MicrosoftとVMwareのライブマイグレーション機能を徹底比較追いついてきたHyper-V

仮想マシンの柔軟な運用に不可欠なライブマイグレーション機能。MicrosoftとVMwareはこの領域で激しい機能競争を繰り広げている。

2014年11月27日 08時00分 公開
[Jens Soeldner,Computer Weekly]
Computer Weekly

 米VMwareが2003年にライブマイグレーション機能を含む製品をリリースして以来、この機能は大きな進化を遂げた。そして最近、Microsoftがこの分野でVMwareを追い上げようとしている。

Computer Weekly日本語版 11月19日号無料ダウンロード

本記事は、プレミアムコンテンツ「Computer Weekly日本語版 11月19日号」(PDF)掲載記事の抄訳版です。本記事の全文は、同プレミアムコンテンツで読むことができます。

なお、同コンテンツのEPUB版およびKindle(MOBI)版も提供しています。


 ライブマイグレーションとは、アクティブな仮想マシン(VM)を現在展開中の物理ホストから別の物理ホストへ移行させることを指す。その際、稼働中のサービスの停止またはサーバの停止は発生しない。

 ライブマイグレーション機能があれば、ホストで問題が起こってもユーザーの操作に影響を及ぼすことなく、システム管理者はそのホストの保守作業を行って問題を解決することができる。また、アクティブなVMをあるハイパーバイザーから別のハイパーバイザーに移行させることで、VMのパフォーマンスとハイパーパイザーの負荷のバランスを制御することができる。ハードウェアの保守の際、ハイパーバイザーからアクティブなVMを退避させることもできる。また、非ピーク時に、VMを負荷がより小さいサーバに移してリソースを温存することもできる。複数のVMを1つのハイパーバイザー上に集めて稼働させることで、ネットワークのスループットを最適化することもできる。

 2003年にリリースされたVMware ESX 2.0に搭載されたライブマイグレーション機能は、ITコミュニティーの中でたちまち人気を得た。

 VMwareがライブマイグレーションという革新的な機能の提供を開始してから6年後、MicrosoftはHyper-Vに同様のライブマイグレーション機能を組み込み、Windows Server 2008 R2に搭載した。この機能は、Windows Server 2008に含まれていたQuick Migration機能に改良を加えたものだ。ただし、Quick Migrationは移行処理中に短時間のサービス停止が必要だった。

ライブマイグレーションの基本を押さえる

 ライブマイグレーションの仕組みを理解するためには、VMの基本的なコンポーネントであるストレージ(仮想HDD)と、VMの構成や稼働状態に関する知識を得ておく必要がある。ストレージはストレージエリアネットワーク(SAN)の内部に配置されることが多い。従来のライブマイグレーションのプロセスでは、VMの稼働状態と構成をある物理ホストから別のホストへコピーしても、そのVMのストレージは移動することはなかった。

 VMが稼働している物理ホスト上で、VMを停止させることなく、VMを搭載しているディスクを別の場所に移動させるストレージのライブマイグレーションが利用されるようになったのは、ESX 3.0やESX 3.5が登場した2006~2007年からだ。

 VMware製品の最新バージョンで、vSphere 5.5、vMotion(VMのライブマイグレーション機能)、 Storage vMotion(仮想ディスクのライブマイグレーション機能)はいずれも、vSphere Standardエディションに含まれている。VMの自動負荷分散機能(DRS:Distributed Resource Scheduler)はvSphere Enterpriseエディションに搭載されている。また、vSphere Enterprise PlusエディションにはDRSではなくディスクの自動負荷分散機能(Storage DRS)が含まれている。

 vMotionを利用するには、そのESXiサーバをVirtual Centerで管理する必要がある。さらに、ESXiサーバは同一の物理キャビネット上で互換性を備えていなければならない(言い換えるとCPUに互換性があり、重要度の高くない要件数件を満たしていればよい)。またハイパーバイザー間のVMの移動について、VM稼働中の物理ネットワークセグメントをまたぐ移動はサポートされていない。vSphereクライアント(従来のクライアント専用UIでもWebクライアントでも)上でvMotionの操作やライブマイグレーションをワンクリックで実行できるようにするには、システム管理者は既存のポートにタグ付けをするか、VMkernelポートを新規に作成する必要がある。Webクライアントを使うと、共有ストレージを設定していないVMの移動も可能だ(共有ストレージなしのライブマイグレーションがvSphere 5.1で導入された)。

 共有ストレージなしのライブマイグレーションは、従来のVMのライブマイグレーションとストレージのマイグレーションの組み合わせとなる。VMの稼働状態と構成が移動先のホストにコピーされ、ファイルシステムは移動先のストレージデバイスにコピーされる。システム停止を起こさないように、VMの稼働状態とストレージはそれぞれ移動前のホストとストレージで、複製の処理が完了するまで稼働を続ける。

VMwareのライブマイグレーションの進化

 VMwareはこの数年、ライブマイグレーション機能に改良を加え続け、アプリケーションで複数のネットワークインタフェースも利用できるようにして、ライブマイグレーションの処理速度を向上させた。2015年3月のリリースがうわさされる、次期バージョンのVMware vSphere 6では、以下のようなことが可能になると予測されている。

続きはComputer Weekly日本語版 11月19日号にて

本記事は抄訳版です。全文は、以下でダウンロード(無料)できます。


Computer Weekly日本語版 最近のバックナンバー

Computer Weekly日本語版 11月5日号:クラウドに失敗する企業の法則

Computer Weekly日本語版 10月22日号:次に市場から消えるのは誰?

Computer Weekly日本語版 10月8日号:進撃のBig Apple


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 SB C&S株式会社

仮想化環境のモダナイゼーションを加速させる、新しい運用管理方法とは?

さまざまなメリットをもたらす仮想化環境だが、2023年にVMwareが買収されたことで、ユーザー企業は難しい判断を強いられている。そこで、コストメリットも大きい、仮想化環境のモダナイゼーションの方法について解説する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

データ利活用基盤を強化:NTTコミュニケーションズのストレージ導入事例

データ分析・利活用のニーズが高まる中、アクションのベースとなるデータも膨大な容量となり、今後も増え続けていく見通しだ。そうなると、各企業はデータ利活用基盤として、信頼性や拡張性の高いストレージを求めるようになるだろう。

製品資料 横河レンタ・リース株式会社

Windows 11への刷新はデータ移行が重荷、作業負荷を大幅に軽減する方法とは?

OSの移行には「データ移行」が付き物だが、その業務負荷の高さに悩まされているIT管理者は多いだろう。Windows 11への移行を進める前に知っておきたい、「データレスPC」の有効性や、導入で得られる“プラスα”のメリットを解説する。

事例 ニュータニックス・ジャパン合同会社

サーバ250台の移行事例、東海理化が仮想環境を刷新した理由とその効果とは?

技術や市場の変化が激しい自動車業界にあって、長年、数多くの自動車メーカーに部品を供給してきた東海理化。同社は変化に柔軟に対応するためのDX推進に当たって、これまで運用してきたレガシー仮想環境からの移行を断行する。

製品レビュー ニュータニックス・ジャパン合同会社

クラウド同士の連携と運用の課題解消、WebスケールITの基準を採用した基盤とは

ハイブリッド/マルチクラウドへ移行する企業のIT環境だが、クラウド同士の連携は複雑な上に、運用も非効率になりがちだ。そこで、この問題を解消するためのハイブリッド/マルチクラウドプラットフォームを紹介する。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。