平凡だが極めて重要な問題を解決
クラウド移行前に注目したい「SD-WAN」、飛躍的な技術強化の影響は
企業でデータセンターのクラウド移行に対する関心が高まっている。しかし、移行を急ぐ前に注目したい、より直接的な影響のある技術が登場した。注目の「SD-WAN」とは?
2016年もクラウドコンピューティング関連の動向に多くのユーザー企業が注目した。だが自社のデータセンターを放棄して、Amazon、Microsoft、Googleが運用するデータセンターに乗り換える準備ができたと考える全ての企業に対し、451 Researchで主任アナリストを務めるエリック・ハンセルマン氏は「急ぐのは得策ではない」と警告する。
ハンセルマン氏は、データセンターの管理とネットワーク全般を方向付けるトレンドに長いこと注目してきた。同氏によると、2017年に「クラウドが全てに取って代わる」と考えるのは、どう好意的に見ても早合点で、最悪の場合は間違った方向に進むことになるという。
ハンセルマン氏は、2017年のデータセンターに対する予測を次のように語っている。「現在、多数のデータセンターが稼働中だ。クラウドの話題が盛んだが、実際に運用されている全体的なITキャパシティーの中でクラウドが占める割合はまだ非常に小さい」
時間がかかるクラウド採用と移行
2016年において企業のコンピューティングサービス投資額が、データセンター用ハードウェアの購入額を初めて上回った。「だが、依然として導入済みの機器の多くを運用している。世界の全てがクラウド化されたわけではない。そうした方向に進んでいるかもしれないが、その動きに相反する解決しなければならない問題も少なくない」とハンセルマン氏はいう。
主な問題に、スタッフの配置とレガシーインフラが挙げられる。クラウドネットワークに移行するためにスタッフを教育してプロセスの適切な配置を徹底するには時間がかかる。それに加え、データセンターの再編成には大きなリスクが伴う。「こうした問題があらゆるコアシステムで非常に重い足かせとなっている。それが、企業のクラウド移行を遅れさせている」(ハンセルマン氏)
このようなプロセスが行われたとしても、2017年、企業のデータセンター管理者は、もっと平凡だが極めて重要な問題に注力することになるとハンセルマン氏は指摘する。ワイドエリアネットワーク(WAN)と相互接続は大きな飛躍を遂げている。それを主に後押ししているのはSD-WANサービスの発展だ。「SD-WANは企業向けのテクノロジーで、無視できない直接的な影響力がある。ソフトウェア定義のネットワーク(SDN)に移行するリスクを小さくするには、SD-WANを試してみるといい」とハンセルマン氏は話す。
データセンターではマイクロセグメンテーションが定着する
自社のSDN戦略を支えるためにVMwareの「VMware NSX」またはCisco Systemsの「Cisco Application Centric Infrastructure」を採用する企業が増えている。この状況も現状に影響を及ぼし始めている。VMwareによると、1700社以上の企業がVMware NSXを導入している。一方、CiscoもApplication Centric Infrastructureが約2700社で採用されていると発表した。このことから明らかなのは、高度なマイクロセグメンテーションを調査する企業が増えていることだ。ハンセルマン氏はこの動きを「ネットワークセキュリティを強化する上で重要な武器になる」と説明する。同時に、企業はファイアウォールとロードバランサーを含む仮想ネットワーク機能に以前より精通している。そのため、こうした機能が仮想化インフラで動作する仕組みを理解できるようになっている。
一方で、2017年にはリーフ/スパイン型アーキテクチャも支持を広げるだろう。「2016年時点でこのアーキテクチャは比較的新しい概念だった。2017年には、リーフ/スパイン型アーキテクチャが適合する領域とデータセンターで提供する機能が理解されるようになるだろう」とハンセルマン氏も語る。リーフ/スパイン型アーキテクチャにはさまざまなメリットがあるが、特筆すべきはネットワークの通信がフラットになり、トラフィックのボトルネックが排除できる点だ。
またデータセンターにおいて、より高速なイーサネットテクノロジーの検討が始まるという予想もある。100ギガビットイーサネット(以下、GbE)のインタフェースコストが下がり続け、25GbE規格が正式に承認されるためだ。25GbE規格の承認によって、より高速なレーンを使用できるようになり、100GbE速度をサポートするのに必要な光学部品類のコストと量がこれまで以上に削減できる。「この領域は大きな可能性を秘めている」とハンセルマン氏も評価している。
それから、データセンター管理者の間で、アプリケーションパフォーマンス管理の延長として行う総合的なインフラ管理に対する関心も高まるだろう。こうしたインフラ管理は本来サーバ側で行うものだ。「これは2017年に起きるだろう重要な変化だ。企業はネットワーク要素の管理だけでなく、あらゆる管理要素に対応するようになる。手動の作業は今でも非常に多い。自動化した環境に移行して状況を大幅に改善しなければならない」とハンセルマン氏は警告する。
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