SSO製品紹介【第1回】CA Technologies編
“SIいらず”が信条のSSO製品「CA SiteMinder」
管理性と拡張性に配慮し、個別開発の必要性を可能な限り排除。ユーザー単位の課金で導入負荷を低減。そんな特徴を持つSSO製品、CA Technologiesの「CA SiteMinder」を解説する。
Webベースの業務アプリケーションの浸透、クラウドの活用増大、スマートフォンやタブレットをはじめとする端末の多様化――。こうしたIT環境の急速な変化は、管理すべきID/パスワードの急増をもたらす。管理すべきID/パスワードの増加に耐えられなくなり、ノートや付せんにパスワードをメモしてクライアントPCの近くに置いている従業員も少なくないだろう。
セキュリティやコンプライアンス上問題のあるこうした行為を防ぐ有力な手段がシングルサインオン(SSO)製品である。SSO製品の製品動向は、「【製品動向】「付せんでID管理」を一掃するシングルサインオン(SSO)」で示した。本連載では、国内で提供されているSSO製品をベンダーごとに紹介していく。第1回は、CA Technologies(以下、CA)のSSO製品を解説する。
連載:シングルサインオン(SSO)製品紹介
製品の概要
CAが販売するSSO製品は、Webアクセスマネジメント(WAM)製品「CA SiteMinder」とIDフェデレーション製品「CA SiteMinder Federation(旧CA Federation Manager)」の2つだ(参考:クラウド導入で見直すアイデンティティー管理)。以下、それぞれの概要を説明する。
CA SiteMinder:エージェント型とリバースプロキシ型を併用可能
CA SiteMinderは、主要なSSOの認証方式であるエージェント型とリバースプロキシ型の双方を組み合わせて運用できるのが特徴のWAM製品だ(図1)。
Webサーバ内にSSO機能を組み込むエージェント型は、レスポンスの高速さという利点があるが、エージェントをインストール可能なOSや対応アプリケーションは、WAM製品の対応状況に依存する。一方のリバースプロキシ型は、WebサーバのOSやアプリケーションに依存せず利用できるが、負荷が集中するプロキシサーバのパフォーマンス確保やネットワークの設定変更などが課題となる(エージェント型とリバースプロキシ型の違いについては「【製品動向】「付せんでID管理」を一掃するシングルサインオン(SSO)」も参照)。
「エージェント型とリバースプロキシ型を併用することで、エージェント型が持つパフォーマンスの高さとリバースプロキシ型が持つ幅広いアプリケーションへの対応というメリットが得られる」。CAでSSO製品のマーケティングを担当する金子以澄氏は、こう話す。
CA SiteMinderは、当然ながらエージェント型やリバースプロキシ型を単独で利用することもできる。エージェントは、「SAP ERP」「Oracle Siebel」といった業務アプリケーションなど、ID/パスワードによるログインを必要とする主要なシステム向けに用意。また、リバースプロキシ型で運用する際、標準装備のロードバランシング機能で認証用サーバの追加による負荷分散ができるようにした。
CA SiteMinder Federation:クラウドとのIDフェデレーションを実現
もう一方のCA SiteMinder Federationは、グーグルの「Google Apps」やセールスフォース・ドットコムの「Salesforce CRM」といったクラウドベースアプリケーションと社内システムとの認証連携を可能にする製品だ(図2)。
CA SiteMinder FederationをWAM製品やActive Directoryと組み合わせることで、社内システムとクラウドの認証連携が可能になる。CA SiteMinderだけでなく、他ベンダーのWAM製品との組み合わせも可能だ。「既にSSO環境を構築している場合も、CA SiteMinder Federationを追加するだけでIDフェデレーションを実現できる」
CA SiteMinder Federationは、SAML(Security Assertion Markup Language)、OpenID、OAuth、WS-Federation、ADFS(Active Directory Federation Services)など、幅広い認証用の標準技術が利用できる(SAML、OpenIDを利用した認証連携については「ハイブリッドクラウドの実現に向けて」も参照)。
他社製品に対する特徴:管理者の負荷軽減や拡張性に配慮
CA SiteMinderは、運用管理の負荷軽減に役立つ機能が充実している。その1つが「IDマッピング機能」だ。IDマッピング機能を使うと、管理者が基本となるディレクトリを選定するだけで、基本となるディレクトリと他のディレクトリとの関連付けや同期をCA SiteMinderが自動実行してくれる。「多くのSSO製品は、管理者が基本となるディレクトリやIDリストを新たに作成して、既存システムのディレクトリとひも付けなければならないが、CA SiteMinderはこうした作業をする必要がない」
また、認証用サーバを追加してスケールアウトできるなど、拡張性にも配慮した。追加した認証用サーバに必要な設定は、自動で構成される。SSO製品を導入する場合、段階的に管理対象を広げていくのが一般的だ。そのため、初期段階のマシン構成やパフォーマンスを徐々に拡張できることが重要になる。「設定自動化機能を使うと容易にスケールアウトできる点も、CA SiteMinderが顧客企業から高い評価を得ている理由の1つだ」と金子氏は言う。
金子氏は、「カスタマイズを極力せずに導入できること」がCA SiteMinderの設計思想だと説明する。高い拡張性や管理性があるSSO製品であれば、最小限のカスタマイズと工数で導入や運用が可能だ。「必要十分な機能を網羅することで、パッケージ製品であってもシステムインテグレーションに余計なコストが掛からないよう配慮した」
事例:コンシューマー向けサイトにSSOを導入する機運も
CA SiteMinderの導入企業は、業種・規模ともにさまざまだと金子氏は説明する。ユーザー企業の1つである日立製作所は、グループ会社を含む約40万ユーザーの認証基盤としてCA SiteMinderを導入した。トラフィックの一極集中が避けられるエージェント型で運用可能なことや拡張性の高さを評価した結果だ。同社は、事業部やグループ企業ごとにポリシーが異なる中で、CA SiteMinderの権限委譲の機能を活用し、それぞれの担当者にポリシーの登録・変更などを任せている。本社の管理側は統制のとれた運用ができ、管理負担の分散にもつながったという。
NTTコミュニケーションズは、システム構成に依存しないユーザーID数ベースのみのライセンス体系や導入の容易さなどを評価し、CA SiteMinderを導入。従業員からのパスワードの問い合わせが、メールで4分の1、電話で3分の1に減り、ヘルプデスクの負荷が軽減された。
興味深いのは、コンシューマー向けのWebサイトにCA SiteMinderを導入した第一法規の事例だ。法律関連書籍の電子版を提供する同社は、書籍の専門性の高さを考慮し、分野ごとに販売ページを用意していた。問題は、同社が各販売ページのシステムを別々に構築し、それぞれのシステムにID/パスワードを設定していたことだ。顧客は複数のID/パスワードを管理しなければならず、管理用に複数のユーザー管理システムを運用しなければならない状況だった。
同社は、ユーザーの利便性向上と管理負荷の削減を目指してSSO製品の導入を決断。カスタマイズのしやすさや取り扱うシステムインテグレーターが多いことなどを重視し、CA SiteMinderを選択した。「第一法規は、ソーシャルネットワーク(SNS)のユーザーIDを基にして有料会員を呼び込むなどの仕掛けとして、CA SiteMinderを活用する計画があると聞く」と金子氏は明かす。
第一法規のように、コンシューマー向けシステムにSSOを導入する企業はまだ少ないと金子氏は言う。ただし、SSOの適用範囲は社内システムにとどまらないという事実は、把握しておいて損はないはずだ。
製品価格:ユーザー単位課金を採用
CA SiteMinderの参考価格(価格は全て税別)は、インターナル(社内や企業間向けシステム用)の場合、5000ユーザー1500万円。エクスターナル(コンシューマー向けシステム用)の場合、1万ユーザーで1250万円。CA Federation Managerは、連携10サイトで1125万円。これらはあくまでも参考価格であり、システム構成などによってコストが変化することに注意が必要だ。保守サポート料金は、製品価格の20%である。
CAがシステム単位ではなくユーザー単位での課金を採用する理由の1つは、「SSO製品がメリットをもたらすかどうかは、企業規模だけで判断することができなくなっている」現状を受けてのことだ。従業員数が多い大企業でなければコストメリットが得にくいといわれてきたSSO製品だが、「個人が業務利用するアプリケーションの数は、100人前後の企業も1万人単位の企業もそれほど変わりがない」のが現状である。従業員数が少ない企業にとって、ユーザー課金はSSO導入のハードルを低くする効果があるだろう。
連載:シングルサインオン(SSO)製品紹介
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