新型コロナウイルスの流行に対処するためのテクノロジーとして重要性が高まっているのが「VDI」だ。シドニー大学や米カリフォルニア州コロナ市の取り組みから、VDIの効果を探る。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染の広がりは、日常業務に大きな混乱が生じる恐れを高めている。米カリフォルニア州の地方自治体やオーストラリアの学術機関に属するIT専門家によると、「VDI」(仮想デスクトップインフラ)が事業継続計画の重要な要素になるという。
専門家の中には、新型コロナウイルスによってテクノロジーの導入が促される可能性があると考える人もいる。そうした専門家は、特に導入が進むのがVDIをサービスとして利用できる「DaaS」(Desktop as a Service)だと指摘する。
新型コロナウイルスの流行は、災害時の事業継続計画(BCP)の見直しを迫っている。短文投稿サービス「Twitter」には2020年3月上旬、自社の従業員に対して可能な場合は在宅勤務をするよう奨励するツイートがあった。移動を制限して会議への参加や会議自体を中止する企業も出ている。
業界関係者は、新型コロナウイルスへの懸念から、VDIへの移行、特にクラウドベースのDaaSへの移行が進む可能性があると話す。ただし米国の企業や国内インターネットインフラが、大掛かりな在宅勤務に耐えられるかどうかは不透明だ。
既に措置を講じた組織もある。シドニー大学(University of Sydney)はCitrix Systemsと協力して2020年1月から新型コロナウイルス対策に着手している。「学生を集めて講義が実施できない場合に備える選択肢が必要だった」と、同校でクライアントテクノロジー部門のアソシエイトディレクターを務めるジョーダン・カトリング氏は述べる。関係者全員の物理セキュリティとデジタルセキュリティの両方を確保する必要もあった。
シドニー大学校にはCitrixとの関わりが既にあり、同社のVDI製品を使用していた。そのため計画策定で同社と提携するのは自然な成り行きだった。「学生、職員、コミュニティーの安全とセキュリティが当校にとっては最優先事項になる。当校が考えたのは、物事がどのように推移していく可能性があるかだった」とカトリング氏は語る。
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