VMware vSphereとHyper-Vはどちらが安いか?【後編】
大規模環境ではvSphereよりもHyper-Vの方がやはり安価か?
専門家によると、サーバ数が99を超えればWindows Server Datacenterライセンスを購入してVMを実行する方が経済的だという。多数のホスト/ゲスト環境におけるHyper-VとVMware vSphereのコストと機能を比較する。
前編「ローエンド環境ではHyper-Vの方が高機能でvSphereの方が安価」では、ローエンド環境におけるHyper-VとVMware vSphereの価格を比較した。後編では多数のホスト/ゲスト環境における両者のコストと機能を比較する。
スケールアップ:多数のホスト/ゲスト環境のコストおよびVM管理のコスト
以前は「Microsoft System Center Virtual Machine Manager(SCVMM)2008」のスタンドアロン版(529ドル)で多数の仮想ホストを管理することができた。しかし「System Center 2012」の場合、1台のホストに付き3つ以上のOS環境(OSE)をSCVMM 2012で管理するには、DatacenterレベルのSystem Centerスイート(3607ドル)を購入する必要がある。同スイートは2個のプロセッサに対応する。
VMwareの場合、vCenterのスタンドアロン版の1インスタンス(4995ドル)およびSnS(サポート&サブスクリプション)だけを購入し、それ以外の高度な管理機能は省略するという選択肢が残されている。
15台のデュアルCPUソケット搭載ホストと150個のVMが配備された環境の場合、VMwareのStandardエディションのライセンス(1プロセッサに付き995ドル)のコストは2万9850ドルになる。これにvCenter(4995ドル)、そして両製品に対する1年間のプロダクションサポート費用を加えると、コストは総額で4万5784ドルになる。150本のWindows Server Standardライセンスも計算に含めれば、仮想環境のコスト総額は15万2434ドルに跳ね上がる。
専門家によると、サーバの数が99を超えればWindows Server Datacenterライセンスを購入してVMを実行する方が経済的だという。30プロセッサ分のWindows Server Datacenterの価格はSAなしで7万710ドルであり、これに4万5784ドルを加えると総額で11万6494ドルになる。
Microsoftの場合、30プロセッサ分のWindows Server Datacenterの価格はSAなしで7万710ドルだ。30プロセッサ分のSystem Centerスイートの価格は5万4105ドルなので、MicrosoftのOSと仮想化管理ツールのライセンスの価格を合計すると、総コストは12万4815ドルということになる。これは、SCVMM 2008のスタンドアロン版を利用した場合の総額7万1239ドルとは大きな開きがある。また、SAを含む場合の総コストは16万155ドルになる。
500個のVMと34台のデュアルCPUソケット搭載ホストという環境(どちらのハイパーバイザーについても15:1という極めて現実的な統合率を想定)では、vSphere Standardライセンスのコストは、vSphereとvCenterの1年間のプロダクションサポート費用を含めると9万5868ドル。同じ条件でvSphere Enterpriseのコストは25万636ドル、Enterprise Plusでは30万3336ドルとなる。
大規模な環境では各種OSが混在している可能性が高いので、半数のVMがWindowsとともにライセンスされていると仮定する。Standardエディションの場合、Windows Server Standardのライセンス価格は総額が27万3618ドルに増加する。Enterpriseエディションでは42万8386ドル、Enterprise Plusでは48万1086ドルとなる。Windows Server Datacenterの場合は、総額でそれぞれ17万6006ドル、33万0774ドル、38万3474ドルになる。
SAを含むWindows Server Datacenterのライセンスは総額16万276ドルで、VMの数に制限はなく、メモリおよびCPUリソースも無制限にサポートされる。これに対し、VMwareのStandardライセンスではvRAMの割り当て容量は2.1Tバイトだ。これは均等に分割すると、VM 1個当たり4.35Gバイトである。EnterpriseライセンスではvRAMの割り当て容量は4.3Tバイト、VM1個当たり平均8.7Gバイト、Enterprise PlusではvRAM容量が6.5Tバイト、VM1個当たり平均で約13Gバイトとなる。
しかしSystem Centerの価格を含めると、コストの比較が複雑になる。68プロセッサ分のSystem Center Datacenterエディションの価格は12万2638ドルで、これをホストOSのライセンス価格に加えると、SAなしで総額28万2914ドルだ。SAを含めると総額36万3018ドルになる。
さらに「Enrollment for Core Infrastructure(ECI)」というオプションもある。これはWindowsとSystem Centerの両ライセンスをバンドルしたもので、価格は1プロセッサに付き5056ドル。このライセンス方式を適用した場合、総額で34万3808ドルになる。
Microsoftでは「ユーザーは、VMwareのハイエンド仮想化ライセンスよりも低いコストで、VMwareの本格的管理スイートの機能(vCloud DirectorやvCenter Operationsなど)と同等の機能を得られる」と指摘する。一方のVMwareは「Windows 2008 R2 SP1(Service Pack 1)のハイパーバイザー機能は自社のStandardライセンスのレベルに最も近く、この2つを比べるのが公正な価格比較だ」とブログ記事で述べている。
VM密度とTCO
1ホスト当たりのVM密度も、両方の仮想化プラットフォームを比較する際の評価基準の1つではあることには変わりはないが、ダイナミックメモリ機能が搭載された2010年のWindows Server 2008 R2 SP1以前のHyper-Vのリリースと比べると、それほど大きな差別化要因にはならない。
ダイナミックメモリとVMwareのメモリオーバーコミット機能の間には違いがあるが、Hyper-Vを運用している標準的な企業のIT部門にとって、ダイナミックメモリは従来バージョンと比べて統合率を大きく高めるものとなった。その数値はワークロードによって異なるが、96Gバイトのメモリを搭載したWindows Server 2008 R2 SP1ホストで35:1~50:1という統合率を報告しているユーザーもいる。
しかし仮想環境で最高レベルの効率を求める企業や、高パフォーマンスを必要とするミッションクリティカルなワークロードを実行する企業にとっては、優れた拡張性とメモリオーバーコミット機能を備えるvSphere 5がやはり最善の選択肢だ(関連記事:ライセンスのカウント方法も分かる! VMware vSphere 5の全貌)。
2012年にWindows Server 2012が出荷された時点で、両製品の比較をめぐる状況はまた変わるだろう(関連記事:ここまで変わった! Windows Server 2012のHyper-V 3.0の新機能)。既にリリース候補版が出ているWindows Server 2012は拡張性に優れ、Windows Server 2008 R2 SP1よりも高いVM密度でミッションクリティカルなアプリケーションを仮想化するのにふさわしい製品となるための改良が施されている。
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