「Windows Server」のマルチユーザー機能ではなく、マルチユーザーのWindows 10を実現できること、つまりフル機能のWindows 10を使えることだ。
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