企業業績管理(CPM)導入の注意点【前編】
BIソフトとCPMソフトの違いとは
CPMソリューションはBIソフトウェアを含むが、単なる技術ではなく、業務を監視・測定・管理するために使用するプロセス、手法、指標、技術などで構成される。
ビジネスインテリジェンス(BI)と企業業績管理(CPM:Corporate Performance Management)との違いは何だろうか。また、BIベンダーとCPMベンダーとの違いはどこにあるのだろうか。2番目の質問の答えは「両者は同じ」というものだ。両方のベンダーが同じであるという事実は、最初の質問を難しくする。販促資料や業界メディアの記事を読めば、そこに記されている用語やアプリケーション、メリットなどはBIでもCPMでも同じであるため、問題はさらにややこしくなる。
BIは、ビジネスに関連したデータに対するアクセス、分析、リポーティングなどに使用する技術を表す用語になった。BI技術には、アドホッククエリ、リポーティング、OLAP(オンライン解析処理)、ダッシュボード、スコアカード、検索、仮想化などを含む広範なソフトウェアが関連する。こういったソフトウェア製品は当初、スタンドアロン型ツールとして登場したが、BIソフトウェアベンダー各社はこれらをBIスイートに組み込んだ。また、BIソフトウェアは必ずCPMソリューションに含まれている。
一方、CPMというのは単なる技術ではない。CPMは業務を監視・測定・管理するために使用するプロセス、手法、指標、技術(アプリケーションおよびソフトウェアツール)などで構成される。CPMの対象となるビジネスプロセスには、財務、マーケティング、販売、CRM(顧客関係管理)、SCM(サプライチェーンマネジメント)などが含まれる。
企業は一般に、最初に予算管理、業績予測、プランニングといった財務プロセスにCPMを導入するが、販売、マーケティング、顧客サポート、人事などの業務にもCPMを適用できる。製造企業のSCMや小売企業の商品仕入計画といった特定のビジネスプロセスをサポートするCPMソリューションも多い。多くの企業では、ABM(活動基準管理)やEVA(経済的付加価値)といったビジネス手法を中心としてCPMプログラムを構築している。CPMで最も一般的に(特に米国において)利用されているビジネス手法が、BSC(バランススコアカード)だ。ビジネス手法を活用すれば、CPMソリューションに対して総合的なビジネスアプローチで臨むことができる。これは、自社のビジネスへの戦略的かつ全社的な視点から切り離された個別プロセスを対象とした戦術的なリポートを単に作成するのとは異なる。
改善すべきビジネスプロセスと採用するビジネス手法を選択したら、測定・監視・管理の対象となる指標を選ぶ必要がある。これらの指標は一般にKPI(重要業績評価指標)と呼ばれる。KPIを選択・定義するのはビジネス部門だ(IT部門ではない)。ビジネス部門が業務データの定義で合意することが特に重視されがちだが、KPIを選択・定義することも同様に重要だ。業務データとKPIの定義では、データガバナンスプロセスを利用する必要がある。これはあらゆるCPM構想において重要な最初のステップだ。
最後のステップがCPM技術を選択することだ。ベンダーの販促資料や業界メディアの記事は、CPMソフトウェアの説明から始まり、それが単一の“パッケージ”だという前提で記述されているが、CPMソフトウェアが複数のバンドルコンポーネントを組み合わせたものであることも多い。CPM導入プロジェクトを成功に導くには、これらのパッケージに何が実際に含まれているのか把握することが大切だ。
CPMパッケージには、アプリケーション固有のコンポーネントおよびこれらのコンポーネントを開発あるいは連係するためのソフトウェアツールの両方が含まれることが多い。
アプリケーション固有のコンポーネントとしては以下のようなものがある。
- ビジネスアプリケーション(予算管理、プランニング、予測など)
- テンプレート(ビジネスアプリケーションをサポートする推奨KPIとデータ定義のセット)
- データマートあるいはデータウェアハウスとして実装されるデータモデル
- リポート、キューブ、分析用のツール
- ソースシステムからアプリケーションのデータマートあるいはデータウェアハウスにデータを移動するためのETL(データ抽出/変換/ロード)ルーチン集
ビジネスアプリケーションを実装するために使用するソフトウェアツールがCPMパッケージに含まれていることも多い。これらのツールとしては以下のようなものがある。
- BIスイート
- ETLツール
CPMパッケージのコンポーネントを評価するに当たって確認すべき重要な問題は、プロセス、指標、手法において自社のすべてのビジネス要件に適合するのか、それともその技術に適合するようにビジネスプロセスを変更する必要があるのか(そしてそれはあなたが本当に望んでいることなのか)ということだ。わたしの経験では、後者は間違いなくCPMの失敗につながる。次回は、この問題についてさらに論じるとともに、CPMソリューションを自社開発するか購入するかという問題も取り上げる。
本稿筆者のリック・シャーマン氏はAthena IT Solutionsの創設者。同社はデータウェアハウスとBIを中心としたコンサルティング、トレーニング、ベンダーサービスを提供するコンサルティング会社。同氏はこの分野で20年以上の経験があり、これまでに50本以上の記事を業界メディアに寄稿した。講演者としても活躍するほか、DM Review World Class Solution Awardsの審査員も務める。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー