データプライバシー管理に「AI」を生かす【第3回】
AI×データプライバシーの主な用途「データ特定」「フェデレーテッドラーニング」とは?
データプロフェッショナルの労力削減につながるAIデータプライバシーツールは、多くの点で企業に恩恵をもたらす。本稿ではこの技術の用途について解説する。
第2回「データプライバシー管理に『AI』を使うなら無視できない課題とは?」は、データへのアクセス権限を誰が所有するか、誰がそのアクセス権限を認定するかといった「データプライバシー」の管理にAI(人工知能)技術を活用する際の課題を整理した。第3回からは、AI技術を活用したデータプライバシー管理ツールの主な用途を取り上げる。主要な用途は以下の通りだ。
- データの特定
- フェデレーテッドラーニング
- 異常な挙動の検出(第4回で紹介)
- 応対の自動化(第4回で紹介)
- 消費者の知識の強化(第4回で紹介)
1.データの特定
データをサンプリングすることは、データセットやドキュメントのどこに個人情報があるのかを特定するのに役立つ。「クラウドサービスやオンプレミスのインフラに何百件ものデータベースを持つ企業は、どのデータベースを守る必要があるのかを見極めることは簡単ではない」。データセキュリティベンダーProtegrity USAのデータおよびAI担当エグゼクティブバイスプレジデント、エリアノ・マーケス氏はそう解説する。これは特に、半構造化データ、ドキュメント、画像が複雑なシステムに散らばっている場合に当てはまる。
マーケス氏がデータ分類の手段として提案するのは、リアルタイムでデータ処理バッチを稼働させることだ。リアルタイムのデータ処理によって、センシティブなデータを分類して、それを識別子に置き替えるトークン化といった保護を適用できる。この戦略は、GDPRのようなプライバシー規制に基づいて、個人の特定を防がなければならない場合に役立つ。AI技術は、特定の個人にひも付く非構造化データを、PDF形式の契約書など個別のファイルレベルにまで掘り下げて発見できる可能性があるためだ。
AI技術は、あいまいな状況の下で個人情報の発見を自動化できる。このことは「あいまいなデータを持つドキュメントから個人情報を見つける上で重要だ」とシンハ氏は話す。例えばドキュメント中の「April」という単語を見つけ出す場合、そのAprilが個人名なのか、それとも4月という意味なのかを判断するのは、文脈から追加で情報を拾わなければ難しい。ここでAI技術を使えば、周辺の文脈に基づいてあいまいさを解消できる可能性がある。
2.フェデレーテッドラーニング
マーケス氏によると、複数のサーバにモデル化したデータを分散させる機械学習「フェデレーテッドラーニング」(連合学習)技術を使うことで、実際のデータを共有することなく、複数の個人データを扱ったモデルを構築できる。例えば2つの病院が、疾病を早期発見するアルゴリズムを構築したいと考えているものの、患者の個人情報を病院外に出すことは望んでいないと仮定する。そこで両方の病院がフェデレーテッドラーニングを利用すれば、HIPAAに違反することなく、目的のアルゴリズムを入手できる可能性がある。
第4回は、引き続きデータプライバシー管理におけるAI技術の用途を解説する。
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