新規人材の採用予定も約4割
2013年に55%が昇給、セキュリティ担当者が重宝される訳
セキュリティプロフェッショナルの57%が2012年に昇給し、2013年も55%が昇給の見込みであることが、米TechTargetのIT給与調査から明らかになった。その背景に迫る。
ITセキュリティとコンプライアンスのプロフェッショナルは、常にキャリアアップを志し、現在の勤務先での昇進を目指しながら、新たなチャンスにも前向きな姿勢を保つ――。米TechTargetが2012年に実施したIT専門職の給与に関する調査で、そんな実態が浮かび上がった。
調査はTechTargetが運営するWebサイトの読者のうち、北米のITプロフェッショナル2277人を対象に実施した。ITの専門分野は40種に及ぶ。この中には、組織内で主にITセキュリティ、コンプライアンス、リスク管理、災害復旧を担当する約200人が含まれる。
セキュリティやコンプライアンス担当者のうち、現在の仕事に満足していると答えたのは、25%にとどまった。あと3~5年は現在の職にとどまるつもりだとの回答も22%にすぎなかった。
この調査結果は、セキュリティ業界全般に共通する課題を反映している。キャリア志向のITセキュリティプロフェッショナルは、転職が多いという実態だ。
SNSやメーリングリストでは、仕事のネットワーク作りが盛んである。キャリアアップを目指す人は、業界カンファレンスでコネを作って職を探す。今回の調査では、積極的に新しい職探しはしていないとの回答が多数を占めたものの、半数強は新たなチャンスにも前向きだと答えた。
こうした中、企業の人事部門は、業界におけるスキルの溝の拡大を理由に、特定のITセキュリティ職の人材確保に苦慮しているのが現状だ。
調査によると、多くのITセキュリティとコンプライアンスのプロフェッショナルにとって、2012年は良い年だった。57%は昇給があり、43%が賞与を受け取り、給与に変化がなかったのは11%のみだった。
2012年の年収は、10万~15万ドルが約半数を占め、15万ドル超は6%にとどまった。この数字には、賞与などの一時金は含まれていない。
ITセキュリティを保つために相当額の投資が必要だという一般認識は、組織にある程度浸透しつつあるのかもしれない。
サイバー犯罪の脅威が拡大しているかどうかにかかわらず、過去2年は標的型攻撃やサイバー戦争が常に話題に上ったと、米Spire Securityの調査ディレクターであるピート・リンドストーム氏は指摘する。
リンドストーム氏によると、知的財産の盗難やアカウントのログイン情報などの流出が増え続けているとの認識が企業の間に広がっているという。企業経営者は、眼前の新たな脅威に対して、本当にセキュリティ対策を強化する必要があるのかどうかを見極める必要がある。
「必ずしも警官を増員したいと思わなくても、必要性を感じるから採用数を増やす。最上層部は、採用数増加とプロセス自動化の間でバランスを取っている。セキュリティプロフェッショナルにとっては、最小限のリソースを使ってリスクを低減することが職務の全てだ」(リンドストーム氏)
調査の回答者は、組織での成功を測る主な指標として、生産性目標を挙げた。革新性と創造性も一般的な目標であり、これに組織内のシステムやアプリケーションのアップタイムと安定性の維持が続く。一方、成功の指標としてプロジェクトの投資対効果(ROI)を挙げた回答者は、12%のみだった。他には、不正侵入の持続的な防止、リスクの低減、コンプライアンス順守などが、年間を通じた実績を測る指標として挙がった。
回答者のおよそ38%は、2012年に最高6%の基本給昇給があり、賞与があった回答者のうち23%が5000ドル以上を受け取っていた。
回答者のほとんどは、セキュリティ業界のベテランだと考えられる。セキュリティ、コンプライアンス、リスク管理、災害復旧を主な職務とした回答者の86%は、10年以上の経験の持ち主だった。
2013年のITセキュリティ、コンプライアンス、給与、仕事の展望
2012年のIT給与調査によれば、2013年は昇給が見込めるものの、賞与には期待していない回答者が多かった。今後1年間で昇給が見込めると答えたのは約55%、賞与が見込めると答えたのは約43%だった。一方で23%は、2013年も給与が変わらないだろうと回答した。
人員増加とセキュリティ専門職の補充を期待する声も多かった。IT部門の人員が足りていると答えたのは20%のみ。約43%は、2013年にIT部門で新たな人材の採用を見込む。この調査結果は、「2008年のリーマンショックがITセキュリティ業界の雇用に与えた影響は、ごくわずかだった」とする過去の報告とも一致する。特に求人が多い職種は、セキュリティアナリスト、セキュリティ専門のソフトウェアエンジニア、システム管理者などである。
ほとんどの企業では、全般的にかなり良いムードだ。回答者の37%が楽観的な姿勢を示し、悲観的だと回答したのは24%にとどまった。
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